
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東急不動産ホールディングス(株)【3289】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った東急不動産ホールディングス(株)【3289】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東急不動産ホールディングス(株)【3289】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


東急不動産ホールディングス(株)【3289】 の基本情報
・設立年月日 2013年10月1日
・上場年月日 2013年10月1日
・業種 不動産業
・特色 東急系の総合不動産大手。ビル賃貸が利益柱。リゾート開発から東急ハンズまで業容多彩。
・資本金 775億円
・従業員数 (単独)87人 (連結)21,276人
・株価 711円(2022.6.26)
・単元 100株
・決算 3月末日


東急不動産ホールディングスは持株会社であり、その下で東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブル、東急住宅リース、学生情報センターの主要5社を中心に、都市開発事業、戦略投資事業、管理運営事業、不動産流通事業の4事業を展開しています。
グループの原点は、1918年に渋沢栄一らによって設立された田園都市株式会社にあり、東京の都市化・人口流入が進み、住宅不足の時代に、英国発祥の「田園都市構想」を取り入れ、自然と都市の長所を併せ持つ田園調布を創造したそうです。
都市開発事業セグメントでは、オフィスビルや商業施設などの開発・運営を手がけるとともに、分譲住宅・賃貸住宅の開発を行っています。渋谷駅桜岡口地区の再開発やあべのキューズモールなどを手掛けているそうです。
戦略投資事業セグメントでは、エネルギー政策や産業構造の変化などを踏まえ、再生可能エネルギー発電施設や物流施設など、生活を支えるインフラを開発・整備しています。
管理運営事業セグメントでは、資産価値の維持向上に貢献する管理事業をはじめ、健康増進や豊かな暮らしづくりをサポートするウェルネス事業など、お客さま起点の幅広い事業を展開しています。
不動産流通事業セグメントでは、売買仲介・販売受託など、不動産ストックの活用に関するソリューションの提供、および賃貸住宅の管理に関わる事業を行っています。
「魅力あふれる多彩なライフスタイルの創造を通じて、誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来の実現」を目指されています。
ではここからは、東急不動産ホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
不動産業140社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 5114億3400万円(8位) |
売上高 | 9890億4900万円(4位) |
営業利益 | 838億1700万円(8位) |
経常利益 | 728億3400万円(8位) |
純利益 | 351億3300万円(8位) |
営業利益率 | 8.5%(80位) |
純利益率 | 3.6%(99位) |
総資産 | 2兆6343億円(4位) |
負債 | 1兆9910億円(4位) |
不動産業の中で売上高は第4位。総資産も第4位で日経225企業の不動産業の中でもトップレベルの一社です。利益率は営業利益率が8.5%で業界80位とこの業界の中では低め、それでももちろん事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、東急不動産ホールディングスの流動資産は1,036,951百万円、流動負債は438,774百万円、固定負債は1,552,270百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.36倍で基準達成、
②は、固定負債1,552,270百万円 > 純流動資産598,177百万円 で基準未達となります。
よって、純流動資産に対して固定負債が高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
東急不動産ホールディングスは設立が2013年10月なので過去9年分の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており全く赤字はなし。基準達成です。2021年3月期はコロナ禍の影響によって大幅減益となっていますが、2022年3月期は以前の水準に近いレベルに戻しています。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 237億1200万円 |
2015年3月 | 252億3000万円 |
2016年3月 | 287億1800万円 |
2017年3月 | 315億1800万円 |
2018年3月 | 351億8500万円 |
2019年3月 | 374億5900万円 |
2020年3月 | 386億1100万円 |
2021年3月 | 216億6800万円 |
2022年3月 | 351億3300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
こちらも過去9年分で評価しています。東急不動産ホールディングスのIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が43.4円、直近の3年平均が44.2円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 1.9%であり、基準未達です。 安定感はあるんですが、成長性が今一つといったところでしょうか。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 41.61円 | |
2015年3月 | 41.44円 | 最初の3年平均:43.4円 |
2016年3月 | 47.17円 | |
2017年3月 | 51.77円 | |
2018年3月 | 57.8円 | |
2019年3月 | 56.84円 | |
2020年3月 | 53.7円 | |
2021年3月 | 30.13円 | 直近の3年平均:44.2円 |
2022年3月 | 48.84円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
東急不動産ホールディングスのIR情報を確認すると、毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2013年3月 | 7円/株 | – |
2014年3月 | 4.5円/株 | 0.58% |
2015年3月 | 10円/株 | 1.22% |
2016年3月 | 12円/株 | 1.57% |
2017年3月 | 13円/株 | 2.15% |
2018年3月 | 14.5円/株 | 1.87% |
2019年3月 | 15.5円/株 | 2.34% |
2020年3月 | 16円/株 | 3.09% |
2021年3月 | 16円/株 | 2.44% |
2022年3月 | 17円/株 | 2.52% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で保有期間3年以上なら500株以上で2000円相当、1000株以上で5000円相当、5000株以上で10000円相当のカタログギフトがもらえます。 500株だと優待でプラス 0.5%程度の配当があることになりますね。
さらに3月末と9月末の権利確定で保有株式数に応じてリゾート施設やホテル、フィットネスクラブなどの優待券ももらえます。昨年まで配布されていた東急ハンズ割引券は今年から廃止されました。


⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.82倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.81倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も11.19で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高9890億円 |
②財務状況 | △ | 固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +1.9% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.52%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.82倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.81倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、「 東急不動産ホールディングス(株)は割安株には該当しない」という結果となりました。
収益安定性はすごくしっかりしているものの、成長性が今一つ、また流動資産に対する固定負債の割合が高い点がネックですね。
ホテルや商業施設はコロナ禍で大きな影響を受けましたので、今後コロナ禍で変わった新しい社会にどう対応し、事業を展開されていくのかに注目です。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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