
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるキッコーマン(株)【2801】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったキッコーマン(株)【2801】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・キッコーマン(株)【2801】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


キッコーマン(株)【2801】 の基本情報
・設立年月日 1917年12月7日
・上場年月日 1949年5月
・業種 食料品
・特色 しょうゆ最大手でシェア約3割。北米が利益柱に成長。デルモンテ加工食品のアジア商標権所有。
・資本金 115億円
・従業員数 (単独)-人 (連結)7,686人
・株価 6,650円(2022.6.18)
・単元 100株
・決算 3月末日


しょうゆ、和風調味料、みりん、料理酒等の他、「デルモンテ」ブランドの洋風調味料、缶詰、飲料等の製造、販売を手がけています。 キッコーマンは日本の伝統的調味料であるしょうゆを扱う企業であるとともに、世界約100カ国以上の国々に商品やサービスをお届けし、グローバルに事業を展開する企業でもあります。
1917年にキッコーマンの前身となる「野田醤油株式会社」と「万上味醂株式会社」が設立され、1925年に野田醤油醸造会社、万上味醂株式会社、日本醤油株式会社を合併し、1940年に商標をキッコーマンに統一、1980年には商号をキッコーマン株式会社に変更しました。
「おいしい記憶をつくりたい。」をスローガンに掲げ、醤油だけでなく調味料や健康食品といった商品を提供しています。また、バイオ事業や外食事業など様々な部署を展開し、各事業会社が運営、製造、販売などを行なっています。特に、主力商品の醤油は国内外で高いシェアを獲得しており、日本のシェアは30%、世界シェアは50%にも上っています。世界の「kikkoman」として、国内外共に高品質、安全、安心な商品を提供されています。
ではここからは、キッコーマン(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
食料品126社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆2737億万円(6位) |
売上高 | 5164億4000万円(15位) |
営業利益 | 506億8200万円(8位) |
経常利益 | 542億3100万円(8位) |
純利益 | 389億300万円(9位) |
営業利益率 | 9.8%(13位) |
純利益率 | 7.5%(17位) |
総資産 | 5030億6100万円(14位) |
負債 | 1391億5300万円(22位) |
食料品の中で売上高は第15位。総資産も第14位で日経225企業の食料品メーカーの中でも上位の一社。利益率はかなり高めで営業利益率は9.8%で業界13位、事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、 キッコーマンの流動資産は240,192百万円、流動負債は83,225百万円、固定負債は55,927百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.89倍で基準達成、
②は、固定負債55,927百万円 < 純流動資産156,967百万円 で基準達成となり、
よって、①②とも問題なく、基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
キッコーマンの業績を確認すると、抜群の安定感ですね。赤字はなく基準達成です。着実に利益が成長しています。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 110億600万円 |
2014年3月 | 125億5900万円 |
2015年3月 | 153億8200万円 |
2016年3月 | 199億6400万円 |
2017年3月 | 238億1000万円 |
2018年3月 | 238億4600万円 |
2019年3月 | 259億9200万円 |
2020年3月 | 268億2700万円 |
2021年3月 | 311億5900万円 |
2022年3月 | 389億300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
キッコーマンのIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が66.4円、直近の3年平均が168.3円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 161.2%であり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 52.31円 | |
2014年3月 | 62.82円 | 最初の3年平均:66.4円 |
2015年3月 | 78.2円 | |
2016年3月 | 102.66円 | |
2017年3月 | 123.28円 | |
2018年3月 | 123.71円 | |
2019年3月 | 135.39円 | |
2020年3月 | 139.74円 | |
2021年3月 | 162.31円 | 直近の3年平均:168.3円 |
2022年3月 | 202.93円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
キッコーマンのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。毎年ではないですが増配もされており、利回りもなかなか高いですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 15円/株 | 1.37% |
2011年3月 | 15円/株 | 1.91% |
2012年3月 | 15円/株 | 1.57% |
2013年3月 | 20円/株 | 1.21% |
2014年3月 | 20円/株 | 1.03% |
2015年3月 | 24円/株 | 0.63% |
2016年3月 | 32円/株 | 0.86% |
2017年3月 | 34円/株 | 1.02% |
2018年3月 | 39円/株 | 0.91% |
2019年3月 | 41円/株 | 0.76% |
2020年3月 | 42円/株 | 0.91% |
2021年3月 | 45円/株 | 0.68% |
2022年3月 | 61円/株 | 0.75% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で100株以上で1000円相当(3年以上継続保有なら2000円相当)、1000株以上で3000円相当(3年以上継続保有なら5000円相当)のグループ商品がもらえます。 100株だと優待でプラス 0.15%程度の配当があることになりますね。


⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは32.74倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは3.56倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も116.55で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高5164億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +161.2% |
⑤配当 | 〇 | 利回り0.75%+優待あり |
⑥株価収益率 | × | 32.74倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 3.56倍 |
株価収益率と株価純資産倍率の2項目のみ基準未達となり、残念ながら基準未達です。「 キッコーマン(株)は割安株には該当しない」という結果となりました。醤油のトップメーカーであり、食品業の中でも上位の一社。さすが財務面は問題なく、収益面はしっかり成長してますね。
キッコーマンは、早くから海外市場に目を向け、今や海外売上高は65%と北米市場を中心に欧米でも大きな売り上げを上げています。2012年以降10年間で株価が10倍も値上がりし、さらに成長余力は高いと市場で評価されています。そのため、PER/PBRがかなり高くなっている現状は割安とはいえないですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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