
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるトヨタ自動車(株)【7203】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったトヨタ自動車(株)【7203】 の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・トヨタ自動車(株)【7203】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


トヨタ自動車(株)【7203】 の基本情報
・設立年月日 1937年8月28日
・上場年月日 1949年5月
・業種 輸送用機器
・特色 4輪世界首位。国内シェア3割超。日野、ダイハツを傘下。SUBARU、マツダ、スズキと提携。
・資本金 6,354億円
・従業員数 (単独)-人 (連結)376,971人
・株価 2,050円(2022.11.23)
・単元 100株
・決算 3月末日


トヨタ自動車は、日本最大手の自動車メーカーで、豊田自動織機を源流とするトヨタグループの中核企業です。世界最大の自動車メーカーの一社であり、2021年時点の単独売上高は世界9位です。ダイハツ工業と日野自動車の親会社、SUBARUの筆頭株主でもあります。
トヨタは「自動車をつくる会社」から「モビリティカンパニー」にモデルチェンジし、世界中の人々の「移動」に関わるあらゆるサービスを提供する会社、すべての人に移動の自由と楽しさを提供する会社に変革することを目指されています。ホーム&アウェイ視点でグループ全体の事業の再構築や従来の枠組みに捉われないモビリティサービス中心の協業を加速させています。
グループのミッションは「わたしたちは、幸せを量産する。」
だから、ひとの幸せについて深く考える。
だから、より良いものをより安くつくる。
だから、1秒1円にこだわる。
だから、くふうと努力を惜しまない。
だから、常識と過去にとらわれない。
だから、この仕事は限りなくひろがっていく。
そしてビジョンには「可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える。」
不確実で多様化する世界において、トヨタは人とモノの「可動性」=移動の量と質を上げ、人、企業、自治体、コミュニティができることをふやす。そして人類と地球の持続可能な共生を実現する。
いずれもトヨタの理念が凝縮されている印象ですね。
ではここからは、トヨタ自動車(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
輸送用機器93社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 27兆3886億円(1位) |
売上高 | 31兆3795億円(1位) |
営業利益 | 2兆9956億円(1位) |
経常利益 | 3兆9905億円(1位) |
純利益 | 2兆8501億円(1位) |
営業利益率 | 9.5%(7位) |
純利益率 | 9.1%(6位) |
総資産 | 74兆4840億円(1位) |
負債 | 45兆5236億円(1位) |
輸送用機器の中で売上高、総資産ともダントツの1位。利益率も高く、純利益率は9.1%の6位。さすが世界のトヨタ、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:25兆8082億6300万円
流動負債:24兆2774億3400万円
固定負債:21兆2462億4200万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.06倍で基準未達、
②も、固定負債21兆2462億4200万円 > 純流動資産1兆5308億2900万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009年に一度赤字がありますが、ここ10年はしっかり利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 9621億6300万円 |
2014年3月 | 1兆8231億円 |
2015年3月 | 2兆1733億円 |
2016年3月 | 2兆3126億円 |
2017年3月 | 1兆8311億円 |
2018年3月 | 2兆4939億円 |
2019年3月 | 1兆8828億円 |
2020年3月 | 2兆361億円 |
2021年3月 | 2兆2452億円 |
2022年3月 | 2兆8501億円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が102.8円、直近の3年平均が170.5円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 65.8%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 55.81円 | |
2014年3月 | 115.06円 | 3年平均:102.8円 |
2015年3月 | 137.6円 | |
2016年3月 | 148.66円 | |
2017年3月 | 121.75円 | |
2018年3月 | 169.23円 | |
2019年3月 | 131.14円 | |
2020年3月 | 145.49円 | |
2021年3月 | 160.65円 | 3年平均:170.5円 |
2022年3月 | 205.23円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2021年が無配であり、基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 9円/株 | 1.2% |
2011年3月 | 10円/株 | 1.49% |
2012年3月 | 10円/株 | 1.4% |
2013年3月 | 18円/株 | 1.85% |
2014年3月 | 33円/株 | 2.83% |
2015年3月 | 40円/株 | 2.39% |
2016年3月 | 42円/株 | 3.53% |
2017年3月 | 42円/株 | 3.48% |
2018年3月 | 44円/株 | 3.22% |
2019年3月 | 44円/株 | 3.39% |
2020年3月 | 44円/株 | 3.38% |
2021年3月 | 48円/株 | 2.79% |
2022年3月 | 52円/株 | 2.34% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.62倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.98倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も11.39で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高31兆3795億円 |
②財務状況 | × | 流動/固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +65.8% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.34% |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.91倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.00倍 |
財務状況のみが基準未達となり、「トヨタ自動車(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。その他項目はしっかりクリアできているのですが、仕方ありません。
トヨタ自動車の目下の課題は、自動車業界全体の電動化にどう対応していくかですね。ハイブリッド車に依存したこれまでの電動戦略から、世界的なバッテリー駆動の電気自動車への流れにどうシフトし、参入していくのか。
2030年までにバッテリー駆動のEV販売を350万台に増やすことを目標に掲げ、電動化に8兆円を投資すると発表し、投資額の半分はEVに投入するとしています。さらに、レクサスと合わせて30モデルの新型EVを投入する予定とのこと。
トヨタがいかに既存のプラットフォームで収益を上げ続けつつ、将来的な技術に対してより大胆な投資を行うことができるかどうか、今後に注目です。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
・太陽誘電【6976】
・日東電工【6988】
の9社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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