こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである野村ホールディングス(株)【8604】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った野村ホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・野村ホールディングスは割安株なのか?
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
野村ホールディングス(株)【8604】 の基本情報
・設立年月日 1925年12月25日
・上場年月日 1961年10月
・業種 証券業
・特色 証券国内最大手。異業種提携に意欲。個人向け営業重点強化。未上場株など非伝統商品も開拓。
・資本金 5,944億円
・従業員数 (単独)-人 (連結)26,918人
・株価 879.5円(2024.5.12)
・単元 100株
・決算 3月末日
アジア最大と同時に世界的影響力を持つ投資銀行・証券持株会社で、1925年に 株式会社大阪野村銀行(後の大和銀行、現りそな銀行)の証券部から分離して設立されました。
グループは同社と連結子会社1285社により構成され、主たる事業は、証券業を中核とする投資・金融サービス業、日本をはじめ世界の主要な金融・資本市場を網羅する営業拠点等を通じ、顧客に対し資金調達、資産運用の両面で幅広いサービスを提供しています。
国内証券最大の顧客基盤を持ち、高度なコンサルティング能力とそれを支えるプラットフォームを強みとしています。
「豊かな社会の創造」
「お客様に選ばれるパートナー」
「挑戦・協働・誠実」
コーポレート・スローガンには「目指すのは、”今”以上の”未来”。」を定め、この理念とその実現に向けた意思を示されています。
ではここからは、野村ホールディングスに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
証券、商品先物取引業40社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆6359億円(1位) |
売上高 | 2兆4867億円(1位) |
純利益 | 1658億6300万円(1位) |
純利益率 | 9.0%(29位) |
総資産 | 55兆1472億円(1位) |
証券、商品先物取引業の中で売上高、総資産とも1位。利益率は低めで、純利益率は9.0%の29位、証券取引業では国内トップです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3兆9615億円
流動負債:2兆1102億円
固定負債:4兆8263億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.88倍で基準未達、
②は、固定負債4.8兆円 > 純流動資産1.9兆円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、2019年に赤字がありますね。米国の株式執行子会社などのれんの減損に加え、リテール部門、海外の市場部門などの不振が響いたとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 2247億8500万円 |
2016年3月 | 1315億5000万円 |
2017年3月 | 2396億1700万円 |
2018年3月 | 2193億4300万円 |
2019年3月 | -1004億4200万円 |
2020年3月 | 2169億9800万円 |
2021年3月 | 1531億1600万円 |
2022年3月 | 1429億9600万円 |
2023年3月 | 927億8600万円 |
2024年3月 | 1658億6300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 19.9%となり、残念ながら基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 61.66円 | |
2016年3月 | 36.53円 | 3年平均:55.2円 |
2017年3月 | 67.29円 | |
2018年3月 | 63.13円 | |
2019年3月 | -29.9円 | |
2020年3月 | 67.76円 | |
2021年3月 | 50.11円 | |
2022年3月 | 46.68円 | |
2023年3月 | 30.86円 | 3年平均:44.2円 |
2024年3月 | 54.97円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 8円/株 | 1.16% |
2011年3月 | 8円/株 | 1.84% |
2012年3月 | 6円/株 | 1.64% |
2013年3月 | 8円/株 | 1.39% |
2014年3月 | 17円/株 | 2.57% |
2015年3月 | 19円/株 | 2.69% |
2016年3月 | 13円/株 | 2.58% |
2017年3月 | 20円/株 | 2.89% |
2018年3月 | 20円/株 | 3.25% |
2019年3月 | 6円/株 | 1.5% |
2020年3月 | 20円/株 | 4.37% |
2021年3月 | 35円/株 | 6.02% |
2022年3月 | 22円/株 | 4.27% |
2023年3月 | 17円/株 | 3.33% |
2024年3月 | 23円/株 | 2.35% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは15.89倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.79倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも12.55で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2.6兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2019年赤字 |
④収益成長性 | × | -19.9% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.35% |
⑥株価収益率 | △ | 15.89倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.79倍 |
財務状況と収益安定性/成長性の3項目で基準未達となり、
野村ホールディングス(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
配当はきっちりあるものの、負債が多く、赤字あり、成長性も物足りないですね。仕方なしです。
「野村を今立っている場所とは違うところ、次のステージに進める」という考えのもと、その実現に向けた戦略の1つとして「パブリックに加え、プライベート領域への拡大・強化」として、「プライベート、あなただけのため」のサービス・ソリューションの提供を強化する
グローバルな金融サービス・グループとして、国内外の顧客に価値ある商品・サービスを提供することを目指し、2021年に発生した米国における多額損失事案から、商品・サービスの多様化、多国間で複合的に展開される事業活動に対するリスク管理の高度化が不可欠と考え、リスク管理ならびに業務運営のプロセス、手順および組織体制について見直しをされています。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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