JR東海は割安株なのか?バフェット流「バリュー投資の7つの基準」で日経225銘柄を評価!

なみ

こんにちは、なみです。

今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東海旅客鉄道(株)【9022】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。

この記事でわかること

・バリュー投資の7つの基準に沿ったJR東海の評価
 事業規模は?
 資産と負債のバランスは?
 収益の安定性と成長性は?
 配当はしっかり出てるのか?
 株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・JR東海は割安株なのか?

あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。

なみ

日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?

を探し当てるためのご参考にしてください。

ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。

目次

東海旅客鉄道(株)【9022】 の基本情報

・設立年月日 1987年4月1日
・上場年月日 1997年10月8日
・業種    陸運業
・特色    JR東海。東海道新幹線と在来線12路線保有。新幹線が収益の約7割。流通、不動産事業も展開。
・従業員数  (単独)18,514人 (連結)29,282人
・株価    3,297円(2024.6.23)
・単元    100株
・決算    3月末日

こんな会社

東海を中心として旅客鉄道等を運営する日本の鉄道事業者。東京駅 – 新大阪駅間を結ぶ東海道新幹線、および東海地方を中心として神奈川県、静岡県、山梨県、長野県、愛知県、岐阜県、滋賀県、三重県の8県にまたがる12線区の在来線を営業エリアとしており、旅客鉄道会社では唯一三大都市圏全てに営業エリアを持つ。

日本の鉄道の大動脈である東海道新幹線を運営し、リニア中央新幹線事業を推進、JRグループ各社の中では収益に占める新幹線の割合が最も高く、営業利益ではJRグループで売上高最大のJR東日本を上回ります。

またJRセントラルタワーズやJRゲートタワーなど、JR東海最大のターミナル駅である名古屋駅周辺での不動産開発を積極的に行なっています。

なみ

国内GDPの約6割を占め、日本の大動脈と呼ばれる東名阪地域の鉄道網を独占していることは大きな強みですね。

経営理念

日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する

日本の経済や文化の中心として重要な役割を果たす東京〜名古屋〜大阪の高速大量旅客輸送を担うことを使命とし、日本の大動脈と一体的に、名古屋・静岡を中心とした地域に根差した在来線運営とこれらの地域を中心とした関連事業展開を行い、人々の生活を支える社会基盤としての使命も担っています。

ではここからは、JR東海に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。

①事業規模

事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」

日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。

陸運業62社の中での各項目のランキングは以下の通りです。

時価総額3兆2442億円(1位)
売上高1兆7104億円(4位)
純利益3844億1100万円(1位)
純利益率22.5%(3位)
総資産9兆9418億円(1位)
業績に関する各種項目

陸運業の中で売上高は4位、総資産は1位。利益率も非常に高く、純利益率は22.5%で3位。JR東日本と並ぶ国内鉄道会社のトップの一社です。

事業規模は文句なし!

②財務状況

次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」

2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:2兆7910億円
流動負債:7987億300万円
固定負債:4兆9195億円 なので、

①は、流動資産 / 流動負債 = 3.49倍で基準達成
②は、固定負債4.9兆円 > 純流動資産1.9兆円 で基準未達となり、
流動資産に対して固定負債の割合がかなり高く、基準未達です。

財務状況はNG!

③収益安定性

収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」

過去10年の業績で確認すると、2021年と2022年に赤字がありますね。特に赤字幅の大きかった2021年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、売上高が半減したとのこと。残念ながら基準未達です。

年度純利益
2015年3月 2641億3400万円
2016年3月3374億4000万円
2017年3月3929億1300万円
2018年3月3955億200万円
2019年3月4387億1500万円
2020年3月3978億8100万円
2021年3月-2015億5400万円
2022年3月-519億2800万円
2023年3月2194億1700万円
2024年3月3844億1100万円
直近10年間の純利益

収益安定性はNG!

④収益成長性

収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」

過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -44.5%となり、基準未達です。

年度EPS
2015年3月268.43円
2016年3月342.93円3年平均:336.9円
2017年3月399.3円
2018年3月403.09円
2019年3月447.79円
2020年3月405.57円
2021年3月-205.09円
2022年3月-52.77円
2023年3月222.99円3年平均:187.0円
2024年3月390.66円
直近10年間の1株当たり純利益(EPS)

収益成長性はNG!

⑤配当

配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」

入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。

年度配当金配当利回り
2010年3月18円/株1.26%
2011年3月18円/株1.37%
2012年3月0.19円/株0.01%
2013年3月21円/株1.06%
2014年3月23円/株0.95%
2015年3月24円/株0.55%
2016年3月25円/株0.63%
2017年3月27円/株0.74%
2018年3月28円/株0.7%
2019年3月29円/株0.56%
2020年3月30円/株0.87%
2021年3月26円/株0.79%
2022年3月26円/株0.81%
2023年3月27円/株0.85%
2024年3月29円/株0.78%
直近20年間の配当金と配当利回り

なお、株主優待は3月末の権利確定で500株以上保有で株主優待割引券(営業路線内の運賃・料金が1割引)がもらえます。保有株数によってもらえる枚数が異なり、500株なら1枚、5,000株以上なら10枚プラス5,000株超過分は1000株ごとに1枚、500,000株以上なら500枚もらえます。他のJR東日本(4割引)、JR西日本(5割引)と比べると優待割引券の割引率が低くなっています。

配当は問題なし!

⑥株価収益率

株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」

Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.51であり、基準達成です。

株価収益率は文句なし!

⑦株価純資産倍率

株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」

Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.78倍であり、①のPBRは基準達成です。

②のPER × PBRも6.64で基準達成です。

株価純資産倍率は文句なし!

まとめ

今回の結果をまとめると以下の通りとなります。

項目結果備考
①事業規模売上高1.7兆円
②財務状況固定負債多い
③収益安定性×2021年,2022年赤字
④収益成長性×-44.5%
⑤配当利回り0.78%+優待あり
⑥株価収益率8.51倍
⑦株価純資産倍率0.78倍
結果まとめ

財務状況、収益安定性/成長性の3項目で基準未達となり、

なみ

東海旅客鉄道(株)は割安株に該当しません!

という結果となりました。

JR東日本やJR西日本などと同様、陸運業という事業の性質上、負債が多くなりがちですし、鉄道も含めて新型コロナの影響を大きく受けたこともあり、なかなか厳しいですね。

これからのJR東海

名古屋駅におけるJRセントラルタワーズ・JRゲートタワーの各事業展開に代表されるように、鉄道事業と相乗効果を期待できる事業分野を中心に事業の拡大を推進し、グループ全体の収益力強化を図る

ドル箱の東海道新幹線については、「のぞみ12本ダイヤ」を活用して、需要にあわせた弾力的な列車設定に取り組みます。また、新型車両N700Sの追加投入を進めるとともに、既存のN700Aタイプに対し、N700Sの一部機能を追加する改造工事を進めるとのこと。コロナ禍を乗り越えた後、どこまで業績回復できるか。今後に期待ですね。

これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。

以上、皆さんの参考になれば幸いです。

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