
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるソニーグループ(株)【6758】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったソニーグループ(株)【6758】 の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ソニーグループ(株)【6758】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしていただければ幸いです。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


ソニーグループ(株)【6758】 の基本情報
・設立年月日 1946年5月7日
・上場年月日 1958年12月
・業種 電気機器
・特色 AV機器大手。海外でブランド力絶大。イメージセンサー、ゲーム、音楽・映画分野に重点。
・資本金 8,804億円
・従業員数 (単独)2,839人 (連結)108,900人
・株価 9,646円(2022.10.17)
・単元 100株
・決算 3月末日


ソニーグループ株式会社は、創業以来、本社機能とエレクトロニクス事業を一社で担当し、傘下にコンテンツ事業などが収まる構造でしたが、2015年以降エレクトロニクス事業は事業ごとの分社化が進められ、2020年にはソニーエレクトロニクスに残りのエレクトロニクス事業が分社化されました。2021年にはさらにエレクトロニクス事業を(2代目)ソニーに移管し、初代ソニーはソニーグループ株式会社に商号を変更しています。
グループは1500社ほどの連結子会社からなり、エレクトロニクスをはじめ、ゲーム、エンターテインメント(映画・音楽・アニメ)、金融(保険・銀行)など、様々な分野の企業を包括しています。また、当社を筆頭に構成されるソニーグループの子会社群を通じ、銀行業、生命保険業、損害保険業、不動産業、放送業、出版業、アニメーション制作事業、芸能マネジメント事業、介護事業、教育事業、電気通信事業、キャラクターのライセンス事業なども手がけています。
Purpose(存在意義)を、「クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす」とし、「夢と好奇心」「多様性」「高潔さと誠実さ」「持続可能性」の4つをValue(価値観)として定めています。
ではここからは、ソニーグループ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器247社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 12兆2299億円(2位) |
売上高 | 8兆3967億円(2位) |
営業利益 | 1兆2023億円(1位) |
経常利益 | 1兆1175億円(1位) |
純利益 | 8821億7800万円(1位) |
営業利益率 | 14.3%(41位) |
純利益率 | 10.5%(49位) |
総資産 | 30兆3748億円(1位) |
負債 | 23兆4026億円(1位) |
電気機器の中で売上高は2位、総資産は1位。利益率も高く、純利益率は10.5%の49位。トランジスタラジオ、ウォークマン、パソコン、ゲーム機と時代の先端を行く製品を次々と生み出してきた世界のソニー。もちろん事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:5兆2845億2100万円
流動負債:8兆8683億5700万円
固定負債:14兆5343億1100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.60倍で基準未達、
②も、固定負債14兆5343億1100万円 > 純流動資産-3兆5838億3600万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2014年,2015年に赤字が出ています。特に赤字幅の大きかった2014年は撤退するパソコン事業の構造改革費用を追加するとともに、DVDなどディスクメディア製造事業の不振で減損処理費用を計上したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 415億4000万円 |
2014年3月 | -1283億6900万円 |
2015年3月 | -1259億8000万円 |
2016年3月 | 1477億9100万円 |
2017年3月 | 732億8900万円 |
2018年3月 | 4907億9400万円 |
2019年3月 | 9162億7100万円 |
2020年3月 | 5821億9100万円 |
2021年3月 | 1兆296億円 |
2022年3月 | 8821億7800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が-65.7円、直近の3年平均が673.4円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 は計算上∞%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 41.05円 | |
2014年3月 | -124.99円 | 3年平均:-65.7円 |
2015年3月 | -113.04円 | |
2016年3月 | 119.4円 | |
2017年3月 | 58.07円 | |
2018年3月 | 388.32円 | |
2019年3月 | 723.41円 | |
2020年3月 | 471.64円 | |
2021年3月 | 836.75円 | 3年平均:673.4円 |
2022年3月 | 711.84円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2015年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 25円/株 | 0.7% |
2011年3月 | 25円/株 | 0.94% |
2012年3月 | 25円/株 | 1.47% |
2013年3月 | 25円/株 | 1.52% |
2014年3月 | 25円/株 | 1.27% |
2015年3月 | 0円/株 | 0% |
2016年3月 | 20円/株 | 0.53% |
2017年3月 | 20円/株 | 0.53% |
2018年3月 | 27.5円/株 | 0.75% |
2019年3月 | 35円/株 | 0.7% |
2020年3月 | 45円/株 | 0.47% |
2021年3月 | 55円/株 | 0.47% |
2022年3月 | 65円/株 | 0.51% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは14.91倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.72倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も25.65で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高8兆3967億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2014年,2015年赤字 |
④収益成長性 | 〇 | +∞% |
⑤配当 | × | 2015年無配 |
⑥株価収益率 | 〇 | 14.91倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.72倍 |
財務状況と収益安定性、配当、株価純資産倍率の4項目で基準未達となり、「ソニーグループ(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、赤字と無配があり、株価も高いですからね、仕方なしです。
現在のソニーにとって、厳しい事業環境にあるのがイメージセンサを中心とする「イメージング&センシング・ソリューション」分野。コロナ禍での需要減退に加え、中国リスクの影響などによってハイエンドスマホ向けのセンサ出荷が減り、事業を直撃しています。
2022年以降はスマホメーカーがセンサの大型化や高画質化に注力する傾向が顕著とのことで、成長を期待しているとのこと。「世界最高峰のイメージセンサ企業」として、差別化を加速したいソニーにとって、今後どのような戦略をとっていくのかに注目です。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
の7社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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