こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるデンカ(株)【4061】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったデンカの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・デンカは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
デンカ(株)【4061】 の基本情報
・設立年月日 1915年5月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 化学
・特色 特殊合成ゴムや機能樹脂など生産。注力中の電子先端分野が成長中。ワクチンや検査試薬なども。
・資本金 369億円
・従業員数 (単独)4,198人 (連結)6,406人
・株価 2,809円(2023.9.6)
・単元 100株
・決算 3月末日
1915 年設立のカーバイド系事業を発祥とする化学会社で、素材開発力や加工技術に強みを有し、世界シェアトップのクロロプレンゴム、溶融シリカフィラーをはじめ、ニッチながらも高いシェアを持つ有力製品を複数抱えています。
汎用製品でマス・マーケットを狙うのではなく、競争優位性が発揮できるスペシャリティー製品での事業展開を志向し、売上額としては、ポリマーソリューション部門とエラストマー・インフラソリューション部門が大きいのですが、利益自体は今一つ。利益の多くは電子・先端プロダクツ部門とライフイノベーション部門が稼ぎ出しています。
利益を上げられている電子・先端プロダクツ部門では、リチウムイオンバッテリー向け導電助剤や放熱材料・基板、機能性セラミックス・フィルム・テープなどを展開されています。
化学の力で 世界をよりよくする スペシャリストになる。
2023~2030年までの8か年を対象とする経営計画「Mission2030」を策定し、「2030年までに、人財・経営価値を高め スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた事業価値創造に集中する。」を成し遂げたいミッションに掲げています。
ではここからは、デンカ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2422億1600万円(36位) |
売上高 | 4075億5900万円(26位) |
営業利益 | 323億2400万円(23位) |
経常利益 | 280億2500万円(32位) |
純利益 | 127億6800万円(39位) |
営業利益率 | 7.9%(38位) |
純利益率 | 3.1%(69位) |
総資産 | 6086億4400万円(24位) |
負債 | 3038億3900万円(22位) |
化学の中で売上高は26位、総資産は24位。利益率は低めで、純利益率は3.1%の69位。国内大手化学メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2517億9300万円
流動負債:1644億5700万円
固定負債:1273億4900万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.53倍で基準未達、
②は、固定負債1273億円 > 純流動資産873億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
デンカの業績を確認すると、ずっと赤字はなく安定してますね。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 135億7300万円 |
2015年3月 | 190億2100万円 |
2016年3月 | 194億7200万円 |
2017年3月 | 181億4500万円 |
2018年3月 | 230億3500万円 |
2019年3月 | 250億4600万円 |
2020年3月 | 227億300万円 |
2021年3月 | 227億8500万円 |
2022年3月 | 260億1200万円 |
2023年3月 | 127億6800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 25.9%となり、惜しくも基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 145.15円 | |
2015年3月 | 207.39円 | 3年平均:189.1円 |
2016年3月 | 214.7円 | |
2017年3月 | 205.04円 | |
2018年3月 | 261.79円 | |
2019年3月 | 286.18円 | |
2020年3月 | 262.62円 | |
2021年3月 | 264.23円 | |
2022年3月 | 301.67円 | 3年平均:238.0円 |
2023年3月 | 148.07円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でデンカのIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。じわじわ増配している点も好感が持てますね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 40円/株 | 1.99% |
2011年3月 | 50円/株 | 2.44% |
2012年3月 | 50円/株 | 3.02% |
2013年3月 | 50円/株 | 2.99% |
2014年3月 | 50円/株 | 2.82% |
2015年3月 | 62.5円/株 | 2.64% |
2016年3月 | 65円/株 | 2.81% |
2017年3月 | 70円/株 | 2.42% |
2018年3月 | 105円/株 | 2.95% |
2019年3月 | 120円/株 | 3.76% |
2020年3月 | 125円/株 | 5.49% |
2021年3月 | 125円/株 | 2.83% |
2022年3月 | 145円/株 | 4.26% |
2023年3月 | 100円/株 | 3.66% |
なお、株主優待は3月末、9月末の権利確定で1株以上で自社グループの化粧品を優待価格で購入できます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.01倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.80倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も8.81で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4075億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +25.9% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.66%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.01倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.80倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、
デンカ(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して、流動/固定負債の割合が高く、成長性もあと一歩ですね。その他項目はきれいにクリアしており、なかなか手堅い印象です。
事業価値創造、人財価値創造、経営価値創造の3つを成長戦略として、企業価値向上に取り組み、事業価値創造では、デンカの全ての事業を、スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」とすることを目指す。
今後、ヘルスケアや環境・エネルギー、高付加価値インフラといったスペシャリティー事業の成長加速や、基盤事業のスペシャリティー化、コモディティー事業の位置づけ再定義によって事業ポートフォリオ変革を進めるとのこと。現在の手堅い既存事業にプラスして、成長性をこれからどこまで高めていけるかに注目ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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