こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日野自動車(株)【7205】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日野自動車の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日野自動車は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
日野自動車(株)【7205】 の基本情報
・設立年月日 1942年5月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 輸送用機器
・特色 トヨタ傘下のトラック大手。海外はインドネシアが最大地盤。三菱ふそうと経営統合で基本合意。
・資本金 727億円
・従業員数 (単独)12,244人 (連結)34,231人
・株価 456.1円(2024.2.12)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本の主にトラック・バスといった商用車を製造するメーカーで、トヨタ自動車の連結子会社でトヨタグループ16社のうちの一社です。
主にトラックやバスなどの商用車の生産を手がけ、トヨタブランドの小型乗用車や小型、普通トラック、SUVなどの受託生産も行っています。親会社のトヨタが陸上自衛隊へ納入する73式中型トラックやトヨタ向けディーゼルエンジンの生産、あるいは軍用ハイブリッドシステムも共同開発しています。
大型トラック顧客満足度調査でも11年連続1位、小型トラックも6年連続1位です。
人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する
顧客や社会に貢献するという原点に立ち返り、一人ひとりが大切にすべき価値観とあるべき姿を「HINOウェイ」としてまとめ、「誠実」「貢献」「共感」という基本方針に沿って日野らしい価値を提供することを目指されています。
ではここからは、日野自動車(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
輸送用機器94社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2618億1300万円(18位) |
売上高 | 1兆5073億円(15位) |
純利益 | -1176億6400万円(94位) |
純利益率 | -%(-位) |
総資産 | 1兆4046億円(14位) |
輸送用機器の中で売上高は15位、総資産は14位。利益率は現状厳しく、昨年度は赤字のため純利益率は算出不可ながら、トヨタグループかつ中大型トラックの国内トップシェアです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:7331億8100万円
流動負債:7760億8900万円
固定負債:1522億3700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.94倍で基準未達、
②は、固定負債1522億円 > 純流動資産-429億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2021~2023年の直近3年が赤字です。特に赤字幅の大きかった2023年は、エンジンの燃費や排ガスの数値を偽っていた問題を巡り、特別損失を計上したとのこと。不正の影響というのは印象が悪いですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 891億2700万円 |
2015年3月 | 745億円 |
2016年3月 | 651億3000万円 |
2017年3月 | 494億800万円 |
2018年3月 | 513億6100万円 |
2019年3月 | 549億800万円 |
2020年3月 | 314億6700万円 |
2021年3月 | -74億8900万円 |
2022年3月 | -847億3200万円 |
2023年3月 | -1176億6400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -191.5%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 155.79円 | |
2015年3月 | 130.06円 | 3年平均:133.2円 |
2016年3月 | 113.62円 | |
2017年3月 | 86.15円 | |
2018年3月 | 89.52円 | |
2019年3月 | 95.66円 | |
2020年3月 | 54.82円 | |
2021年3月 | -13.05円 | |
2022年3月 | -147.61円 | 3年平均:-121.9円 |
2023年3月 | -204.98円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2023年が無配ですね。赤字が続いているので厳しいところ。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 2円/株 | 0.51% |
2011年3月 | 5円/株 | 1.23% |
2012年3月 | 8円/株 | 1.34% |
2013年3月 | 23円/株 | 2.28% |
2014年3月 | 38円/株 | 2.48% |
2015年3月 | 40円/株 | 2.33% |
2016年3月 | 38円/株 | 3.12% |
2017年3月 | 26円/株 | 1.93% |
2018年3月 | 28円/株 | 2.05% |
2019年3月 | 29円/株 | 3.11% |
2020年3月 | 20円/株 | 3.44% |
2021年3月 | 12円/株 | 1.26% |
2022年3月 | 10円/株 | 1.39% |
2023年3月 | 0円/株 | 0% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
2024年3月期が赤字見込みである以上、PERは算出不能、ということで基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.71倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は算出不能、なので基準未達です。
まずはここ数年続いている赤字を何とかしないと、ということですね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.5兆円 |
②財務状況 | × | 流動/固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2021~2023年赤字 |
④収益成長性 | × | -191.5% |
⑤配当 | △ | 2023年無配 |
⑥株価収益率 | × | 算出不可 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 0.77倍 PER×PBRが算出不可 |
財務状況と収益安定性/成長性、配当、株価収益率/純資産倍率の6項目で基準未達となり、
日野自動車(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合が高く、直近3年が赤字で来季も赤字見込み、無配もあり、これはかなり厳しいですね。
「人財尊重」の組織風土づくりとコンプライアンス・ファーストによる「正しい仕事」を徹底的に追求し続ける経営基盤の下、顧客や社会からの信頼を一日も早く回復し、日野の「総合品質」による価値提供を通じ、世界中の顧客と社会から必要とされる企業となるべく、不断の努力を続ける。
日野自動車の目下の課題は、なんといっても不正問題。不正は2000年代から行われており、またその原因が「上に物を言えない」という企業風土にあったとのこと。
今後の会社経営においては、コンプライアンス最優先の姿勢を明確にし、組織変更や業務プロセスの見直しといったガバナンスの改善に加え、従業員一人ひとりの意識改革への取り組みを進めていくとのことですが、社内の風土はそこで働く人たちによって築かれるもの。すぐにガラっと変えるのは難しいと思いますし、これは根深いですね。ここから日野自動車がどう変革していくのかに注目です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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