こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日本航空(株)【9201】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日本航空の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日本航空は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
日本航空(株)【9201】 の基本情報
・設立年月日 1953年10月1日
・上場年月日 2012年9月19日
・業種 空運業
・特色 国内、国際線で2位。傘下にLCCジップエア、中国、豪州系も。マイレージなど非航空注力。
・従業員数 (単独)-人 (連結)36,500人
・株価 2,566.5円(2024.7.7)
・単元 100株
・決算 3月末日
JAL便の運航を受け持つ単一の事業会社で、2023年の利用旅客数は、国際・国内線共に第2位。日本の航空会社として最も長い歴史を持っています。
JALグループを代表する中核事業会社として、一般には旧持株会社同様、日本航空、日航、JAL(ジャル、ジェイエイエル)と通称されます。2010年1月には会社更生法の適用を申請、更生手続きをとられたにも関わらず、そこからしっかり経営再建され、2023年4月には日経225銘柄の一つに組み込まれています。
イギリスのスカイトラックスによる航空会社の格付けでは、実質最高評価の「ザ・ワールド・ファイブ・スター・エアラインズ」の認定を得ています。
JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
一、お客さまに最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。
JALグループに集う、経営陣を含めた社員一人ひとりが、「JALで働いていてよかった」と思えるような企業となることを目指し、お客さまに最高のサービスを提供できるよう、必死の努力をすることを宣言されています。
ではここからは、日本航空に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
空運業6社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆1215億円(2位) |
売上高 | 1兆6518億円(2位) |
純利益 | 955億3400万円(2位) |
純利益率 | 5.8%(3位) |
総資産 | 2兆6492億円(2位) |
空運業の中で売上高、総資産とも2位。利益率も高く、純利益率は5.8%の3位。現在の空運業を代表する一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆226億円
流動負債:7372億円
固定負債:9636億8600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.39倍で基準未達、
②も、固定負債9636億円 > 純流動資産2854億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2021年と2022年に赤字があります。もちろんコロナ禍の影響ですね。基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 1490億4500万円 |
2016年3月 | 1744億6800万円 |
2017年3月 | 1641億7400万円 |
2018年3月 | 1354億600万円 |
2019年3月 | 1508億700万円 |
2020年3月 | 480億5700万円 |
2021年3月 | -2866億9300万円 |
2022年3月 | -1775億5100万円 |
2023年3月 | 344億2300万円 |
2024年3月 | 955億3400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -108.1%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 411.06円 | |
2016年3月 | 481.29円 | 3年平均:449.6円 |
2017年3月 | 456.55円 | |
2018年3月 | 383.22円 | |
2019年3月 | 432.1円 | |
2020年3月 | 140.07円 | |
2021年3月 | -764.99円 | |
2022年3月 | -406.29円 | |
2023年3月 | 78.77円 | 3年平均:-36.3円 |
2024年3月 | 218.61円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2021年と2022年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2013年3月 | 95円/株 | 4.35% |
2014年3月 | 80円/株 | 3.15% |
2015年3月 | 104円/株 | 2.78% |
2016年3月 | 120円/株 | 2.91% |
2017年3月 | 94円/株 | 2.67% |
2018年3月 | 110円/株 | 2.57% |
2019年3月 | 110円/株 | 2.82% |
2020年3月 | 55円/株 | 2.76% |
2021年3月 | 0円/株 | 0% |
2022年3月 | 0円/株 | 0% |
2023年3月 | 25円/株 | 0.97% |
2024年3月 | 75円/株 | 2.57% |
なお、株主優待は3月末および9月末の権利確定で100株以上保有なら国内線の50%割引券やJALパックツアーとJMBツアー商品、ダイナミックパッケージに使える割引券ががもらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.22であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.23倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも13.80で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.6兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2021年と2022年赤字 |
④収益成長性 | × | -108.1% |
⑤配当 | × | 2021年と2022年無配 |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.22倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.23倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、配当の4項目で基準未達となり、
日本航空(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
コロナ禍の影響をもろに受けた航空業界ですからね。ANA同様、さすがに厳しいです。
環境負荷の低減を前提に、コロナ禍を経て見直されつつある「移動・つながりの価値」を追求し、サステナブルな人流・商流・物流と関係人口を創出することで地域社会の衰退や幸福度の低下といった社会課題の解決を目指す。
基幹事業であるFSC事業の収益性改善に加え、LCC事業や貨物・郵便事業での事業拡大を、また、非航空領域(マイル・ライフ・インフラ)では、強みである顧客基盤やヒューマンスキルを活かし、成長する分野へ積極的に展開することで事業構造改革を牽引していくとのこと。今後に期待しましょう。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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