
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)日清製粉グループ本社【2002】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った (株)日清製粉グループ本社【2002】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・(株)日清製粉グループ本社【2002】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


(株)日清製粉グループ本社【2002】 の基本情報
・設立年月日 1907年3月12日
・上場年月日 1949年5月
・業種 食料品
・特色 製粉で圧倒的トップ。食品もパスタ類強く、大手級。エンジニアリング展開、海外M&A積極化。
・資本金 171億円
・従業員数 (単独)370人 (連結)9,003人
・株価 1,512円(2022.6.5)
・単元 100株
・決算 3月末日


小麦粉の製造及び販売を主な事業とし、製粉、加工食品、酵母・バイオ、健康食品、中食・惣菜、エンジニアリング、メッシュクロスなどの各事業が、それぞれの業界・領域でナンバーワンを目指すとともに、グローバル展開を積極的に推進されています。
国内で圧倒的な競争力を有する小麦粉関連素材事業と家庭用食品事業は「コア事業」として位置付け、幅広い食品素材事業でシナジー効果を最大化し、グループの収益基盤となっています。
今後、中食・惣菜事業、国内外の酵母・バイオ事業、海外の製粉・加工食品事業を「成長ドライブ事業」として位置付け、拠点の拡充や生産能力の増強を図り、さらに健康食品、エンジニアリング、メッシュクロスを「発展が期待できる事業」と位置付け、日清製粉グループならではの高度な生産技術や品質管理、粉体技術、食品工場設計等の強みを活かした事業を進めていくとのことです。
ではここからは、(株)日清製粉グループ本社に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
食料品130社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4957億9900万円(12位) |
売上高 | 6797億3600万円(11位) |
営業利益 | 294億3000万円(10位) |
経常利益 | 326億2600万円(10位) |
純利益 | 175億900万円(19位) |
営業利益率 | 4.33%(53位) |
経常利益率 | 4.8%(63位) |
当期利益率 | 2.58%(77位) |
株主資本 | 4606億4300万円(9位) |
総負債 | 2624億3000万円(10位) |
総資産 | 7230億7300万円(10位) |
食料品の中で売上高は第11位。総資産は第10位で食料品としては二桁順位ではありますが製粉に限っては圧倒的なトップ企業。利益率は低めではありますが、事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、 日清製粉の流動資産は280,527百万円、流動負債は129,158百万円、固定負債は133,272百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.17倍で基準達成、
②は、固定負債133,272百万円 < 純流動資産151,369百万円 で基準達成となり、
よって、いずれも問題なく基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
日清製粉の業績を確認すると、さすが食品事業、すごく安定しています。毎年きっちり利益を出されており赤字などなく、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 136億8800万円 |
2014年3月 | 150億9800万円 |
2015年3月 | 160億3600万円 |
2016年3月 | 175億6100万円 |
2017年3月 | 194億6600万円 |
2018年3月 | 213億3900万円 |
2019年3月 | 222億6800万円 |
2020年3月 | 224億700万円 |
2021年3月 | 190億1100万円 |
2022年3月 | 175億900万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
日清製粉のIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が49.5円、直近の3年平均が66.1円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 33.5%であり、ギリギリ基準達成となります。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 44.97円 | |
2014年3月 | 50.21円 | 最初の3年平均:49.5円 |
2015年3月 | 53.28円 | |
2016年3月 | 58.25円 | |
2017年3月 | 64.49円 | |
2018年3月 | 71.47円 | |
2019年3月 | 74.97円 | |
2020年3月 | 75.4円 | |
2021年3月 | 63.95円 | 直近の3年平均:66.1円 |
2022年3月 | 58.88円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
日清製粉のIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。毎年ではないですが増配もしっかりされています。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 22円/株 | 1.82% |
2011年3月 | 20円/株 | 2.09% |
2012年3月 | 20円/株 | 2% |
2013年3月 | 20円/株 | 1.56% |
2014年3月 | 20円/株 | 1.53% |
2015年3月 | 22円/株 | 1.49% |
2016年3月 | 24円/株 | 1.34% |
2017年3月 | 26円/株 | 1.57% |
2018年3月 | 29円/株 | 1.38% |
2019年3月 | 32円/株 | 1.26% |
2020年3月 | 34円/株 | 1.89% |
2021年3月 | 37円/株 | 2% |
2022年3月 | 39円/株 | 2.29% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で500株以上で4000円相当の自社製品(ビフィコロンS、水溶化キューテン、有機青汁、各種詰め合わセットのいずれか)または世界自然保護基金(WWF)への寄附がもらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは24.34倍、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.00倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は24.3 で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高6797億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +33.5% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.29%+優待あり |
⑥株価収益率 | × | 24.34倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.00倍 PER×PER=24.3 |
財務状況や収益性などの健全性は良好だったのですが、株価収益率、株価純資産倍率(PER×PBR)の2項目で未達成となり、残念ながら「 (株)日清製粉グループ本社は割安株には該当しない」という結果となりました。PERの高さはかなり気になるところで、要は収益性に対して今の株価が割高ということですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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