
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日揮ホールディングス(株)【1963】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った 日揮ホールディングス(株)【1963】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ 日揮ホールディングス(株)【1963】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


日揮ホールディングス(株)【1963】 の基本情報
・設立年月日 1928年10月27日
・上場年月日 1962年5月
・業種 建設業
・特色 総合エンジ国内首位。海外でLNGや発電等プラントを手がける。再エネや水素関連にも注力。
・資本金 236億円
・従業員数 (単独)278人 (連結)7,371人
・株価 1,851円(2022.6.5)
・単元 100株
・決算 3月末日


事業内容は、幅広い事業領域を対象とする総合エンジニアリング事業、オンリーワン技術が支える機能材製造事業、これら2つの事業セグメントを中心に、当社は世界のあらゆる地域でビジネスを展開し、日本のみならず世界各国の経済成長および産業発展に貢献しています。
2021年度から2025年度の5ヶ年は、「2040年ビジョン」の1stフェーズ、挑戦の5年間と位置づけ、中期経営計画BSP2025において「EPC事業のさらなる深化」、「高機能材製造事業の拡大」、「将来の成長エンジンの確立」を重点戦略とし、戦略投資に積極的に取り組むことで収益の拡大、多様化を進めるとのことです。
ではここからは、日揮ホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
建設業194社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2852億7000万円(15位) |
売上高 | 4284億100万円(20位) |
営業利益 | 206億8800万円(24位) |
経常利益 | 300億2800万円(19位) |
純利益 | -355億5100万円(170位) |
営業利益率 | 4.83%(99位) |
経常利益率 | 7.01%(58位) |
当期利益率 | -8.3%(165位) |
株主資本 | 3876億6200万円(11位) |
総負債 | 3066億1200万円(16位) |
総資産 | 6942億7400万円(14位) |
建設業の中で売上高は第20位。総資産は第14位で建設業界としては二桁順位ではありますがプラント開発企業としては最大手の一社。当期利益率のマイナスはすごく引っ掛かりますが事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、日揮ホールディングスの流動資産は533,343百万円、流動負債は253,836百万円、固定負債は52,775百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.10倍で基準達成、
②は、固定負債52,775百万円 < 純流動資産279,507百万円 で基準達成となり、
よって、いずれも問題なく基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
日揮ホールディングスの業績を確認すると、すごく出入りの激しい収支ですね。2017年と2022年が赤字であり基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 461億7900万円 |
2014年3月 | 471億7800万円 |
2015年3月 | 206億2800万円 |
2016年3月 | 427億9300万円 |
2017年3月 | -220億5700万円 |
2018年3月 | 165億8900万円 |
2019年3月 | 240億500万円 |
2020年3月 | 41億1700万円 |
2021年3月 | 51億4100万円 |
2022年3月 | -355億5100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
日揮ホールディングスのIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が149.0円、直近の3年平均が-140.8円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -123.3%であり、基準未達となります。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 178.26円 | |
2014年3月 | 186.89円 | 最初の3年平均:149.0円 |
2015年3月 | 81.73円 | |
2016年3月 | 169.6円 | |
2017年3月 | -87.42円 | |
2018年3月 | 65.75円 | |
2019年3月 | 95.14円 | |
2020年3月 | 16.32円 | |
2021年3月 | 20.37円 | 直近の3年平均:-140.8円 |
2022年3月 | -140.77円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
日揮ホールディングスのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。ただ、ここ3年の配当利回りはかなり控えめですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 21円/株 | 1.26% |
2011年3月 | 30円/株 | 1.54% |
2012年3月 | 38.5円/株 | 1.5% |
2013年3月 | 45.5円/株 | 1.91% |
2014年3月 | 46.5円/株 | 1.3% |
2015年3月 | 21円/株 | 0.88% |
2016年3月 | 42.5円/株 | 2.52% |
2017年3月 | 30円/株 | 1.55% |
2018年3月 | 25円/株 | 1.08% |
2019年3月 | 28.5円/株 | 1.94% |
2020年3月 | 12円/株 | 1.38% |
2021年3月 | 12円/株 | 0.88% |
2022年3月 | 15円/株 | 1.02% |
なお、株主優待制度は実施していません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは22.88倍、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.18倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は27.0 で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4284億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | × | 2017年、2020年赤字 |
④収益成長性 | × | -123.3% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.02% |
⑥株価収益率 | × | 22.88倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.18倍 PER×PBR=27.0 |
ここ10年のうち2年で赤字、特に2021年度が赤字という点は非常に厳しく、収益安定性、収益成長性、株価収益率、株価純資産倍率(PER×PBR)の4項目で未達成となり、残念ながら「 日揮ホールディングス(株)は割安株には該当しない」という結果となりました。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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