こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)セブン&アイ・ホールディングス【3382】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったセブン&アイ・ホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・セブン&アイ・ホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)セブン&アイ・ホールディングス【3382】 の基本情報
・設立年月日 2005年9月1日
・上場年月日 2005年9月1日
・業種 小売業
・特色 国内首位の流通グループ。日米コンビニを核に総合スーパー、外食、銀行など展開。百貨店は売却。
・資本金 500億円
・従業員数 (単独)1,017人 (連結)84,154人
・株価 6,050円(2023.8.12)
・単元 100株
・決算 2月末日
コンビニエンスストア、総合スーパー、食品スーパー、百貨店、専門店、フードサービス、金融サービス、IT/サービスなど、各事業を中心とした企業グループの企画・管理・運営を行う持株会社です。
セブン&アイグループは、世界18の国と地域で店舗を展開し、世界中にネットワークを持つ有数の小売りグループで、顧客ニーズに対応した利便性を追求し、常に時代の先を行くコンビニエンスストアとして進化する国内コンビニエンスストア事業をはじめとして、海外コンビニエンスストア事業、スーパーストア事業、百貨店・専門店事業、金融関連事業、その他事業を展開されています。
利益の大半を国内・海外コンビニエンスストア事業が稼ぎ出しており、2800万人の会員数を誇る7iDの基盤も強みですね。
私たちは、お客様に信頼される、
誠実な企業でありたい。
私たちは、取引先、株主、地域社会に
信頼される、誠実な企業でありたい。
私たちは、社員に信頼される、
誠実な企業でありたい。
創業時より重んじる「信頼と誠実」の社是を不変の礎として、「常にお客様の立場に立って、新たな体験価値を提供することで、国内外の地域社会に貢献する」という基本姿勢をグループ全体で共有し、流通サービスのイノベーションの推進と新たな体験価値の提供に取り組まれています。
ではここからは、(株)セブン&アイ・ホールディングスに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
小売業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 5兆3438億円(2位) |
売上高 | 11兆8113億円(1位) |
営業利益 | 5065億2100万円(1位) |
経常利益 | 4758億8700万円(1位) |
純利益 | 2809億7600万円(1位) |
営業利益率 | 4.3%(46位) |
純利益率 | 2.4%(57位) |
総資産 | 10兆5983億円(2位) |
負債 | 6兆9454億円(2位) |
小売業の中で売上高は1位、総資産は2位。利益率もまずまずで、純利益率が2.4%で57位。国内首位の流通グループです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3兆606億円
流動負債:3兆2650億円
固定負債:3兆6377億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.94倍で基準未達、
②は、固定負債3兆6377億円 > 純流動資産-2044億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
セブン&アイ・ホールディングスの業績を確認すると、毎年しっかり利益を出しており赤字はありません。よって基準達成です。特に2021年2月はコロナ禍の影響で若干利益は落ちてますが、それでも純利益は1790億、さすがです。
年度 | 純利益 |
2014年2月 | 1756億9100万円 |
2015年2月 | 1729億7900万円 |
2016年2月 | 1609億3000万円 |
2017年2月 | 967億5000万円 |
2018年2月 | 1811億5000万円 |
2019年2月 | 2030億400万円 |
2020年2月 | 2181億8500万円 |
2021年2月 | 1792億6200万円 |
2022年2月 | 2107億7400万円 |
2023年2月 | 2809億7600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 31.8% となり、惜しくも基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年2月 | 198.84円 | |
2015年2月 | 195.66円 | 3年平均:192.2円 |
2016年2月 | 182.02円 | |
2017年2月 | 109.42円 | |
2018年2月 | 204.8円 | |
2019年2月 | 229.5円 | |
2020年2月 | 246.95円 | |
2021年2月 | 203.03円 | |
2022年2月 | 238.68円 | 3年平均:253.3円 |
2023年2月 | 318.14円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
セブン&アイ・ホールディングスのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年2月 | 56円/株 | 2.79% |
2011年2月 | 57円/株 | 2.5% |
2012年2月 | 62円/株 | 2.76% |
2013年2月 | 64円/株 | 2.37% |
2014年2月 | 68円/株 | 1.78% |
2015年2月 | 73円/株 | 1.6% |
2016年2月 | 85円/株 | 1.89% |
2017年2月 | 90円/株 | 2.05% |
2018年2月 | 90円/株 | 2.02% |
2019年2月 | 95円/株 | 1.94% |
2020年2月 | 98.5円/株 | 2.67% |
2021年2月 | 98.5円/株 | 2.44% |
2022年2月 | 100円/株 | 1.79% |
2023年2月 | 113円/株 | 1.86% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは18.75倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.54倍であり、①のPBRは四捨五入でギリ基準達成です。
②のPER × PBR は28.88で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高11兆8113億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | 31.8% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.86% |
⑥株価収益率 | △ | 18.75倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.54倍 PER×PBRがNG |
財務状況と収益成長性、株価収益率/純資産倍率の4項目で基準未達となり、
(株)セブン&アイ・ホールディングスは割安株には該当しません!
という結果となりました。
売上や企業規模、利益の額は素晴らしいのですが、流動資産に対する負債の割合が高く、成長性があと一歩、PERも高いですね。
セブン‐イレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する、「食」を中心とした世界トップクラスのリテールグループを目指す。
「食」の強みを支える商品力=セブンプレミアムをはじめとする魅力的なオリジナル商品を活かした店舗集客力・収益力の向上により安定成長を引き続き実現していくとのこと。まだまだ成長が期待できそうですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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