こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである大成建設(株)【1801】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った大成建設の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・大成建設は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
大成建設 (株)【1801】の基本情報
・設立年月日 1917年12月28日
・上場年月日 1957年9月
・業種 建設業
・特色 最大手ゼネコンの一角。非同族系。首都圏再開発から大型土木まで全方位展開。不動産開発も。
・従業員数 (単独)8,720人 (連結)16,285人
・株価 6,107円(2024.8.14)
・単元 100株
・決算 3月末日
主な事業は、建築工事、土木工事、機器装置の設置工事、その他建設工事全般に関する企画、測量、設計、監理、施工、エンジニアリング、マネジメント及びコンサルティング。
日本の近代化や戦後の復興、経済成長、グローバル化といった社会の変化とともに、数多くのプロジェクトを手掛けられてます。
長周期地震対策の制震技術や環境への負荷を軽減するスーパーエコビル技術など、世界最高水準の建設技術・ノウハウと技術開発力が強みです。
人がいきいきとする環境を創造する
グループスローガンは「For a Lively World」。自然との調和の中で、安全・安心で魅力ある空間と豊かな価値を生み出し、次世代のための夢と希望に溢れた地球社会づくりに取り組まれています。
ではここからは、 大成建設(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
建設業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆1221億円(5位) |
売上高 | 1兆7650億円(6位) |
純利益 | 402億7200万円(8位) |
純利益率 | 2.3%(84位) |
総資産 | 2兆4775億円(5位) |
建設業の中で売上高は6位、総資産は5位。利益率は控えめで純利益率は2.3%の84位、日本を代表する大手ゼネコンの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆6311億円
流動負債:1兆3027億円
固定負債:3199億2700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.25倍で基準未達、
②は、固定負債3199億円 < 純流動資産3284億円 で基準達成となり、
流動資産に対して固定負債の割合は低いものの、流動負債の割合が高いですね。基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
大成建設の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 381億7700万円 |
2016年3月 | 770億4500万円 |
2017年3月 | 905億6600万円 |
2018年3月 | 1267億8800万円 |
2019年3月 | 1125億7100万円 |
2020年3月 | 1220億8700万円 |
2021年3月 | 925億5400万円 |
2022年3月 | 714億3600万円 |
2023年3月 | 471億2400万円 |
2024年3月 | 402億7200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -9.2%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 167.58円 | |
2016年3月 | 329.27円 | 3年平均:296.6円 |
2017年3月 | 392.87円 | |
2018年3月 | 561.36円 | |
2019年3月 | 511.9円 | |
2020年3月 | 573.13円 | |
2021年3月 | 442.65円 | |
2022年3月 | 350.88円 | |
2023年3月 | 241.23円 | 3年平均:269.3円 |
2024年3月 | 215.74円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 25円/株 | 2.43% |
2011年3月 | 25円/株 | 2.44% |
2012年3月 | 25円/株 | 2.31% |
2013年3月 | 25円/株 | 1.93% |
2014年3月 | 30円/株 | 1.3% |
2015年3月 | 40円/株 | 1.18% |
2016年3月 | 80円/株 | 2.15% |
2017年3月 | 100円/株 | 2.47% |
2018年3月 | 125円/株 | 2.31% |
2019年3月 | 130円/株 | 2.53% |
2020年3月 | 130円/株 | 3.93% |
2021年3月 | 130円/株 | 3.04% |
2022年3月 | 130円/株 | 3.68% |
2023年3月 | 130円/株 | 3.17% |
2024年3月 | 130円/株 | 2.31% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で100株以上で軽井沢高原ゴルフ倶楽部の2000円相当のクーポン券2枚、1000株以上で5000円相当のクーポン券2枚がもらえます。
さらに工事請負代金・仲介手数料等割引クーポン券や、1000株以上なら簡易地震リスク診断申込書などももらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは17.26倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.22倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も 21.06 で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.8兆円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | -9.2% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.31%+優待あり |
⑥株価収益率 | △ | 17.26倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.22倍 |
財務状況と収益成長性、株価収益率の3項目が未達となり、
大成建設(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
収益安定性、配当などはしっかりしているものの、流動資産に対して流動負債の割合が高く、成長性は今一つ、PERも高いですね。
自由闊達・価値創造・伝統進化の3つの価値を“大成スピリット”として全役職員が共有し、自然との調和の中で、安全・安心で魅力ある空間と豊かな価値を生み出し、次世代のための夢と希望に溢れた地球社会づくりに取り組む。
大成建設では、2023年度を最終年度とする「中期経営計画(2021-2023)」に取り組んでいるものの、2023年度の業績予想は残念ながら計画未達となる見通しとのこと。この未達原因の分析をしっかり行った上で、2024年から始まる次期中期経営計画を策定されるそう。今後に期待です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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