こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるアルプスアルパイン(株)【6770】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったアルプスアルパインの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・アルプスアルパインは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
アルプスアルパイン(株)【6770】 の基本情報
・設立年月日 1948年11月1日
・上場年月日 1961年10月
・業種 電気機器
・特色 電子部品のアルプス電気と車載情報機器のアルパインが2019年再統合。スマホカメラ部品で稼ぐ。
・資本金 387億円
・従業員数 (単独)6,784人 (連結)29,926人
・株価 1,246円(2024.1.7)
・単元 100株
・決算 3月末日
電子部品・音響機器・カーナビゲーションを製造販売する大手電機メーカー。2020年3月までは、アルプス電気株式会社でしたが、カーオーディオ、情報通信機器(カーナビ、カーAV、複合商品)メーカーのアルパイン株式会社を完全子会社化し、アルプスアルパイン株式会社となりました。
早くから海外展開をしており、現在の売上比率も海外がその9割近くを占めます。また自動車メーカー向けビジネスが売上げの8割近くを占め、主な取引先は本田技研工業をはじめ、メルセデス・ベンツ、BMWなど高級車ブランドが多くなっています。
アルプスアルパインといえば、私はやっぱりALPINEブランドのカーオーディオの印象が強いですね。信頼のブランドです。
アルプスアルパインは人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します。
事業ビジョンとして掲げている、
「Right」どんなに小さな部品でも持っている技術と経験を惜しみなく注ぐ
「Unique」仕様で差別化できない標準部品にも、明らかな独自性を盛り込む
「Green」製品の誕生からリサイクルまで、広い視野での環境負荷を考える
この3つの価値を極めることで「Perfecting the Art of Electronics」を追い求めていくことを宣言されています。
ではここからは、アルプスアルパイン(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2561億5700万円(48位) |
売上高 | 9331億1400万円(21位) |
純利益 | 114億7000万円(52位) |
純利益率 | 1.2%(87位) |
総資産 | 7866億3500万円(25位) |
電気機器の中で売上高は21位、総資産は25位。利益率は低く、純利益率は1.2%の87位。カーナビといえばアルパインという印象ですし、スイッチやコネクター、各種センサーなど、世界シェアトップクラスの製品を有する大手の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:4665億1500万円
流動負債:2645億7000万円
固定負債:726億4400万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.76倍で基準未達、
②は、固定負債726億円 < 純流動資産2019億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高いですね。基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2020年と2021年に赤字がありますね。2021年は過去に製造した一部の自動車部品について、品質の不具合に伴う市場措置費用として特別損失を計上したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 143億1100万円 |
2015年3月 | 347億3900万円 |
2016年3月 | 390億3400万円 |
2017年3月 | 349億2000万円 |
2018年3月 | 473億9000万円 |
2019年3月 | 221億1400万円 |
2020年3月 | -40億900万円 |
2021年3月 | -38億3700万円 |
2022年3月 | 229億6000万円 |
2023年3月 | 114億7000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -69.2%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 79.84円 | |
2015年3月 | 193.81円 | 3年平均:160.1円 |
2016年3月 | 206.64円 | |
2017年3月 | 178.25円 | |
2018年3月 | 241.9円 | |
2019年3月 | 110.19円 | |
2020年3月 | -19.53円 | |
2021年3月 | -18.72円 | |
2022年3月 | 110.82円 | 3年平均:49.3円 |
2023年3月 | 55.77円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2011年3月 | 20円/株 | 2.5% |
2012年3月 | 20円/株 | 2.75% |
2013年3月 | 5円/株 | 0.81% |
2014年3月 | 5円/株 | 0.41% |
2015年3月 | 15円/株 | 0.52% |
2016年3月 | 25円/株 | 1.27% |
2017年3月 | 30円/株 | 0.95% |
2018年3月 | 38円/株 | 1.42% |
2019年3月 | 50円/株 | 2.16% |
2020年3月 | 30円/株 | 2.86% |
2021年3月 | 20円/株 | 1.37% |
2022年3月 | 20円/株 | 1.65% |
2023年3月 | 40円/株 | 3.15% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは12.80倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.61倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も7.81で基準達成です。これは株価がかなり安いですね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高9331億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | × | 2020年,2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -69.2% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.15% |
⑥株価収益率 | 〇 | 12.80倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.61倍 |
財務状況と株価収益率/純資産倍率の3項目で基準未達となり、
アルプスアルパイン(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債の割合が高く、複数年で赤字、成長性もマイナスですからね。仕方なしです。
既存事業の良質化と新事業へのリソースシフト、マーケティング力の強化、当社製品の独自性や強みを融合させて更に高める「T型」戦略と、コア技術の深耕によって新たな技術や製品を生み出す「しみだし」による製品開発の追求、DXを用いた業務・原価改革等コスト改革の推進、ものづくり品質を更に極めることによる顧客満足の向上等に鋭意取り組む。
自動車産業では、主要各国でEV化政策が打ち出され、各自動車メーカーで具体的な目標を定めた開発活動や量産化が進んでいます。自動車におけるエレクトロニクス製品の重要性が増しており、今後も拡大していくものと期待されます。
また、5G通信の普及により、モバイル機器の伸張を始め、VRやARの実用化、AI、IoT、ロボティクス等、DXの社会実装も伸長しています。また、地球温暖化対策も喫緊の課題として、EV化を始め、再生可能エネルギーの活用など脱炭素化の動きが今後ますます加速するものと考えています。自動車関連で強みを持つアルプスアルパインの今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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