こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)村田製作所【6981】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った村田製作所の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・村田製作所は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)村田製作所【6981】 の基本情報
・設立年月日 1950年12月23日
・上場年月日 1963年3月
・業種 電気機器
・特色 電子部品大手。世界首位の積層セラミックコンデンサーが柱。海外売上が大半。
・資本金 694億円
・従業員数 (単独)10,435人 (連結)73,326人
・株価 2,907.5円(2024.1.8)
・単元 100株
・決算 3月末日
スマホから家電、自動車関連のアプリケーション、エネルギー管理システムやヘルスケア機器といった様々な製品の電子部品、多機能・高密度なモジュール等の設計・製造を行っています。
元々はがいしなどの陶器製品を製造する町工場で、主力商品はセラミックスコンデンサで、世界随一のシェアを有し、その他、セラミックフィルタ、高周波部品、センサー部品も強く、いずれも世界的に圧倒的なシェアを持っています。
またここ数年は周辺の部品にも領域を拡大し、2017年にはM&Aでソニーから電池事業を買収するなど、自動車、エネルギー、ヘルスケアなどの注力市場やIoTなどの新規市場に対して研究開発を促進して事業拡大を図っています。
海外売上比率は驚異の92%以上と、売上高1兆円以上の企業ではトップです。
技術を練磨し 科学的管理を実践し
独自の製品を供給して文化の発展に貢献し
信用の蓄積につとめ
会社の発展と協力者の共栄をはかり
これをよろこび
感謝する人びととともに運営する
企業スローガンには「Innovator in Electronics」を掲げ、エレクトロニクスの改革者として、エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在であることを目指されています。
ではここからは、(株)村田製作所に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 5兆4929億円(5位) |
売上高 | 1兆6867億円(15位) |
純利益 | 2536億9000万円(7位) |
純利益率 | 15.0%(11位) |
総資産 | 3兆224億円(11位) |
電気機器の中で売上高は15位、総資産は11位。利益率はかなり高く、純利益率は15.0%で11位。電子部品を主力とする企業では世界トップクラスに位置する一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆4076億円
流動負債:2979億800万円
固定負債:2004億5300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 4.72倍で基準達成、
②は、固定負債2004億円 < 純流動資産1兆1096億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も極めて低く、問題ありません。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 931億9100万円 |
2015年3月 | 1677億1100万円 |
2016年3月 | 2037億7600万円 |
2017年3月 | 1560億6000万円 |
2018年3月 | 1460億8600万円 |
2019年3月 | 2069億3000万円 |
2020年3月 | 1830億1200万円 |
2021年3月 | 2370億5700万円 |
2022年3月 | 3141億2400万円 |
2023年3月 | 2439億4600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +70.5%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 48.96円 | |
2015年3月 | 88.02円 | 3年平均:81.3円 |
2016年3月 | 106.95円 | |
2017年3月 | 81.54円 | |
2018年3月 | 76.21円 | |
2019年3月 | 107.82円 | |
2020年3月 | 95.35円 | |
2021年3月 | 123.51円 | |
2022年3月 | 163.65円 | 3年平均:138.6円 |
2023年3月 | 128.64円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 7.78円/株 | 1.32% |
2011年3月 | 11.11円/株 | 1.67% |
2012年3月 | 11.11円/株 | 2.04% |
2013年3月 | 11.11円/株 | 1.43% |
2014年3月 | 14.44円/株 | 1.34% |
2015年3月 | 20円/株 | 1.09% |
2016年3月 | 23.33円/株 | 1.55% |
2017年3月 | 24.44円/株 | 1.39% |
2018年3月 | 28.89円/株 | 1.78% |
2019年3月 | 31.11円/株 | 1.69% |
2020年3月 | 32.33円/株 | 1.77% |
2021年3月 | 38.33円/株 | 1.3% |
2022年3月 | 43.33円/株 | 1.6% |
2023年3月 | 50円/株 | 1.87% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは24.41倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.18倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も53.21で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.7兆円 |
②財務状況 | ◎ | 文句なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +70.5% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.87% |
⑥株価収益率 | × | 24.41倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.18倍 |
株価収益率と株価純資産倍率の2項目で基準未達となり、
(株)村田製作所は割安株に該当しません!
という結果となりました。
財務状況は非常にきれいで、収益の安定性、成長性も十分なのですが、その分株価が既に上がりすぎてますね。仕方なしです。
「ムラタのイノベーションで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、豊かな社会の実現に貢献していく」ことをありたい姿として掲げ、「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」及び「4つの経営変革の実行」に取り組む。
4つの経営変革である「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」、「自律分散型の組織運営の実践」、「仮説思考にもとづく変化対応型経営」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」を進め、今後もエレクトロニクス事業におけるイノベーターとして価値を生み出し、「Global No.1部品メーカー」を目指されるとのこと。まだまだ成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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