こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである双日(株)【2768】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った双日の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・双日は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
双日(株)【2768】 の基本情報
・設立年月日 2003年4月1日
・上場年月日 2003年4月1日
・業種 卸売業
・特色 総合商社。2003年に日商岩井とニチメンが統合。自動車、航空、肥料に強み。持分で鉄鋼、LNG。
・資本金 1,603億円
・従業員数 (単独)2,523人 (連結)20,669人
・株価 3,081円(2023.8.5)
・単元 100株
・決算 3月末日
それぞれ長い歴史を持つニチメン株式会社、日商岩井株式会社をルーツに持つ総合商社で、国内外での多様な製品の製造・販売や輸出入、サービスの提供、各種事業投資などをグローバルに多角的に行っています。
自動車、航空産業・交通プロジェクト、インフラ・ヘルスケア、金属・資源・リサイクル、化学、生活産業・アグリビジネス、リテール・コンシューマーサービスの7つの本部体制で、「事業や人材を創造し続ける総合商社」を目指されています。
強みは航空産業。航空機の取り扱い実績が900機以上あり、国内シェアNo.1なんだそう。
双日グループは、誠実な心で世界を結び、新たな価値と豊かな未来を創造します。
グループスローガンには、「New way, New value」を掲げ、「総合商社」の既成概念を取り払い、自由な発想で、独創性を追求し、事業や人材を創造し続ける総合商社となることを目指されています。
ではここからは、双日(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
卸売業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6970億8600万円(8位) |
売上高 | 2兆4798億円(10位) |
営業利益 | -(-位) |
経常利益 | 1550億3600万円(7位) |
純利益 | 1112億4700万円(7位) |
営業利益率 | -%(-位) |
純利益率 | 4.5%(15位) |
総資産 | 2兆7630億円(7位) |
負債 | 1兆8573億円(7位) |
卸売業の中で売上高は第10位。総資産も第7位。利益率もまずまずで純利益率は4.5%の15位。卸売業として5大商社に続くポジションです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆4445億円
流動負債:8918億2100万円
固定負債:8924億4500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.62倍で基準未達、
②も、固定負債8924億円 > 純流動資産5526億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
双日の業績を確認すると、2012年3月は赤字でしたが、2013年からは赤字はなく基準達成です。利益の額もまずまず安定感がありますね。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 272億5000万円 |
2015年3月 | 330億7500万円 |
2016年3月 | 365億2600万円 |
2017年3月 | 407億6000万円 |
2018年3月 | 568億4200万円 |
2019年3月 | 704億1900万円 |
2020年3月 | 608億2100万円 |
2021年3月 | 270億100万円 |
2022年3月 | 823億3200万円 |
2023年3月 | 1112億4700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 144.7%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 108.91円 | |
2015年3月 | 132.19円 | 3年平均:129.0円 |
2016年3月 | 145.99円 | |
2017年3月 | 162.91円 | |
2018年3月 | 227.19円 | |
2019年3月 | 281.71円 | |
2020年3月 | 244.53円 | |
2021年3月 | 112.53円 | |
2022年3月 | 352.65円 | 3年平均:315.7円 |
2023年3月 | 481.94円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
双日のIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。毎年ではないですが増配もされており、利回りもなかなか高いですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 12.5円/株 | 1.38% |
2011年3月 | 15円/株 | 1.81% |
2012年3月 | 15円/株 | 2.03% |
2013年3月 | 15円/株 | 2.07% |
2014年3月 | 20円/株 | 2.27% |
2015年3月 | 30円/株 | 2.99% |
2016年3月 | 40円/株 | 3.46% |
2017年3月 | 40円/株 | 2.87% |
2018年3月 | 55円/株 | 3.23% |
2019年3月 | 85円/株 | 4.36% |
2020年3月 | 85円/株 | 6.69% |
2021年3月 | 50円/株 | 3.21% |
2022年3月 | 106円/株 | 5.26% |
2023年3月 | 130円/株 | 4.71% |
なお、株主優待は実施していません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは7.41倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.81倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も6.00で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2兆4798億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +144.7% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.71% |
⑥株価収益率 | ◎ | 7.41倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.81倍 |
財務状況のみが基準未達となり、
双日(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
卸売業としては5大商社に次ぐポジションの一社であり、収益面はしっかり成長していますし、配当の高さも魅力ですが、流動/固定負債の多さは気がかりですね。
必要なモノ・サービスを必要なところに提供することを総合商社の使命と捉え、人材を競争力の源泉として、「マーケットインの徹底」、「社内外での共創と共有の実践」、「スピードの追求」により競争優位・成長を追求し、これを実現するために組織や人材の変革を継続することで、持続的な価値創造を実現していく。
「社会課題としてのEssentialインフラ開発とサービス提供」、「3R(リデュース、リユース、リサイクル)事業の深化」、「東南アジア・インド市場のリテール領域取組強化」、「国内産業活性化・地方創生の取り組みを通じた価値創造」の4つの成長戦略を掲げ、これらをデジタルや新技術、社内外での共創と共有によって実現を目指すとのこと。今後に期待ですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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