こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるファナック(株)【6954】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったファナックの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ファナックは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
ファナック(株)【6954】 の基本情報
・設立年月日 1972年5月12日
・上場年月日 1976年11月
・業種 電気機器
・特色 工作機械用NC(数値制御)装置世界首位。産業用ロボや小型マシニングセンタも。配当性向60%。
・資本金 690億円
・従業員数 (単独)4,515人 (連結)9,432人
・株価 4,090円(2024.1.7)
・単元 100株
・決算 3月末日
基本技術であるNCとサーボ、レーザからなるFA事業と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業を展開しています。
工場の自動化設備に照準を合わせたメーカーで、工作機械用CNC装置で世界首位(国内シェア7割、世界シェア5割)、産業用ロボットでも世界首位(世界シェア2割)。日本ロボット工業会に所属し、その中でもファナック・安川電機・ABBグループ・クーカは世界4大産業用ロボットメーカーです。
山梨県の富士山麓の敷地には本社機能のほか、研究所・工場・厚生施設などを集約しています。
「厳密」と「透明」
企業の永続性、健全性は厳密から生まれる。組織の腐敗、企業の衰退は不透明から始まるとし、「one FANUC」「壊れない 壊れる前に知らせる 壊れてもすぐ直せる」「Service First」の3つのキーワードで、工場の自動化分野で無くてはならない価値を世界中に提供し続け、信頼される企業であり続けることを目指されています。
ではここからは、ファナック(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3兆8966億円(9位) |
売上高 | 8519億5600万円(25位) |
純利益 | 1705億8700万円(10位) |
純利益率 | 20.0%(5位) |
総資産 | 1兆9262億円(15位) |
電気機器の中で売上高は25位、総資産は15位。利益率はかなり高く、純利益率は20.0%で5位。世界4大産業用ロボットメーカーです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆617億円
流動負債:1839億5500万円
固定負債:620億2600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 5.77倍で基準達成、
②は、固定負債620億円 < 純流動資産8777億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も極めて低く、問題ありません。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、全く問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 1109億3000万円 |
2015年3月 | 2075億9900万円 |
2016年3月 | 1597億円 |
2017年3月 | 1276億9700万円 |
2018年3月 | 1819億5700万円 |
2019年3月 | 1541億6300万円 |
2020年3月 | 733億7100万円 |
2021年3月 | 940億1200万円 |
2022年3月 | 1552億7300万円 |
2023年3月 | 1705億8700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -10.3%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 113.37円 | |
2015年3月 | 212.2円 | 3年平均:163.0円 |
2016年3月 | 163.36円 | |
2017年3月 | 131.73円 | |
2018年3月 | 187.73円 | |
2019年3月 | 159.07円 | |
2020年3月 | 76.38円 | |
2021年3月 | 98.02円 | |
2022年3月 | 161.9円 | 3年平均:146.2円 |
2023年3月 | 178.55円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 11.27円/株 | 0.57% |
2011年3月 | 36.83円/株 | 1.46% |
2012年3月 | 42.55円/株 | 1.45% |
2013年3月 | 36.94円/株 | 1.27% |
2014年3月 | 34.01円/株 | 0.93% |
2015年3月 | 127.32円/株 | 2.43% |
2016年3月 | 98.01円/株 | 2.8% |
2017年3月 | 79.04円/株 | 1.73% |
2018年3月 | 112.64円/株 | 2.09% |
2019年3月 | 200.62円/株 | 5.31% |
2020年3月 | 60円/株 | 2.05% |
2021年3月 | 58.81円/株 | 1.12% |
2022年3月 | 97.14円/株 | 2.24% |
2023年3月 | 107.13円/株 | 2.25% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは34.31倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.32倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も79.60で基準未達です。これは株価が高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高8519億円 |
②財務状況 | ◎ | 文句なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | -10.3% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.25% |
⑥株価収益率 | × | 34.31倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.32倍 |
収益成長性と株価収益率/純資産倍率の3項目で基準未達となり、
ファナック(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
財務状況は非常にきれいなのですが、成長性が物足りない上、株価が高いですね。仕方なしです。
顧客の工場の自動化と効率化を推進することで国内外の製造業の発展に貢献し、今後も中長期的に拡大が見込まれる工場の自動化分野において、着実な成長を実現していく。
中長期成長戦略では、「New CASIO C30プロジェクト」として、「使う人にとって最も大切な存在を創り続ける」を起点に成長戦略を策定し、それを全社一丸となった強いチーム力で実行して、「ユーザーファーストで持続可能な社会に欠かせない存在」になることを目指されています。
課題は成長性、「one FANUC」を合言葉に、FA・ロボット・ロボマシンが一体となったトータルソリューションの提供、およびグループ一体となった世界の顧客への対応、という強みを最大限活かし、特に工作機械とロボットとの連携、ロボマシンとロボットとの連携を重要テーマの一つと捉え、商品を開発していくとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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