こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるルネサスエレクトロニクス(株)【6723】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったルネサスエレクトロニクスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ルネサスエレクトロニクスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
ルネサスエレクトロニクス(株)【6723】 の基本情報
・設立年月日 2002年11月1日
・上場年月日 2003年7月24日
・業種 電気機器
・特色 日立、三菱電、NECの半導体が統合。車載マイコン世界首位級。米英3社を計1.7兆円で買収。
・資本金 1,532億円
・従業員数 (単独)6,319人 (連結)21,323人
・株価 2,640円(2024.3.8)
・単元 100株
・決算 12月末日
三菱電機および日立製作所から分社化していたルネサス テクノロジと、NECから分社化していたNECエレクトロニクスの経営統合によって、2010年4月に設立された半導体メーカーです。
車載半導体市場シェアランキングではNXPセミコンダクターズ、インフィニオン・テクノロジーズに次ぐ3位として車載BIG3の一角を占め、特に車載マイコンでは世界シェアの3割を握り1位となっています。
社名の「Renesas」は、あらゆるシステムに組み込まれることで世の中の先進化を実現していく真の半導体のメーカー「Renaissance Semiconductor for Advanced Solutions」を標榜して名付けられたそう。
To Make Our Lives Easier
インテリジェンス、すなわち、自社の製品やソリューションを、自動車、産業、インフラ、IoTの4つの成長分野へ提供することで、より安全で、健康でスマートな社会に発展させることを使命とし、マイクロコントローラ、アナログ、パワーデバイスのラインアップを総合的に強化、拡大させるなど、自らの変革を進めておられます。
ではここからは、ルネサスエレクトロニクス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器241社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4兆6444億円(9位) |
売上高 | 1兆4694億円(15位) |
純利益 | 3370億8600万円(5位) |
純利益率 | 22.9%(4位) |
総資産 | 3兆1670億円(10位) |
電気機器の中で売上高は15位で、総資産は10位。利益率はかなり高く、純利益率は22.9%の4位。車載マイコンでは世界トップシェアを持つ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年12月期の決算短信によると、
流動資産:8006億7300万円
流動負債:8287億2500万円
固定負債:3326億9000万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.97倍で基準未達、
②は、固定負債3326億円 > 純流動資産-2805億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2019年が赤字ですね。主力とする自動車用半導体の販売が伸び悩み、産業機器用も苦戦した影響とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 823億6500万円 |
2016年3月 | 862億9200万円 |
2016年12月 | 441億1900万円 |
2017年12月 | 1020億2500万円 |
2018年12月 | 509億8900万円 |
2019年12月 | -63億1700万円 |
2020年12月 | 456億2600万円 |
2021年12月 | 1195億3600万円 |
2022年12月 | 2566億1500万円 |
2023年12月 | 3370億8600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +207.3%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 49.41円 | |
2016年3月 | 51.76円 | 3年平均:42.5円 |
2016年12月 | 26.46円 | |
2017年12月 | 61.2円 | |
2018年12月 | 30.57円 | |
2019年12月 | -3.73円 | |
2020年12月 | 26.54円 | |
2021年12月 | 64.77円 | |
2022年12月 | 137.66円 | 3年平均:130.7円 |
2023年12月 | 189.77円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2023年こそ配当が出ていますが、2013年から2022年までずっと無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 0円/株 | 0% |
2015年3月 | 0円/株 | 0% |
2016年3月 | 0円/株 | 0% |
2016年12月 | 0円/株 | 0% |
2017年12月 | 0円/株 | 0% |
2018年12月 | 0円/株 | 0% |
2019年12月 | 0円/株 | 0% |
2020年12月 | 0円/株 | 0% |
2021年12月 | 0円/株 | 0% |
2022年12月 | 0円/株 | 0% |
2023年12月 | 28円/株 | 1.1% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.10倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.21倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も28.95で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.5兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2019年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +207.3% |
⑤配当 | × | 2013年~2022年無配 |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.10倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.21倍 |
財務状況と収益安定性、配当、株価純資産倍率の4項目で基準未達となり、
ルネサスエレクトロニクス(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
負債が多く、赤字あり、配当も長期間出ていないのであれば厳しいですね。
今後拡大が期待されるパワー半導体の需要に応えるため、2024年を目処に甲府工場の再稼働を目指すとともに、車載制御向けマイクロコントローラや、データセンタ向けのアナログ半導体、パワー半導体などの需要に応えるため、那珂、西条、川尻の各工場においても、その設備の強化を行う。
また、レジリエンス(困難をしなやかに乗り越え回復する力)を高めるため、引き続き、バックアップ電源装置の導入やダイバンクの構築などの施策の強化に取り組むとのこと。今後の成長に期待したいところです。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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