
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるセイコーエプソン(株)【6724】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったセイコーエプソン(株)【6724】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・セイコーエプソン(株)【6724】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしていただければ幸いです。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


セイコーエプソン(株)【6724】 の基本情報
・設立年月日 1959年9月
・上場年月日 2003年6月24日
・業種 電気機器
・特色 インクジェットプリンタ国内首位級。大容量モデルに注力中。ビジネス用途にも進出。
・資本金 532億円
・従業員数 (単独)13,012人 (連結)80,015人
・株価 2,015円(2022.10.13)
・単元 100株
・決算 3月末日


セイコーエプソン株式会社は、インクジェットプリンターを始めとするプリンターや、プロジェクター、パソコン、スキャナーといった情報関連機器、水晶振動子(クォーツ)、半導体などの電子デバイス部品の製造、さらに産業用ロボットの製造を行っています。
また子会社ではないものの、セイコーホールディングス株式会社、セイコーインスツル株式会社とともに「セイコーグループ中核3社」の1つとされ、SEIKOブランドの各腕時計の開発・生産も行っています。
時計の製造・開発から派生してプリンターや水晶振動子(クォーツ)、半導体、MEMSデバイス、液晶ディスプレイ、高密度実装技術・産業用ロボットなどの開発を行い、それらが現在の主要事業であるインクジェットプリンターや液晶プロジェクターなどの情報関連機器に結実・発展しています。
経営理念は「お客様を大切に、地球を友に、個性を尊重し、総合力を発揮して 世界の人々に信頼され、社会とともに発展する 開かれた、なくてはならない会社でありたい。そして社員が自信を持ち、常に創造し挑戦していることを誇りとしたい。」
「EXCEED YOUR VISION」のキャッチフレーズのもと、自らの常識やビジョンを超えた挑戦で顧客に驚きや感動をもたらす成果を生み出すことを目指されています。
ではここからは、セイコーエプソン(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器247社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7235億2700万円(26位) |
売上高 | 1兆1289億円(16位) |
営業利益 | 944億7900万円(17位) |
経常利益 | 971億6200万円(19位) |
純利益 | 922億8800万円(17位) |
営業利益率 | 8.4%(106位) |
純利益率 | 8.2%(79位) |
総資産 | 1兆3298億円(20位) |
負債 | 6140億4300万円(17位) |
電気機器の中で売上高は16位で、総資産は20位。利益率もそこそこ高く、純利益率は8.2%の79位。インクジェットプリンタといえばエプソンですし、確かな技術に裏付けられた電気機器メーカーの一社であり、事業規模は問題なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:8798億8400万円
流動負債:3376億1400万円
固定負債:2764億2800万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.61倍で基準達成、
②は、固定負債2764億2800万円 < 純流動資産5422億7000万円 で基準達成となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も十分低く、財務状況は非常にきれいですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2013年に赤字が出ていますね。欧州や中国でのプリンターなどの低迷や液晶ディスプレー事業に関する訴訟費用や有価証券評価損、固定資産の減損損失などを計上した影響なんだそう。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | -89億700万円 |
2014年3月 | 842億300万円 |
2015年3月 | 1125億6000万円 |
2016年3月 | 457億7200万円 |
2017年3月 | 483億2000万円 |
2018年3月 | 418億3600万円 |
2019年3月 | 537億1000万円 |
2020年3月 | 77億3300万円 |
2021年3月 | 309億2200万円 |
2022年3月 | 922億8800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が175.9円、直近の3年平均が126.1円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -28.3%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | -22.29円 | |
2014年3月 | 235.35円 | 3年平均:175.9円 |
2015年3月 | 314.61円 | |
2016年3月 | 127.94円 | |
2017年3月 | 136.82円 | |
2018年3月 | 118.78円 | |
2019年3月 | 152.48円 | |
2020年3月 | 22.26円 | |
2021年3月 | 89.38円 | 3年平均:126.1円 |
2022年3月 | 266.72円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りもしっかりで毎年しっかり配当が出ていますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 5円/株 | 0.69% |
2011年3月 | 10円/株 | 1.5% |
2012年3月 | 13円/株 | 2.24% |
2013年3月 | 10円/株 | 2.19% |
2014年3月 | 25円/株 | 1.56% |
2015年3月 | 57.5円/株 | 2.7% |
2016年3月 | 60円/株 | 3.3% |
2017年3月 | 60円/株 | 2.56% |
2018年3月 | 62円/株 | 3.28% |
2019年3月 | 62円/株 | 3.66% |
2020年3月 | 62円/株 | 5.3% |
2021年3月 | 62円/株 | 3.44% |
2022年3月 | 62円/株 | 3.37% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは9.42倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.97倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も9.14も基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆1289億円 |
②財務状況 | ◎ | 問題なし |
③収益安定性 | △ | 2013年赤字 |
④収益成長性 | × | -28.3% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.37% |
⑥株価収益率 | ◎ | 9.42倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.97倍 |
収益安定性/成長性の2項目で基準未達となり、「セイコーエプソン(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。財務状況は非常にきれいで配当、PER/PBRも手ごろ。ただ、2013年の赤字と収益の成長性が物足りないですね。
セイコーエプソンでは、2021年3月に策定した「Epson 25 Renewed」のビジョンステートメントとして、『「省・小・精の技術」とデジタル技術で人・モノ・情報がつながる、持続可能でこころ豊かな社会を共創する』を定めています。
財務面では、収益性重視の経営へとシフトし、過度な売上成長を追わず、取り組みにメリハリをつけ、収益性の確保と将来成長を目指すとのこと。顧客価値や社会課題を軸としたイノベーション領域を設定し、ソリューションビジネスを創出していくとのこと。今後に期待ですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
の7社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。


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