こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるスズキ(株)【7269】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったスズキの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・スズキは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
スズキ(株)【7269】 の基本情報
・設立年月日 1920年3月15日
・上場年月日 1949年5月
・業種 輸送用機器
・特色 国内軽2強。2輪3位。インド4輪シェア4割弱占有。小型車開発に優位性。トヨタと資本提携。
・資本金 1,383億円
・従業員数 (単独)-人 (連結)72,444人
・株価 6,715円(2024.2.18)
・単元 100株
・決算 3月末日
世界大手の輸送機器及び機械工業メーカーで、四輪車は軽自動車や小型車などを主力とし、新興国市場への進出に積極的で、特にインド市場で強みを発揮しています。軽自動車の分野では、1973年から2006年までの34年間にわたり販売台数日本一を誇り、マツダや日産自動車、三菱自動車工業へのOEM供給も行っています。
2020年に創立100周年を迎えた国内自動車メーカーの中でも歴史の長い名門企業で、自動車以外ではモーターサイクル、モーターボート、船外機、発電機、リース/クレジット事業、住宅、マジャール・スズキからの縁によるハンガリー産ワイン・はちみつ、保険の販売やカー用品事業、ガソリンスタンド、ゴルフ場の経営なども手がけています。
現在の大手自動車メーカーでは珍しく、起業から現在に至るまで創業家一族が経営の中枢を担う役職を世襲しています。
一. お客様の立場になって価値ある製品を作ろう
二. 協力一致清新な会社を建設しよう
三. 自己の向上につとめ常に意欲的に前進しよう
「小・少・軽・短・美」を根幹とするモノづくりでムダのない効率的な健全経営に取り組みながら、顧客に喜ばれる真の価値ある製品づくりとサービスの提供に努めておられます。
ではここからは、スズキ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
輸送用機器94社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3兆2385億円(6位) |
売上高 | 4兆6416億円(5位) |
純利益 | 2211億700万円(5位) |
純利益率 | 4.8%(24位) |
総資産 | 4兆9123億円(6位) |
輸送用機器の中で売上高は5位、総資産は6位。利益率もまずまず高く、純利益率は4.8%の24位、小型・軽自動車で強みを持つ自動車メーカーです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2兆1885億円
流動負債:1兆4874億円
固定負債:5816億5600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.47倍で基準未達、
②は、固定負債5816億円 < 純流動資産7011億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 1074億8400万円 |
2015年3月 | 968億6200万円 |
2016年3月 | 1166億6000万円 |
2017年3月 | 1599億5600万円 |
2018年3月 | 2157億3000万円 |
2019年3月 | 1787億5900万円 |
2020年3月 | 1342億2200万円 |
2021年3月 | 1464億2100万円 |
2022年3月 | 1603億4500万円 |
2023年3月 | 2211億700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +81.4%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 191.6円 | |
2015年3月 | 172.67円 | 3年平均:199.8円 |
2016年3月 | 234.98円 | |
2017年3月 | 362.54円 | |
2018年3月 | 488.86円 | |
2019年3月 | 395.26円 | |
2020年3月 | 286.36円 | |
2021年3月 | 301.64円 | |
2022年3月 | 330.2円 | 3年平均:362.4円 |
2023年3月 | 455.21円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 12円/株 | 0.58% |
2011年3月 | 13円/株 | 0.7% |
2012年3月 | 15円/株 | 0.76% |
2013年3月 | 18円/株 | 0.85% |
2014年3月 | 24円/株 | 0.89% |
2015年3月 | 27円/株 | 0.75% |
2016年3月 | 32円/株 | 1.06% |
2017年3月 | 44円/株 | 0.95% |
2018年3月 | 74円/株 | 1.29% |
2019年3月 | 74円/株 | 1.51% |
2020年3月 | 85円/株 | 3.29% |
2021年3月 | 91円/株 | 1.79% |
2022年3月 | 91円/株 | 2.16% |
2023年3月 | 100円/株 | 2.08% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.54倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.42倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も19.23で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高4.6兆円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +81.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.08% |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.54倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.42倍 |
財務状況のみが基準未達となり、
スズキ(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債の割合がわずかに高く、他はすべてクリアできていたので非常に惜しいところでした。
主要事業地域である日本・インド・欧州を核にして、カーボンニュートラル社会の実現とインド・ASEAN・アフリカなどの新興国の経済成長に貢献していく。また、顧客の立場になった製品・サービスづくりと進出国・地域とともに成長するというスズキらしい解決策に取り組んでいく。
スズキでは、2030年度に向けた成長戦略を策定されています。
主力のインド四輪事業では、バッテリーEVを2024年度に投入し、2030年度までに6モデルを展開、ハイブリッド車・CNG・バイオガス・エタノール配合の燃料などを使用したカーボンニュートラルな内燃機関車も継続的に投入していくとのこと。さらなる事業拡大が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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