こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東急不動産ホールディングス(株)【3289】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った東急不動産ホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東急不動産ホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
東急不動産ホールディングス(株)【3289】 の基本情報
・設立年月日 2013年10月1日
・上場年月日 2013年10月1日
・業種 不動産業
・特色 東急系の総合不動産大手。ビル賃貸が利益柱。リゾート開発や再エネ、老健施設など業容多彩。
・資本金 775億円
・従業員数 (単独)89人 (連結)21,614人
・株価 894円(2023.8.12)
・単元 100株
・決算 3月末日
持株会社であり、その下で東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブル、東急住宅リース、学生情報センターの主要5社を中心に、都市開発事業、戦略投資事業、管理運営事業、不動産流通事業の4事業を展開しています。
グループの原点は、1918年に渋沢栄一らによって設立された田園都市株式会社にあり、東京の都市化・人口流入が進み、住宅不足の時代に、英国発祥の「田園都市構想」を取り入れ、自然と都市の長所を併せ持つ田園調布を創造したそうです。
渋谷駅桜岡口地区の再開発やあべのキューズモールなどを手掛けられたそうです。
価値を創造し続ける企業グループへ
創業の精神である「挑戦するDNA」。魅力あふれる多彩なライフスタイルの創造を通じて、誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来の実現を目指されています。
ではここからは、東急不動産ホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
不動産業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6348億7200万円(8位) |
売上高 | 1兆58億円(4位) |
営業利益 | 1104億1000万円(6位) |
経常利益 | 995億5800万円(7位) |
純利益 | 482億2700万円(8位) |
営業利益率 | 11.0%(39位) |
純利益率 | 4.8%(65位) |
総資産 | 2兆8393億円(4位) |
負債 | 2兆1192億円(4位) |
不動産業の中で売上高、総資産とも4位。利益率もまずまずで、純利益率が4.8%で65位。日本の不動産業の中でもトップレベルの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆1156億円
流動負債:4060億9000万円
固定負債:1兆6316億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.75倍で基準達成、
②は、固定負債1兆6316億円 > 純流動資産7095億円 で基準未達となり、
流動資産に対して固定負債の割合が高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年分の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており全く赤字はなし。基準達成です。2021年3月期はコロナ禍の影響によって大幅減益となっていますが、2022年3月期は以前の水準に近いレベルに戻しています。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 237億1200万円 |
2015年3月 | 252億3000万円 |
2016年3月 | 287億1800万円 |
2017年3月 | 315億1800万円 |
2018年3月 | 351億8500万円 |
2019年3月 | 374億5900万円 |
2020年3月 | 386億1100万円 |
2021年3月 | 216億6800万円 |
2022年3月 | 351億3300万円 |
2023年3月 | 482億2700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 12.3% となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 41.61円 | |
2015年3月 | 41.44円 | 3年平均:43.4円 |
2016年3月 | 47.17円 | |
2017年3月 | 51.77円 | |
2018年3月 | 57.8円 | |
2019年3月 | 56.84円 | |
2020年3月 | 53.7円 | |
2021年3月 | 30.13円 | |
2022年3月 | 48.84円 | 3年平均:48.7円 |
2023年3月 | 67.21円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
東急不動産ホールディングスのIR情報を確認すると、毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2013年3月 | 7円/株 | – |
2014年3月 | 4.5円/株 | 0.58% |
2015年3月 | 10円/株 | 1.22% |
2016年3月 | 12円/株 | 1.57% |
2017年3月 | 13円/株 | 2.15% |
2018年3月 | 14.5円/株 | 1.87% |
2019年3月 | 15.5円/株 | 2.34% |
2020年3月 | 16円/株 | 3.09% |
2021年3月 | 16円/株 | 2.44% |
2022年3月 | 17円/株 | 2.52% |
2023年3月 | 23.5円/株 | 3.7% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で保有期間3年以上なら500株以上で2000円相当、1000株以上で5000円相当、5000株以上で10000円相当のカタログギフトがもらえます。 500株だと優待でプラス 0.5%程度の配当があることになりますね。
さらに3月末と9月末の権利確定で保有株式数に応じてリゾート施設やホテル、フィットネスクラブなどの優待券ももらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.24倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.90倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も9.22で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆58億円 |
②財務状況 | △ | 固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +12.3% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.7%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 10.24倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.90倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、
東急不動産ホールディングス(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
収益安定性はすごくしっかりしているものの、成長性が今一つ、また流動資産に対する固定負債の割合が高い点がネックですね。
強みである幅広いアセットと豊富な顧客との接点、人財と運営ノウハウを活用して、労働集約型からの脱却、知的資産の有効活用による生産性向上を図りつつ、事業プロデュース力を活かした施策を展開する。
ホテルや商業施設はコロナ禍で大きな影響を受けましたので、今後コロナ禍で変わった新しい社会にどう対応し、事業を展開されていくのかに注目です。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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