
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるTDK(株)【6762】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったTDK(株)【6762】 の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・TDK(株)【6762】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしていただければ幸いです。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


TDK(株)【6762】 の基本情報
・設立年月日 1935年12月7日
・上場年月日 1961年9月
・業種 電気機器
・特色 電子部品大手。HDD用磁気ヘッド、コンデンサなど受動部品、2次電池展開。センサ注力。
・資本金 326億円
・従業員数 (単独)5,880人 (連結)114,320人
・株価 4,630円(2022.10.19)
・単元 100株
・決算 3月末日


TDKは、ソフトフェライトの工業化を目的とするベンチャー企業として設立され、フェライトなどの電子部品に加え、過去にはビデオテープ、アナログオーディオテープ、デジタルオーディオテープ、フロッピーディスクなどの各種記録メディアも製造販売していたが、現在ではフェライトやコンデンサを始めとする電子材料・電子部品・磁気ヘッド・二次電池などを製造販売しています。
記録メディアのブランドの印象が強いのですが、2007年に記録メディア販売事業を譲渡し、さらにその譲渡先も2015年に完全撤退しています。
経営理念として、社是に「創造によって文化、産業に貢献する」、社訓に「夢 勇気 信頼」を定め、イノベーションの創出に挑戦する企業として、多種多様なグローバル経営資源を活かし、高品質な製品・サービスの提供を通して顧客の価値創造に貢献することを目指されています。
ではここからは、TDK(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器247社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆8099億円(15位) |
売上高 | 1兆9021億円(12位) |
営業利益 | 1666億6500万円(12位) |
経常利益 | 2341億8500万円(11位) |
純利益 | 1775億600万円(11位) |
営業利益率 | 8.8%(99位) |
純利益率 | 9.3%(61位) |
総資産 | 3兆2876億円(9位) |
負債 | 1兆8352億円(7位) |
電気機器の中で売上高は12位、総資産は9位。利益率も高めで、純利益率は9.3%の61位。2009年のエプコスの買収によって、世界の電子部品業界のリーダー的存在となっており、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆6782億9700万円
流動負債:1兆1492億2800万円
固定負債:6860億1100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.46倍で基準未達、
②も、固定負債6860億1100万円 > 純流動資産5290億6900万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2012年に赤字がありますがここ10年はしっかり利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 11億9500万円 |
2014年3月 | 162億8800万円 |
2015年3月 | 494億4000万円 |
2016年3月 | 648億2800万円 |
2017年3月 | 1450億9900万円 |
2018年3月 | 634億6300万円 |
2019年3月 | 822億500万円 |
2020年3月 | 577億8000万円 |
2021年3月 | 746億8100万円 |
2022年3月 | 1312億9800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が59.1円、直近の3年平均が232.0円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 292.9%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 3.07円 | |
2014年3月 | 43.16円 | 3年平均:59.1円 |
2015年3月 | 130.93円 | |
2016年3月 | 171.41円 | |
2017年3月 | 383.39円 | |
2018年3月 | 167.6円 | |
2019年3月 | 217.01円 | |
2020年3月 | 152.49円 | |
2021年3月 | 197.06円 | 3年平均:232.0円 |
2022年3月 | 346.44円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 20円/株 | 0.96% |
2011年3月 | 26.67円/株 | 1.63% |
2012年3月 | 26.67円/株 | 1.71% |
2013年3月 | 23.33円/株 | 2.14% |
2014年3月 | 23.33円/株 | 1.62% |
2015年3月 | 30円/株 | 1.05% |
2016年3月 | 40円/株 | 1.92% |
2017年3月 | 40円/株 | 1.7% |
2018年3月 | 43.33円/株 | 1.36% |
2019年3月 | 53.33円/株 | 1.85% |
2020年3月 | 60円/株 | 2.15% |
2021年3月 | 60円/株 | 1.17% |
2022年3月 | 78.33円/株 | 1.76% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは12.10倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.21倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も14.64で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆9021億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +232.0% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.76% |
⑥株価収益率 | 〇 | 12.10倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.21倍 |
財務状況のみで基準未達となり、「TDK(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。財務状況以外はしっかりクリアされているのですが、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高いですからね、仕方なしです。
エレクトロニクス市場において、EXやDXの潮流は拡大を続けており、TDKにとっては再生可能エネルギーや電気自動車の普及、5Gの普及、自動車における先進運転支援システムの実用化、IoT・ウェアラブル製品やクラウドサービスのさらなる普及等が、大きな成長機会であると捉えており、今後、積極的な研究・技術開発を行い、競争力を持つ新製品のタイムリーな投入と需要に応じた生産能力の拡大を行っていくとのこと。今後に期待ですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
の7社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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