こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである三井住友フィナンシャルグループ(株)【8316】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った三井住友フィナンシャルグループの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・三井住友フィナンシャルグループは割安株なのか?
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
三井住友フィナンシャルグループ(株)【8316】 の基本情報
・設立年月日 2002年12月2日
・上場年月日 2002年12月1日
・業種 銀行業
・特色 傘下に三井住友銀、SMBC日興証券、プロミスなど。3大金融グループの一角、効率性トップ。
・資本金 2兆3,425億円
・従業員数 (単独)27,945人 (連結)109,434人
・株価 8,994円(2024.5.2)
・単元 100株
・決算 3月末日
メガバンクの三井住友銀行(SMBC)などを傘下に置く金融持株会社、およびSMBCグループの中核会社で、銀行業務、クレジットカード業務など、様々な金融サービスに関する事業を手掛けています。
グループ全体の名称は「SMBCグループ」で、同じく三井グループ・住友グループに所属している三井住友信託銀行を中心とした三井住友トラスト・ホールディングスとの直接的な資本関係はなく、互いに独立した企業グループです。
お客様に、より一層価値あるサービスを提供し、お客様と共に発展する
事業の発展を通じて、株主価値の永続的な増大を図る
勤勉で意欲的な社員が、思う存分にその能力を発揮できる職場を作る
社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する
目指すビジョンには、「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」を定めています。
ではここからは、三井住友フィナンシャルグループに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
銀行業78社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 11兆9063億円(2位) |
売上高 | 6兆1421億円(2位) |
純利益 | 8058億4200万円(2位) |
純利益率 | 13.1%(21位) |
総資産 | 285兆7780億円(2位) |
銀行業の中で売上高、総資産とも2位。利益率も高く、純利益率は13.1%の21位、国内3大金融グループの一角です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:99兆774億円
流動負債:233兆7071億円
固定負債:24兆398億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.42倍で基準未達、
②は、固定負債24.0兆円 > 純流動資産-134.6兆円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合もかなり高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009年に赤字がありますが、それ以降は毎年しっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 8353億5700万円 |
2015年3月 | 7536億1000万円 |
2016年3月 | 6466億8700万円 |
2017年3月 | 7065億1900万円 |
2018年3月 | 7343億6800万円 |
2019年3月 | 7266億8100万円 |
2020年3月 | 7038億8300万円 |
2021年3月 | 5128億1200万円 |
2022年3月 | 7066億3100万円 |
2023年3月 | 8058億4200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -9.5%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 611.45円 | |
2015年3月 | 551.18円 | 3年平均:545.2円 |
2016年3月 | 472.99円 | |
2017年3月 | 516円 | |
2018年3月 | 520.67円 | |
2019年3月 | 519.95円 | |
2020年3月 | 511.87円 | |
2021年3月 | 374.26円 | |
2022年3月 | 515.51円 | 3年平均:493.4円 |
2023年3月 | 590.46円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 100円/株 | 3.24% |
2011年3月 | 100円/株 | 3.87% |
2012年3月 | 100円/株 | 3.67% |
2013年3月 | 120円/株 | 3.18% |
2014年3月 | 120円/株 | 2.72% |
2015年3月 | 140円/株 | 3.04% |
2016年3月 | 150円/株 | 4.4% |
2017年3月 | 150円/株 | 3.71% |
2018年3月 | 170円/株 | 3.81% |
2019年3月 | 180円/株 | 4.64% |
2020年3月 | 190円/株 | 7.24% |
2021年3月 | 190円/株 | 4.74% |
2022年3月 | 210円/株 | 5.37% |
2023年3月 | 240円/株 | 4.53% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.03倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.86倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも11.21で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高6.1兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | -9.5% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.53% |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.03倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.86倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、
三井住友フィナンシャルグループ(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
ここ10年赤字もなく、配当もかなりの高さで非常に魅力的なのですが、これもあおぞら銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループと同じパターンですね。負債がかなりの多さで、収益成長性が物足りないです。仕方ありません。
優先的に資源投入するビジネスの選別を徹底しつつ、ビジネスモデルとコスト構造の抜本的な改革に取り組むとともに、将来に向けた投資を着実に行い、金融サービス以外の事業も含めた新たな成長機会の捕捉や付加価値の創出に努める
具体的には、デジタル技術の活用や大口富裕層の顧客への対応力強化等を通じて資産運用ビジネスの収益性を高めるとともに、決済・コンシューマーファイナンスビジネスにおけるシェア拡大及び収益力の向上などを進めるそう。今後の成長に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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