こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである太陽誘電(株)【6976】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った太陽誘電の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・太陽誘電は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
太陽誘電(株)【6976】 の基本情報
・設立年月日 1950年3月23日
・上場年月日 1970年3月
・業種 電気機器
・特色 スマホや車で使用のセラミックコンデンサ世界上位。材料技術力に強み。インダクタも展開。
・資本金 335億円
・従業員数 (単独)2,952人 (連結)21,994人
・株価 3,683円(2024.1.8)
・単元 100株
・決算 3月末日
受動電子部品を主とした電気機器製造会社で、誘電体セラミックを使用したコンデンサや、フェライトセラミックを使用したインダクタなどの受動電子部品、および電子部品技術を生かした高密度実装によるBluetoothモジュールなどを主力商品としています。
比較的需要が安定し、電子化が加速している自動車、情報インフラ・産業機器、ヘルスケア、環境・エネルギー市場において、耐高温・長寿命・高品質を満たす商品のラインアップ拡充、販路拡大を目指されています。
以前はカセットテープやビデオテープ(VHS等)などの磁気テープをThat’sブランドとして製造販売していましたが、1993年に記録メディア事業をソニーとの合弁会社であるスタート・ラボに移管した際、その販売事業から撤退しています。
CD-Rを世界で初めて開発し、「CD-R」と命名したのは太陽誘電なんだそうです。
従業員の幸福
地域社会への貢献
株主に対する配当責任
ビジョンに「すべてのステークホルダーから信頼され 感動を与えるエクセレントカンパニーへ」を掲げ、感動を与えられる企業であり続けることを目指されています。
また、企業のミッションを「おもしろ科学で より大きく より社会的に」とし、企業価値向上の源泉である「おもしろ科学」で小さいけれど重要な役割を担う電子部品を生み出し、進化させ、社会のすみずみに届けることを追求されています。
ではここからは、太陽誘電(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4590億100万円(38位) |
売上高 | 3195億400万円(42位) |
純利益 | 232億1600万円(35位) |
純利益率 | 7.3%(33位) |
総資産 | 5498億4800万円(35位) |
電気機器の中で売上高は42位、総資産は35位。利益率はまずまず高く、純利益率は7.3%で33位。海外売上高は驚異の90%以上、セラミックコンデンサ技術を中心に数々の世界初を実現してきた一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2743億9600万円
流動負債:1121億4000万円
固定負債:728億4300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.45倍で基準達成、
②は、固定負債728億円 < 純流動資産1622億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、問題ありません。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2012年に赤字があるものの、ここ10年は毎年しっかり利益を上げられており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 69億8900万円 |
2015年3月 | 109億1900万円 |
2016年3月 | 147億5100万円 |
2017年3月 | 54億2800万円 |
2018年3月 | 163億5500万円 |
2019年3月 | 236億8700万円 |
2020年3月 | 180億2200万円 |
2021年3月 | 286億1500万円 |
2022年3月 | 543億6100万円 |
2023年3月 | 232億1600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +205.6%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 59.37円 | |
2015年3月 | 92.73円 | 3年平均:92.5円 |
2016年3月 | 125.27円 | |
2017年3月 | 46.07円 | |
2018年3月 | 138.8円 | |
2019年3月 | 189.92円 | |
2020年3月 | 143.03円 | |
2021年3月 | 227.98円 | |
2022年3月 | 433.45円 | 3年平均:282.6円 |
2023年3月 | 186.31円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 10円/株 | 0.68% |
2011年3月 | 10円/株 | 0.9% |
2012年3月 | 5円/株 | 0.57% |
2013年3月 | 10円/株 | 0.84% |
2014年3月 | 10円/株 | 0.79% |
2015年3月 | 10円/株 | 0.57% |
2016年3月 | 15円/株 | 1.37% |
2017年3月 | 20円/株 | 1.42% |
2018年3月 | 20円/株 | 1.11% |
2019年3月 | 21円/株 | 0.96% |
2020年3月 | 26円/株 | 0.91% |
2021年3月 | 40円/株 | 0.77% |
2022年3月 | 80円/株 | 1.44% |
2023年3月 | 90円/株 | 2.03% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは57.37倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.40倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は80.32で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高3195億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +205.6% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.03% |
⑥株価収益率 | × | 57.37倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.40倍 PER×PBRがNG |
株価収益率と株価純資産倍率の2項目で基準未達となり、
太陽誘電(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
財務状況が非常にきれいで、収益の安定性、成長性も十分となかなか優秀なのですが、株価が高いとあれば仕方ありません。
自動車、情報インフラ・産業機器を注力すべき市場と位置付け、高信頼性商品の販売推進、システムソリューション提案の強化、商流の拡大と多角化に努める。また、安定的な供給を実現するために国内外の生産能力を増強するなど、将来の成長に不可欠な投資を継続する。
太陽誘電では、機器の技術進化に貢献できる競争優位性の高い最先端商品をいち早く開発していることを自社の強みと認識し、ものづくり力の向上や分散生産の体制構築、AIなどを活用した生産効率の改善にも取り組まれるとのこと。まだまだ成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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