
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるユニチカ(株)【3103】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
*ユニチカ(株)は2022年10月に日経平均株価の構成銘柄から除外されました。


・バリュー投資の7つの基準に沿ったユニチカの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ユニチカは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。



日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


ユニチカ(株)【3103】 の基本情報
・設立年月日 1889年6月19日
・上場年月日 1949年5月
・業種 繊維製品
・特色 繊維事業は不採算部門の撤退・集約など構造改革進展。フィルムや樹脂など高分子事業を強化。
・資本金 1億円
・従業員数 (単独)1,359人 (連結)2,944人
・株価 209円(2023.8.12)
・単元 100株
・決算 3月末日


1889年に尼崎紡績として創立し、1969年のニチボーと日本レイヨンの合併により、総合繊維会社の「ユニチカ」となりました。事業内容は、大きく分けて高分子事業、機能資材事業、繊維事業の3事業。高分子事業はフィルム、樹脂の2分野に展開し、グローバルな活動を行われています。
繊維技術の応用で事業の多角化を推し進め、現在では機能素材メーカーとして、高分子、機能資材、繊維等の事業を推進し、日常で使われる生活に馴染みあるものから通常は目にすることのない産業用途まで、独自の高分子技術をベースに多様な素材や技術による製品を生み出しています。



利益の大半は高分子事業が稼ぎ出しています。特にバリアナイロンフィルム「エンブレム」などのフィルム事業が好調のようですね。
暮らしと技術を結ぶことによって社会に貢献する
「人々の生活と環境に貢献し、社会的存在感のある企業」を目指し、基本方針である「機能素材メーカーとしての基盤強化」、「企業体質・株主資本の強化」を推進されています。
ではここからは、ユニチカ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
繊維製品50社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 120億5000万円(25位) |
売上高 | 1179億4200万円(12位) |
営業利益 | 13億2700万円(22位) |
経常利益 | 10億6900万円(27位) |
純利益 | 1億200万円(37位) |
営業利益率 | 1.1%(35位) |
純利益率 | 0.1%(39位) |
総資産 | 1908億5300万円(6位) |
負債 | 1481億7400万円(5位) |
繊維製品の中で売上高は12位、総資産は6位。利益率は低く、純利益率が0.1%で39位。日本の大手繊維メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:748億4500万円
流動負債:329億7700万円
固定負債:1131億700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.27倍で基準達成、
②は、固定負債1131億円 > 純流動資産418億円 で基準未達となり、
流動資産に対して固定負債の割合が高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
ユニチカの業績を確認すると、ここ10年で2015年3月、2020年3月に赤字があり、残念ながら基準未達です。2020年3月期は訴訟損失とタイ子会社の業績悪化による特別損失が発生したとのことです。
10年で2回の赤字はなかなか厳しいですね。2014年にはメインバンクに金融支援を要請、資本金も1億円に減資するなど、事業構造の改善を進められています。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 5億8300万円 |
2015年3月 | -270億3300万円 |
2016年3月 | 69億3300万円 |
2017年3月 | 73億8900万円 |
2018年3月 | 80億8100万円 |
2019年3月 | 52億3200万円 |
2020年3月 | -21億5800万円 |
2021年3月 | 38億6400万円 |
2022年3月 | 22億2300万円 |
2023年3月 | 1億200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 は 最初の3年がマイナスなので計算上∞%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 10.11円 | |
2015年3月 | -468.72円 | 3年平均:-112.8円 |
2016年3月 | 120.21円 | |
2017年3月 | 128.12円 | |
2018年3月 | 140.13円 | |
2019年3月 | 90.74円 | |
2020年3月 | -37.43円 | |
2021年3月 | 67.02円 | |
2022年3月 | 38.56円 | 3年平均:35.8円 |
2023年3月 | 1.77円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
ユニチカのIR情報を確認すると、ずっと無配です。もちろん基準未達です。 この経営状態では仕方なしでしょうか。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 0円/株 | 0% |
2011年3月 | 0円/株 | 0% |
2012年3月 | 0円/株 | 0% |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 0円/株 | 0% |
2015年3月 | 0円/株 | 0% |
2016年3月 | 0円/株 | 0% |
2017年3月 | 0円/株 | 0% |
2018年3月 | 0円/株 | 0% |
2019年3月 | 0円/株 | 0% |
2020年3月 | 0円/株 | 0% |
2021年3月 | 0円/株 | 0% |
2022年3月 | 0円/株 | 0% |
2023年3月 | 0円/株 | 0% |
もちろんですが、株主優待もありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは120.81倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.29倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は35.03で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高1179億円 |
②財務状況 | △ | 固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2015年,2020年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +∞ |
⑤配当 | × | ずっと無配 |
⑥株価収益率 | × | 120.81倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 0.29倍 PER×PBRがNG |
財務状況と収益安定性、配当、株価収益率/純資産倍率の5項目で基準未達となり、



ユニチカ(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
慢性的な赤字体質であり、ちょっと経営状態が悪すぎますね。ずっと無配であることも大きなマイナスポイントです。フィルム事業など、繊維以外の事業をしっかり成長軌道に乗せて、事業構造を大幅に改善していかないと割安株への道は遠そうです。
更なるコストダウンや価格改定を含めた商品構成の見直しなどにより影響の最小化に取り組み、収益の確保に努める。
収益性が低下した事業については、事業縮小も視野に入れた構造改善に取り組みながら、高付加価値品や環境配慮型製品など、成長が期待される製品については拡販や開発体制の強化を行い、事業収益力の強化に取り組まれるそう。今後に期待しましょう。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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