
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)大林組【1802】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った (株)大林組【1802】の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・(株)大林組【1802】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


(株)大林組【1802】の基本情報
・設立年月日 1936年12月19日
・上場年月日 1958年12月
・業種 建設業
・特色 最大手ゼネコンの一角。関西発祥、首都圏でも大型建築・土木に実績。不動産開発や海外展開も。
・資本金 577.52億円
・従業員数 (単独)9,094人 (連結)15,652人
・株価 917円(2022.5.27)
・単元 100株
・決算 3月末日


事業内容は、国内外建設工事、地域開発・都市開発・その他建設に関する事業、及びこれらに関するエンジニアリング・マネージメント・コンサルティング業務の受託、不動産事業ほか。建築、土木、開発、新領域の4つの事業を柱に、事業領域の深化・拡大、グローバル化を加速し、「ゼネコン」の枠にとらわれることなく成長を続けられています。
2021年からはこれまで培ってきた「ものづくり」の技術と知見を、今という時代に合わせ、新たな地平へと発展させたい、既存の事業の枠にとらわれない成長をめざすというビジョンを掲げられています。
ではここからは、 (株)大林組に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
建設業194社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6688億3900万円(6位) |
売上高 | 1兆9228億円(4位) |
営業利益 | 410億5100万円(13位) |
経常利益 | 498億4400万円(9位) |
純利益 | 391億2700万円(9位) |
営業利益率 | 2.13%(145位) |
経常利益率 | 2.59%(148位) |
当期利益率 | 2.03%(135位) |
株主資本 | 9889億1300万円(3位) |
総負債 | 1兆4331億円(2位) |
総資産 | 2兆4220億円(3位) |
建設業の中で売上高は第4位。総資産も第3位で相当な大きさ。ただ利益率は2%ちょっとでかなり控え目。それでも事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、大林組の流動資産は1,395,517百万円、流動負債は1,128,602百万円、固定負債は304,569百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.24倍なので基準未達、
②は、固定負債304,569百万円 > 純流動資産266,915百万円 なのでこれも基準未達となり、
よって、①②とも未達。残念ながら基準未達となります。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
大林組の業績を確認すると、ここ2年は失速気味ですがそれでも利益はしっかり。全く赤字はなく、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 131億9500万円 |
2014年3月 | 216億2700万円 |
2015年3月 | 286億9500万円 |
2016年3月 | 634億3700万円 |
2017年3月 | 945億100万円 |
2018年3月 | 926億6200万円 |
2019年3月 | 1131億5500万円 |
2020年3月 | 1130億9300万円 |
2021年3月 | 987億8000万円 |
2022年3月 | 391億2700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
大林組のIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が29.45円、直近の3年平均が150.94円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 412.5%であり、基準達成となります。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 18.29円 | |
2014年3月 | 30.11円 | 最初の3年平均:29.45円 |
2015年3月 | 39.96円 | |
2016年3月 | 88.36円 | |
2017年3月 | 131.66円 | |
2018年3月 | 129.09円 | |
2019年3月 | 157.65円 | |
2020年3月 | 157.59円 | |
2021年3月 | 137.64円 | 直近の3年平均:150.94円 |
2022年3月 | 55.44円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
大林組のIR情報を確認すると、毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。毎年ではないですが、少しずつ増配もされています。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 8円/株 | 1.93% |
2011年3月 | 8円/株 | 2.16% |
2012年3月 | 8円/株 | 2.22% |
2013年3月 | 8円/株 | 1.78% |
2014年3月 | 8円/株 | 1.37% |
2015年3月 | 10円/株 | 1.28% |
2016年3月 | 18円/株 | 1.62% |
2017年3月 | 28円/株 | 2.69% |
2018年3月 | 28円/株 | 2.41% |
2019年3月 | 32円/株 | 2.87% |
2020年3月 | 32円/株 | 3.46% |
2021年3月 | 32円/株 | 3.15% |
2022年3月 | 32円/株 | 3.56% |
なお、株主優待は実施していません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.65倍、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.69倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も 5.97 で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆9228億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +412.5% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.56% |
⑥株価収益率 | ◎ | 8.65倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.69倍 |
財務状況のみ未達で、残念ながら「(株)大林組は割安株には該当しない」という結果となりました。ただ、流動負債と流動資産のバランスが少し基準に足りない上、同じ建設業の大成建設と比較すると、大林組は固定負債の割合も大きい点が気になりますね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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