こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである武田薬品工業(株)【4502】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った武田薬品工業の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・武田薬品工業は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
武田薬品工業(株)【4502】 の基本情報
・設立年月日 1925年1月29日
・上場年月日 1949年5月
・業種 医薬品
・特色 国内製薬首位。がん、中枢神経、消化器、希少疾患等に重点。巨額買収で世界売上上位10強入り。
・資本金 1兆6763億円
・従業員数 (単独)5,486人 (連結)49,095人
・株価 4,860円(2023.9.17)
・単元 100株
・決算 3月末日
国内製薬企業のリーディングカンパニー。連結売上高のすべてが医療用医薬品売上からなり、消化器領域・がん・中枢神経系にフォーカスを定め、消化性潰瘍治療薬、制癌剤などが主力製品です。
かつては農薬やウレタン樹脂、動物用医薬品、うま味調味料、ビタミン、活性炭・木材保存剤といった非医薬品事業も手がけていましたが、それぞれ住友化学、三井化学、キリンビールなどとの各合弁会社に移管し、現在は合弁相手の完全子会社となっています。
医薬品メーカーとしての強みを把握し、選択と集中をやりきる。そして、確固たるトップの地位を築く。すごいことです。
タケダは、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献するために存在します。
すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために。この約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続けることを目指されています。
ではここからは、武田薬品工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
医薬品72社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7兆5552億円(2位) |
売上高 | 4兆274億円(1位) |
営業利益 | 4905億500万円(2位) |
経常利益 | 3750億9000万円(2位) |
純利益 | 3170億1700万円(2位) |
営業利益率 | 12.2%(18位) |
純利益率 | 7.9%(23位) |
総資産 | 14兆7927億円(1位) |
負債 | 7兆8710億円(1位) |
医薬品の中で売上高、総資産ともダントツの第1位。利益率もまずまずで、純利益率は7.9%と23位。医薬品メーカーとして国内最大手です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2兆3979億円
流動負債:2兆4819億円
固定負債:5兆1211億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.97倍で基準未達、
②は、固定負債5兆1211億円 > 純流動資産-8400億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合もかなり高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2015年に赤字がありますね。米国における2型糖尿病治療剤「アクトス」の発がんリスクをめぐる製造物責任訴訟で、和解金や関連費用などを計上したとのこと。和解金は約2880億円だったとか。米国での訴訟関連費用ってすごいですね。というわけで基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 1066億5800万円 |
2015年3月 | -1457億7500万円 |
2016年3月 | 801億6600万円 |
2017年3月 | 1149億4000万円 |
2018年3月 | 1868億8600万円 |
2019年3月 | 1351億9200万円 |
2020年3月 | 442億4100万円 |
2021年3月 | 3760億500万円 |
2022年3月 | 2300億5900万円 |
2023年3月 | 3170億1700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 1039.0%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 135.1円 | |
2015年3月 | -185.37円 | 3年平均:17.3円 |
2016年3月 | 102.26円 | |
2017年3月 | 147.15円 | |
2018年3月 | 239.35円 | |
2019年3月 | 140.61円 | |
2020年3月 | 28.41円 | |
2021年3月 | 240.72円 | |
2022年3月 | 147.14円 | 3年平均:197.4円 |
2023年3月 | 204.29円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。ここ最近増配はしていないものの、配当利回りがかなり高い点は魅力ですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 180円/株 | 4.37% |
2011年3月 | 180円/株 | 4.64% |
2012年3月 | 180円/株 | 4.94% |
2013年3月 | 180円/株 | 3.58% |
2014年3月 | 180円/株 | 3.68% |
2015年3月 | 180円/株 | 3% |
2016年3月 | 180円/株 | 3.5% |
2017年3月 | 180円/株 | 3.44% |
2018年3月 | 180円/株 | 3.47% |
2019年3月 | 180円/株 | 3.98% |
2020年3月 | 180円/株 | 5.44% |
2021年3月 | 180円/株 | 4.52% |
2022年3月 | 180円/株 | 5.15% |
2023年3月 | 180円/株 | 4.14% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは53.20倍であり、基準未達です。これはちょっと高すぎますね。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.09倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は57.99で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高4兆274億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2015年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +1039.0% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.14% |
⑥株価収益率 | × | 53.20倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.09倍 PER×PERがNG |
財務状況と収益安定性、株価収益率、株価純資産倍率の4項目で基準未達となり、
武田薬品工業(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債の割合が高すぎる上、赤字があり、株価が高すぎますね。仕方ありません。
競争力のある利益率を維持して潤沢なキャッシュ・フローを創出し、研究開発、血漿分画製剤事業や新製品の上市や株主還元に向けて引き続き資金を配分していく。
短期的には、2023年度に主に米国の注意欠陥/多動性障害治療剤「VYVANSE」の独占販売期間が満了することで逆風が想定されるものの、中長期的には、成長製品・新製品が売上収益の成長を牽引していくことを見込んでいるのこと。さらに成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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