こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日揮ホールディングス(株)【1963】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日揮ホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日揮ホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
日揮ホールディングス(株)【1963】 の基本情報
・設立年月日 1928年10月27日
・上場年月日 1962年5月
・業種 建設業
・特色 総合エンジ国内首位。海外でLNGや発電等プラントを手がける。再エネや水素関連にも注力。
・従業員数 (単独)343人 (連結)8,865人
・株価 1,222.5円(2024.8.14)
・単元 100株
・決算 3月末日
エンジニアリング会社の日本最大手企業。主な業務は石油精製プラント、石油化学・化学プラント、LNGプラント、天然ガス処理プラント等の「製品を作る製造設備を造る事」。
設立以来、世界80カ国以上、2万件におよぶプロジェクトを遂行してきた世界有数の実績をもち、特にLNGプラントでは、これまでに世界の生産量の30%以上を占めるプラントを設計・建設されています。
LNGやオイル&ガス分野の技術力、海外プロジェクトマネジメントの遂行能力が強みですね。
Enhancing planetary health
「“人と地球”の健康は密接に関係しており、この2つを追求していくことで、豊かな未来を創っていく」というメッセージが込められています。
コーポレートスローガンには、「MISSION DRIVEN. 世界に課題がある限り」を掲げ、日揮グループが総合エンジニアリング事業、機能材製造事業、コンサルティング事業などの事業活動を通じて、高度化、複雑化する世界のさまざまな課題の解決に貢献していきたいという強い思いを込められています。
ではここからは、日揮ホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
建設業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2952億8400万円(16位) |
売上高 | 8325億9500万円(10位) |
純利益 | -78億3000万円(99位) |
純利益率 | -%(-位) |
総資産 | 8278億6300万円(12位) |
建設業の中で売上高は10位、総資産は12位。昨年度は赤字ながら、総合エンジ企業で国内トップの企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:6035億6300万円
流動負債:3507億3600万円
固定負債:536億7400万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.72倍で基準未達、
②は、固定負債536億円 < 純流動資産2528億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高いですね。基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
日揮ホールディングスの業績を確認すると、すごく出入りの激しい収支ですね。2017年と2022年、2024年が赤字です。直近の2024年は海外プロジェクトの遂行計画などのリスク対応費用を追加的に見込んだ影響とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 206億2800万円 |
2016年3月 | 427億9300万円 |
2017年3月 | -220億5700万円 |
2018年3月 | 165億8900万円 |
2019年3月 | 240億500万円 |
2020年3月 | 41億1700万円 |
2021年3月 | 51億4100万円 |
2022年3月 | -355億5100万円 |
2023年3月 | 306億6500万円 |
2024年3月 | -78億3000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -131.1%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 81.73円 | |
2016年3月 | 169.6円 | 3年平均:54.6円 |
2017年3月 | -87.42円 | |
2018年3月 | 65.75円 | |
2019年3月 | 95.14円 | |
2020年3月 | 16.32円 | |
2021年3月 | 20.37円 | |
2022年3月 | -140.77円 | |
2023年3月 | 122.28円 | 3年平均:-17.0円 |
2024年3月 | -32.48円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
日揮ホールディングスのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており問題ありません。ただ、ここ数年の配当利回りはちょっと低めですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 21円/株 | 1.26% |
2011年3月 | 30円/株 | 1.54% |
2012年3月 | 38.5円/株 | 1.5% |
2013年3月 | 45.5円/株 | 1.91% |
2014年3月 | 46.5円/株 | 1.3% |
2015年3月 | 21円/株 | 0.88% |
2016年3月 | 42.5円/株 | 2.52% |
2017年3月 | 30円/株 | 1.55% |
2018年3月 | 25円/株 | 1.08% |
2019年3月 | 28.5円/株 | 1.94% |
2020年3月 | 12円/株 | 1.38% |
2021年3月 | 12円/株 | 0.88% |
2022年3月 | 15円/株 | 1.02% |
2023年3月 | 38円/株 | 2.32% |
2024年3月 | 40円/株 | 2.68% |
なお、株主優待制度は実施していません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.30倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.77倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も 10.24 で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高8325億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | × | 2017年,2022年,2024年赤字 |
④収益成長性 | × | -131.1% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.68% |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.30倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.77倍 |
財務状況と収益安定性、収益成長性の3項目で基準未達となり、
日揮ホールディングス(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
配当も毎年出ており、株価も手ごろではあるものの、流動資産に対して流動負債の割合が高く、収益が不安定、成長性も物足りないですね。仕方ありません。
「EPC(設計・調達・建設)事業のさらなる深化」、「高機能材製造事業の拡大」、「将来の成長エンジンの確立」を重点戦略とし、戦略投資に積極的に取り組むことで収益の拡大、多様化を進める。
特にEPC事業については、リスク管理・プロジェクト折衝力の強化を通じたプロジェクト粗利益率の向上と、JV組成戦略・デジタル技術・建設工法の最適化による受注競争力の向上を推し進め、大型EPCプロジェクトにおける強みをさらに深化させるとのこと。今後に期待ですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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