こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日立造船(株)【7004】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日立造船の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日立造船は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
日立造船(株)【7004】 の基本情報
・設立年月日 1934年5月29日
・上場年月日 1949年5月
・業種 機械
・特色 ゴミ焼却発電施設を柱に舶用機器など展開、圧力容器に強み。造船分離。略称社名はHitz。
・資本金 454億円
・従業員数 (単独)3,809人 (連結)11,900人
・株価 912円(2024.1.21)
・単元 100株
・決算 3月末日
環境装置、工場設備・産業機械、発電設備などを製造している日本の機械・プラントメーカーで、現在の主力事業は発電設備付き機械式ごみ焼却炉やフラップゲート式可動防波堤などの環境・プラント事業であり、造船事業からは撤退しています。
かつて日立製作所の傘下にあったため「日立」の名を冠していますが、現在では日立グループからは離脱しています。また、造船不況の打開策として手掛けた事業多角化により、一時期はグループ内で杜仲茶の製造販売や旅行予約ウェブサイト『旅の窓口』の運営なども行っていました。その後、杜仲茶は小林製薬へ、旅の窓口は楽天へ(現・楽天トラベル)、それぞれ事業売却しています。
「Hitz」(HitachiZosen)は、Zenith(頂上)を目指してHIT(事業、製品等)を飛ばし続けたい等の意味をこめて定めたそうです。
私達は、技術と誠意で社会に役立つ価値を創造し、豊かな未来に貢献します
「クリーンなエネルギー」「クリーンな水」「環境保全、災害に強く豊かな街づくり」の事業領域において、顧客課題を解決するサステナブルで、 安全・安心な社会の実現に貢献するソリューションパートナーとして挑戦を続けられています。
ではここからは、日立造船(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
機械100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1536億9500万円(40位) |
売上高 | 4926億9200万円(15位) |
純利益 | 155億7700万円(26位) |
純利益率 | 3.2%(72位) |
総資産 | 4595億6500万円(22位) |
機械の中で売上高は15位、総資産は22位。利益率は低めで、純利益率は3.2%と72位。ゴミ焼却発電施設では世界トップクラスのシェアを持つ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3188億5300万円
流動負債:2408億1100万円
固定負債:975億5900万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.32倍で基準未達、
②は、固定負債975億円 > 純流動資産780億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 37億1900万円 |
2015年3月 | 51億円 |
2016年3月 | 58億4800万円 |
2017年3月 | 58億6400万円 |
2018年3月 | 21億7100万円 |
2019年3月 | 54億4500万円 |
2020年3月 | 21億9700万円 |
2021年3月 | 42億5800万円 |
2022年3月 | 78億9900万円 |
2023年3月 | 155億7700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +84.4%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 23.76円 | |
2015年3月 | 30.52円 | 3年平均:29.8円 |
2016年3月 | 34.96円 | |
2017年3月 | 34.79円 | |
2018年3月 | 12.88円 | |
2019年3月 | 32.31円 | |
2020年3月 | 13.04円 | |
2021年3月 | 25.26円 | |
2022年3月 | 46.87円 | 3年平均:54.9円 |
2023年3月 | 92.43円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 10円/株 | 1.46% |
2011年3月 | 10円/株 | 1.71% |
2012年3月 | 10円/株 | 1.85% |
2013年3月 | 10円/株 | 1.3% |
2014年3月 | 10円/株 | 2.03% |
2015年3月 | 10円/株 | 1.61% |
2016年3月 | 12円/株 | 2.25% |
2017年3月 | 12円/株 | 1.89% |
2018年3月 | 12円/株 | 2.2% |
2019年3月 | 12円/株 | 3.53% |
2020年3月 | 12円/株 | 3.45% |
2021年3月 | 12円/株 | 1.34% |
2022年3月 | 12円/株 | 1.61% |
2023年3月 | 18円/株 | 2.08% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.82倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.12倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も13.24で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4926億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 問題なし |
④収益成長性 | 〇 | +84.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.08% |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.82倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.12倍 |
財務状況のみが基準未達となり、
日立造船(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
ほとんどの項目をしっかりクリアできており、安定性はあるものの、負債がちょっと多いですね。仕方なしです。
「脱炭素化」、「資源循環」、「安全で豊かな街づくり」の各事業分野における社会課題の解決に積極的に取り組み、既存事業の持続的成長と、成長事業の創出・拡大を目指していく。
成長事業の創出・拡大に向けて、脱炭素化事業では、再生可能エネルギーから得られる電力による水素製造及び水素を活用した合成メタン製造に関連する事業、使用済核燃料の保管・貯蔵容器等の原子力関連機器や、アンモニア貯蔵容器を含む圧力容器事業、出資、建設、運営、売買等様々なビジネスモデルを展開する風力発電事業を拡大するとのこと。
クリーンなエネルギー・水の提供、環境保全、災害に強く豊かな街づくりなど、時代のニーズにマッチした事業に強みを持っている点はすごく好感が持てますね。今後に期待です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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