こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるセコム(株)【9735】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったセコムの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・セコムは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
セコム(株)【9735】 の基本情報
・設立年月日 1962年7月7日
・上場年月日 1974年6月
・業種 サービス業
・特色 警備業首位。センサー付きシステム警備(機械警備)が中心。防災、医療、損保へ展開。海外強化。
・従業員数 (単独)15,672人 (連結)64,744人
・株価 9,678円(2024.8.14)
・単元 100株
・決算 3月末日
国内首位、日本初の警備サービス会社。日本国内の他、海外21の国と地域に事業展開している。グループ全体では本業の警備業に限定せずセキュリティ関連分野に積極的。
自社開発の防犯・防災用品販売、病院経営や医療システム、情報セキュリティ分野全般のコンサルティングや各種サービス、日本初の民営刑務所(美祢社会復帰促進センター)経営など、扱い業種は広範にわたります。
警備システムを操作、導入することを「セコムする」って言いますもんね。社会に浸透してます。
警備・防犯機器等の研究開発等にも積極で、主な成果として天井走行型巡回装置や、貴重品輸送ガードロボット、介護補助ロボット、屋外巡回監視ロボット、貴重品取扱店向け防犯煙幕発生装置、厨房ダクト設置型自動消火システム、据え置き型強化液消火器、インターネット用電子認証等があります。
社会に有益な事業を行う。
すごくシンプル。この理念を常に考えの根底にすえ、2030年に向けた長期ビジョン「セコムグループ2030年ビジョン」を策定されています。
そのビジョンは、
「あんしんプラットフォーム」構想の実現により、変わりゆく社会に、変わらぬ安心を。
これまでのセコムが培ってきた社会とのつながりをベースに、セコムと想いを共にするパートナーが参加して様々な技術や知識を持ち寄り、セコムとともに暮らしや社会に安心を提供する社会インフラ「あんしんプラットフォーム」を通して、きめ細やかな切れ目のない安心を提供していくことを目指されています。
ではここからは、セコムに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
サービス業540社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆149億円(4位) |
売上高 | 1兆1155億円(6位) |
純利益 | 1019億5100万円(4位) |
純利益率 | 8.8%(25位) |
総資産 | 2兆276億円(5位) |
サービス業の中で売上高は6位、総資産は5位。利益率も高めで、純利益率は8.8%の25位、警備業としては国内トップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:9375億8000万円
流動負債:3783億4300万円
固定負債:3117億4900万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.48倍で基準達成、
②も、固定負債3117億円 < 純流動資産5592億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれも少なく、きれいな財務状況です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 753億9200万円 |
2016年3月 | 770億3900万円 |
2017年3月 | 841億7000万円 |
2018年3月 | 869億9300万円 |
2019年3月 | 920億900万円 |
2020年3月 | 890億8000万円 |
2021年3月 | 746億8100万円 |
2022年3月 | 942億7300万円 |
2023年3月 | 960億8500万円 |
2024年3月 | 1019億5100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +25.3%となり、惜しくも基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 345.41円 | |
2016年3月 | 352.96円 | 3年平均:361.3円 |
2017年3月 | 385.64円 | |
2018年3月 | 398.57円 | |
2019年3月 | 421.56円 | |
2020年3月 | 408.14円 | |
2021年3月 | 342.16円 | |
2022年3月 | 431.27円 | |
2023年3月 | 445.01円 | 3年平均:452.8円 |
2024年3月 | 482.03円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 85円/株 | 2.08% |
2011年3月 | 90円/株 | 2.33% |
2012年3月 | 90円/株 | 2.22% |
2013年3月 | 105円/株 | 2.16% |
2014年3月 | 115円/株 | 1.93% |
2015年3月 | 125円/株 | 1.56% |
2016年3月 | 135円/株 | 1.61% |
2017年3月 | 145円/株 | 1.82% |
2018年3月 | 155円/株 | 1.96% |
2019年3月 | 165円/株 | 1.74% |
2020年3月 | 170円/株 | 1.89% |
2021年3月 | 170円/株 | 1.83% |
2022年3月 | 180円/株 | 2.03% |
2023年3月 | 185円/株 | 2.27% |
2024年3月 | 190円/株 | 1.73% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは23.30倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.66倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも38.68で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.1兆円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +25.3% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.73% |
⑥株価収益率 | × | 23.30倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 1.66倍 PER×PBRもNG |
収益成長性、株価収益率、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、
セコム(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
財務状況や収益安定性なんかは良いのですが、成長性があと一歩で、PER,PBRも高いですね。仕方ありません。
テクノロジーの進化が進む中、デジタル化や最先端技術を活用した付加価値創造・サービス品質向上等を実現するため、新しい技術やノウハウを積極的に情報収集し、活用していく。
特に国内事業においては、法人マーケット向けのサービス・商品の品質・機能向上を図り競争力を高めていくとともに、高齢者見守り等の新サービスを提供することにより、個人マーケットの更なる開拓等に注力していくとのこと。やはりターゲットは高齢者ですかね。今後に期待しましょう。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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