こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである京成電鉄(株)【9009】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った京成電鉄の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・京成電鉄は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
京成電鉄(株)【9009】 の基本情報
・設立年月日 1909年6月30日
・上場年月日 1949年5月
・業種 陸運業
・特色 千葉、東京東部、茨城地盤。成田空港へのアクセス路線が収益柱。オリエンタルランドの筆頭株主。
・従業員数 (単独)1,865人 (連結)12,301人
・株価 5,383円(2024.6.16)
・単元 100株
・決算 3月末日
東京都区部東部と千葉県北部に鉄道路線を有する大手私鉄の一つであり、京成グループの中核企業です。鉄道業を本業とし、総営業キロ数は152.3km、路線全体の駅数は69駅、不動産事業も展開しています。
社名は運営路線の起終点の頭文字である東京の「京」と成田の「成」に由来します。鉄道・バス・タクシーなどの交通機関を運営する京成バス・東京ベイシティ交通・北総鉄道・新京成電鉄・関東鉄道・千葉交通などの親会社です。
東京ディズニーリゾートなどを運営するオリエンタルランドの筆頭株主でもあります。
京成グループは、お客様に喜ばれる良質な商品・サービスを、安全・快適に提供し、健全な事業成長のもと、社会の発展に貢献します。
グループスローガンには「いろんな笑顔を結びたい 京成グループ」
「いろんな笑顔」は、地域社会におけるお客様やグループ各社で働く一人ひとりの笑顔、更には成田空港を拠点とした日本と世界の出会いの笑顔など様々な笑顔を表しており、このスローガンは京成グループがあらゆる人々を大切にする企業グループでありたいという意味が込められています。
ではここからは、京成電鉄に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
陸運業62社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 8749億5400万円(7位) |
売上高 | 2965億900万円(23位) |
純利益 | 876億5700万円(4位) |
純利益率 | 29.6%(2位) |
総資産 | 1兆642億円(16位) |
陸運業の中で売上高は7位、総資産は16位。利益率も極めて高く、純利益率は29.6%の2位、国内大手私鉄の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:1441億6500万円
流動負債:2237億5900万円
固定負債:3712億8400万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.64倍で基準未達、
②は、固定負債3712億円 > 純流動資産-795億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合もかなり高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、2021年と2022年に赤字がありますね。特に赤字幅の大きかった2021年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う乗客減少の影響で過去最大の赤字となっています。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 256億8300万円 |
2016年3月 | 309億9700万円 |
2017年3月 | 357億1100万円 |
2018年3月 | 348億1100万円 |
2019年3月 | 386億4200万円 |
2020年3月 | 301億1000万円 |
2021年3月 | -302億8900万円 |
2022年3月 | -44億3800万円 |
2023年3月 | 269億2900万円 |
2024年3月 | 876億5700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +20.9%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 151.71円 | |
2016年3月 | 183.1円 | 3年平均:181.9円 |
2017年3月 | 210.96円 | |
2018年3月 | 205.65円 | |
2019年3月 | 228.29円 | |
2020年3月 | 178.07円 | |
2021年3月 | -179.65円 | |
2022年3月 | -26.33円 | |
2023年3月 | 161.71円 | 3年平均:220.0円 |
2024年3月 | 524.57円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りは低めですが毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 12円/株 | 1.05% |
2011年3月 | 11円/株 | 1.15% |
2012年3月 | 10円/株 | 0.78% |
2013年3月 | 11円/株 | 0.55% |
2014年3月 | 12円/株 | 0.67% |
2015年3月 | 12円/株 | 0.4% |
2016年3月 | 13円/株 | 0.41% |
2017年3月 | 14円/株 | 0.54% |
2018年3月 | 15円/株 | 0.46% |
2019年3月 | 17円/株 | 0.42% |
2020年3月 | 17円/株 | 0.54% |
2021年3月 | 17円/株 | 0.47% |
2022年3月 | 17円/株 | 0.5% |
2023年3月 | 20円/株 | 0.49% |
2024年3月 | 39円/株 | 0.63% |
なお、株主優待は3月末と9月末の権利確定で100株以上保有で株主優待乗車証(京成電鉄全線を片道1乗車できる乗車券)がもらえます。保有株数によってもらえる枚数が異なり、100株なら2枚、500株以上なら8枚、17,500株以上なら60枚もしくは期間内であれば全線乗り放題となる定期券がもらえます。
また株主優待券が1式もらえ、京成百貨店や京成ホテルなどで割引が受けられます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは18.62であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.94倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも36.12で基準未達です。これはちょっと高いですね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高2965億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2021年,2022年赤字 |
④収益成長性 | △ | +20.9% |
⑤配当 | 〇 | 利回り0.63%+優待あり |
⑥株価収益率 | △ | 18.62倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 1.94倍 |
財務状況、収益安定性/成長性、株価収益率/純資産倍率の5項目で基準未達となり、
京成電鉄(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
京王電鉄と同様、陸運業という事業の性質上、負債が多くなりがちですし、鉄道も含めて新型コロナの影響を大きく受けたこともあり、なかなか厳しいですね。PER,PBRも高いです。
新型コロナウイルス収束後の移動・観光需要の復調等を確実に捉え、収益の回復及び将来的な事業拡大に向けた施策を推進し、コロナ禍での低迷からの回復を目指す
鉄道事業においては、中長期的には成田空港の機能強化に対応し、空港輸送の増強に努めるとともに、バス・タクシー事業においては、社会環境や事業環境の変化に対応した運営体制・営業体制の検討を進めるとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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