こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである京王電鉄(株)【9008】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った京王電鉄の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・京王電鉄は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
京王電鉄(株)【9008】 の基本情報
・設立年月日 1948年6月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 陸運業
・特色 東京中西部に鉄道、バス網。不動産、ホテルや百貨店等展開。子育て支援等沿線活性策。財務良好。
・従業員数 (単独)2,410人 (連結)12,692人
・株価 3,668円(2024.6.16)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本の大手私鉄の一つで、東京都南西部から神奈川県北部に有する鉄道路線を運営する会社です。京王グループの中核企業であり、6路線84.7kmの鉄道路線を有し、大きく分けて京王線系統と井の頭線の2つのグループから構成されています。
京王という名称の由来は、東京と八王子を結ぶ鉄道であることから。路線開通などはないものの、連続立体交差事業の推進を働きかけたり、パスネット、PASMOの導入に伴う積極的な機器の導入、待合室や新型ベンチの早期導入など、「乗客が利用しやすい鉄道」を目指されています。
京王沿線エリアは高年収層や富裕層が多く住みやすい街が多いそうです。
私たち京王グループは、つながりあうすべての人に誠実であり、環境にやさしく、「信頼のトップブランド」になることを目指します。そして、幸せな暮らしの実現に向かって生活に溶け込むサービスの充実に日々チャレンジします。
グループスローガンには、「あなたと あたらしい あしたへ」
今まで培ってきた「強み」である信頼をさらに確固たるものとし、生活関連サービス事業者として、社会からより一層求められる「サービス」の充実を目指されています。
ではここからは、京王電鉄に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
陸運業62社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4478億9300万円(15位) |
売上高 | 4086億9400万円(20位) |
純利益 | 292億4300万円(15位) |
純利益率 | 7.2%(15位) |
総資産 | 1兆793億円(15位) |
陸運業の中で売上高は20位、総資産は15位。利益率も高く、純利益率は7.2%の15位、国内大手私鉄の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:2482億8500万円
流動負債:2748億3400万円
固定負債:4106億2400万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.90倍で基準未達、
②は、固定負債4106億円 > 純流動資産-265億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合もかなり高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、2021年に赤字がありますね。新型コロナウイルスの感染拡大で移動自粛や在宅勤務が広がり、鉄道やホテル事業が落ち込んだ影響とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 172億4800万円 |
2016年3月 | 194億6800万円 |
2017年3月 | 211億6800万円 |
2018年3月 | 238億9700万円 |
2019年3月 | 272億1300万円 |
2020年3月 | 178億7500万円 |
2021年3月 | -275億1900万円 |
2022年3月 | 55億8500万円 |
2023年3月 | 131億1400万円 |
2024年3月 | 292億4300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -17.2%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 141.23円 | |
2016年3月 | 159.42円 | 3年平均:158.0円 |
2017年3月 | 173.35円 | |
2018年3月 | 195.7円 | |
2019年3月 | 222.87円 | |
2020年3月 | 146.39円 | |
2021年3月 | -225.38円 | |
2022年3月 | 45.74円 | |
2023年3月 | 107.4円 | 3年平均:130.9円 |
2024年3月 | 239.48円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りは低めですが毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 30円/株 | 0.95% |
2011年3月 | 30円/株 | 1.21% |
2012年3月 | 30円/株 | 1.01% |
2013年3月 | 40円/株 | 0.99% |
2014年3月 | 37.5円/株 | 1.04% |
2015年3月 | 40円/株 | 0.85% |
2016年3月 | 42.5円/株 | 0.86% |
2017年3月 | 45円/株 | 1.02% |
2018年3月 | 47.5円/株 | 1.05% |
2019年3月 | 50円/株 | 0.7% |
2020年3月 | 52.5円/株 | 0.82% |
2021年3月 | 40円/株 | 0.54% |
2022年3月 | 40円/株 | 0.84% |
2023年3月 | 40円/株 | 0.86% |
2024年3月 | 52.5円/株 | 1.26% |
なお、株主優待は3月末と9月末の権利確定で100株以上保有で株主優待乗車証(京王電鉄全線を片道1乗車できる乗車券)がもらえます。保有株数によってもらえる枚数が異なり、100株なら2枚、200株以上なら200株につき4枚、6,000株以上なら30枚プラス定期券となり、期間内であれば全線乗り放題となります。
また株主優待券が1式もらえ、京王百貨店や京王プラザホテルなどで割引が受けられます。その他1,000株以上を3年以上保有すれば長期株主優待として優待乗車券や優待券が上乗せでもらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.10であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.14倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも14.93で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4086億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -17.2% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.26%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.10倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.14倍 |
財務状況、収益安定性/成長性の3項目で基準未達となり、
京王電鉄(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
小田急電鉄と同様、陸運業という事業の性質上、負債が多くなりがちですし、鉄道も含めて新型コロナの影響を大きく受けたこともあり、なかなか厳しいですね。
顧客ニーズを捉えた移動需要の創出、新しいライフスタイルを牽引しつつ、魅力あふれる住みたくなる「まちづくり」を推進し、沿線力向上に取り組む
鉄道事業では、輸送人員がコロナ禍以前の水準までは戻らないという前提のもと、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業やホームドアの整備、座席指定列車の運行拡大や駅施設リニューアルによるサービス向上に取り組まれるとのこと。コロナ禍を乗り越えつつ現状を踏まえ、今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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