こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである第一生命ホールディングス(株)【8750】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った第一生命ホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・第一生命ホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
第一生命ホールディングス(株)【8750】 の基本情報
・設立年月日 2010年4月1日
・上場年月日 2010年4月1日
・業種 保険業
・特色 生保大手。契約者は約800万人。M&Aで海外事業が急拡大。銀行窓販は子会社で展開。
・資本金 3,439億円
・従業員数 (単独)909人 (連結)60,128人
・株価 4,020円(2024.6.8)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本の金融持株会社で、2016年に持株会社体制へ移行し、第一生命保険株式会社から商号変更しています。1970年以降から積極的に海外に進出し、今では事業ポートフォリオの1/4を占めるほど。
1902年に日本初の相互会社形式による生命保険会社として設立され、日本国内で初の相互会社(顧客と社員が一致する会社形態)であるという意味を込めて、社名に「第一」という文字が使われたそうです。ただ、現在は株式会社の組織形態をとっています。
国内市場が成熟しきっているなかで、積極的に海外展開している経営姿勢は強みといえますね。
顧客にとっての「一生涯のパートナー」となること
グループビジョンには「Protect and improve the well-being of all」を定め、すべての人々の幸せを守り、高めることを目指されています。
ではここからは、第一生命ホールディングスに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
保険業14社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3兆7995億円(3位) |
売上高 | 11兆281億円(1位) |
純利益 | 3207億6500万円(4位) |
純利益率 | 2.9%(8位) |
総資産 | 67兆5403億円(1位) |
保険業の中で売上高、総資産とも1位。利益率は中位で、純利益率は2.9%の8位、生命保険業界のリーディングカンパニーです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:49兆2289億円
流動負債:58兆853億円
固定負債:9066億1200万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.85倍で基準未達、
②は、固定負債9066億円 > 純流動資産-8.8兆円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、問題ありません。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 324億2700万円 |
2014年3月 | 779億3100万円 |
2015年3月 | 1424億7600万円 |
2016年3月 | 1785億1500万円 |
2017年3月 | 2312億8600万円 |
2018年3月 | 3639億2800万円 |
2019年3月 | 2250億3500万円 |
2020年3月 | 324億3300万円 |
2021年3月 | 3637億7700万円 |
2022年3月 | 4093億5300万円 |
2023年3月 | 1923億100万円 |
2024年3月 | 3207億6500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +91.1%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 124.94円 | |
2016年3月 | 150.53円 | 3年平均:157.4円 |
2017年3月 | 196.62円 | |
2018年3月 | 310.69円 | |
2019年3月 | 194.43円 | |
2020年3月 | 28.53円 | |
2021年3月 | 325.61円 | |
2022年3月 | 383.15円 | |
2023年3月 | 189.28円 | 3年平均:300.7円 |
2024年3月 | 329.68円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2011年3月 | 16円/株 | 1.27% |
2012年3月 | 16円/株 | 1.4% |
2013年3月 | 16円/株 | 1.26% |
2014年3月 | 20円/株 | 1.33% |
2015年3月 | 28円/株 | 1.6% |
2016年3月 | 35円/株 | 2.57% |
2017年3月 | 43円/株 | 2.15% |
2018年3月 | 50円/株 | 2.57% |
2019年3月 | 58円/株 | 3.77% |
2020年3月 | 62円/株 | 4.78% |
2021年3月 | 62円/株 | 3.26% |
2022年3月 | 83円/株 | 3.32% |
2023年3月 | 86円/株 | 3.53% |
2024年3月 | 113円/株 | 2.93% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.76倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.98倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも11.52で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高11兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +91.1% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.93% |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.76倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.98倍 |
財務状況のみで基準未達となり、
第一生命ホールディングス(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
成長性や配当など、財務状況以外は優秀なのですが、流動資産に対して流動/固定いずれの負債も多いですね。MS&ADもそうでしたが保険業という業種である以上、こういう財務構造になってしまうところがありますね。仕方ありません。
事業領域を4つの体験価値(保障、資産形成・承継、健康・医療、つながり・絆)へと拡げるとともに、事業の大前提である地域・社会の持続性確保にも積極的に取り組む。
株主還元についても、生命保険事業の特性である長期安定した収益性に相応しい、安定した現金配当を基本としつつ、資本充足率(ESR)やキャッシュフローの状況、戦略的な投資機会の有無等を勘案し、自己株式取得等による機動的・柔軟な追加還元を検討するとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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