
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)セブン&アイ・ホールディングス【3382】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った(株)セブン&アイ・ホールディングス【3382】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・(株)セブン&アイ・ホールディングス【3382】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


(株)セブン&アイ・ホールディングス【3382】 の基本情報
・設立年月日 2005年9月1日
・上場年月日 2005年9月1日
・業種 小売業
・特色 国内2位の流通グループ。コンビニを核に総合スーパー、百貨店、外食、セブン銀行など展開。
・資本金 500億円
・従業員数 (単独)969人 (連結)83,635人
・株価 5,324円(2022.6.26)
・単元 100株
・決算 2月末日


(株)セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニエンスストア、総合スーパー、食品スーパー、百貨店、専門店、フードサービス、金融サービス、IT/サービスなど、各事業を中心とした企業グループの企画・管理・運営を行う持株会社です。
セブン&アイグループは、世界18の国と地域で店舗を展開し、世界中にネットワークを持つ有数の小売りグループで、顧客ニーズに対応した利便性を追求し、常に時代の先を行くコンビニエンスストアとして進化する国内コンビニエンスストア事業をはじめとして、海外コンビニエンスストア事業、スーパーストア事業、百貨店・専門店事業、金融関連事業、その他事業を展開されています。
利益の大半を国内・海外コンビニエンスストア事業が稼ぎ出しており、2300万人を超える7iDの会員を活用し、顧客ニーズの理解と顧客接点の拡大を進め、店舗とネット双方を成長させることで広告価値を高め、利益成長機会の追求を進めていく計画とのことです。
ではここからは、(株)セブン&アイ・ホールディングスに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
小売業347社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4兆7017億円(2位) |
売上高 | 8兆7497億円(1位) |
営業利益 | 3876億5300万円(1位) |
経常利益 | 3585億7100万円(1位) |
純利益 | 2107億7400万円(1位) |
営業利益率 | 4.5%(103位) |
純利益率 | 2.4%(167位) |
総資産 | 8兆7392億円(2位) |
負債 | 5兆5915億円(2位) |
小売業の中で売上高は第1位。総資産は第2位で日経225企業の小売業の中でもトップの一社です。利益率は営業利益が4.5%と低めですが、これだけの規模ですからね。純利益は小売業で国内トップです。もちろん事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年2月期の決算短信では、セブン&アイ・ホールディングスの流動資産は2,604,774百万円、流動負債は2,480,725百万円、固定負債は3,110,820百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.05倍で基準未達、
②は、固定負債3,110,820百万円 > 純流動資産124,049百万円 で基準未達となり、
よって、流動/固定いずれの負債の比率も高く、基準未達です。
小売業はどうもこういう財務状況ばかりで負債が多い傾向ですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
セブン&アイ・ホールディングスの業績を確認すると、毎年しっかり利益を出しており赤字はありません。よって基準達成です。特に2021年2月はコロナ禍の影響で若干利益は落ちてますが、それでも純利益は1790億、さすがです。
年度 | 純利益 |
2013年2月 | 1380億6400万円 |
2014年2月 | 1756億9100万円 |
2015年2月 | 1729億7900万円 |
2016年2月 | 1609億3000万円 |
2017年2月 | 967億5000万円 |
2018年2月 | 1811億5000万円 |
2019年2月 | 2030億400万円 |
2020年2月 | 2181億8500万円 |
2021年2月 | 1792億6200万円 |
2022年2月 | 2107億7400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
セブン&アイ・ホールディングスのIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が183.6円、直近の3年平均が229.6円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 25.0%であり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年2月 | 156.26円 | |
2014年2月 | 198.84円 | 最初の3年平均:183.6円 |
2015年2月 | 195.66円 | |
2016年2月 | 182.02円 | |
2017年2月 | 109.42円 | |
2018年2月 | 204.8円 | |
2019年2月 | 229.5円 | |
2020年2月 | 246.95円 | |
2021年2月 | 203.03円 | 直近の3年平均:229.6円 |
2022年2月 | 238.68円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
セブン&アイ・ホールディングスのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年2月 | 56円/株 | 2.79% |
2011年2月 | 57円/株 | 2.5% |
2012年2月 | 62円/株 | 2.76% |
2013年2月 | 64円/株 | 2.37% |
2014年2月 | 68円/株 | 1.78% |
2015年2月 | 73円/株 | 1.6% |
2016年2月 | 85円/株 | 1.89% |
2017年2月 | 90円/株 | 2.05% |
2018年2月 | 90円/株 | 2.02% |
2019年2月 | 95円/株 | 1.94% |
2020年2月 | 98.5円/株 | 2.67% |
2021年2月 | 98.5円/株 | 2.44% |
2022年2月 | 100円/株 | 1.79% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは19.59倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.58倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も30.95で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高8兆7497億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | 25.0% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.79% |
⑥株価収益率 | △ | 19.59倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.58倍 |
財務状況と収益成長性、株価収益率、株価純資産倍率の4項目で基準未達となり、「 (株)セブン&アイ・ホールディングスは割安株には該当しない」という結果となりました。
売上や企業規模、利益の額は素晴らしいのですが、流動資産に対する負債の割合が高いことと、PER/PBRの高い点が厳しいですね。
コンビニ事業は引き続き好調が期待できそうですが、そごうや西武、イトーヨーカドーなどの大型店舗事業はかなり苦戦している様子であり、この辺りの事業をどう立て直していくのかが大きな課題かもしれません。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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