こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである大塚ホールディングス(株)【4578】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った大塚ホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・大塚ホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
大塚ホールディングス(株)【4578】 の基本情報
・設立年月日 2008年7月8日
・上場年月日 2010年12月15日
・業種 医薬品
・特色 国内製薬大手で抗精神病薬が主力。ポカリスエットなど機能性食品も拡大。世界90カ所に工場。
・資本金 816億円
・従業員数 (単独)147人 (連結)33,482人
・株価 5,546円(2023.9.18)
・単元 100株
・決算 12月末日
大塚製薬、大塚製薬工場、大鵬薬品工業をはじめとする「大塚グループ」の持株会社。武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共、エーザイと共に国内5大医薬品メーカーの一社です。
グループの中核企業は大塚製薬で、疾病の治癒を目指し新しい治療薬を提供する「医療関連事業」と家庭用医薬品・健康食品・飲料などの企画・開発・販売を担う「ニュートラシューティカルズ関連事業」を会社の柱としています。
「オロナインH軟膏」「オロナミンCドリンク」「ポカリスエット」「カロリーメイト」なんかがおなじみですね。
世界中の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する
大塚の遺伝子である「流汗悟道」「実証」「創造性」を受け継いで、「大塚だからできること」「大塚にしかできないこと」を日々実践しようと努め、革新的で創造性に富んだ医薬品や機能性飲料・機能性食品などの幅広い製品・サービスを通じて、世界の人々の暮らしをサポートすることを目指されています。
ではここからは、大塚ホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
医薬品72社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3兆97億円(5位) |
売上高 | 1兆7379億円(2位) |
営業利益 | 1503億2300万円(3位) |
経常利益 | 1729億5400万円(4位) |
純利益 | 1340億1900万円(4位) |
営業利益率 | 8.6%(26位) |
純利益率 | 7.7%(24位) |
総資産 | 3兆3087億円(2位) |
負債 | 8402億6100万円(4位) |
医薬品の中で売上高、総資産とも2位。利益率もまずまずで、純利益率は7.7%の24位。国内医薬品メーカーの中で大手の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:1兆1920億円
流動負債:5391億9300万円
固定負債:3010億7600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.21倍で基準達成、
②は、固定負債3010億円 < 純流動資産3517億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、きれいな財務状況です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年きっちり利益を上げられており、赤字はありません。というわけで基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 1509億8900万円 |
2014年12月 | 1431億4300万円 |
2015年12月 | 1019億5700万円 |
2016年12月 | 925億6300万円 |
2017年12月 | 1124億9200万円 |
2018年12月 | 824億9200万円 |
2019年12月 | 1271億5100万円 |
2020年12月 | 1481億3700万円 |
2021年12月 | 1254億6300万円 |
2022年12月 | 1339億600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = +2.8%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 278.13円 | |
2014年12月 | 264.26円 | 3年平均:243.5円 |
2015年12月 | 188.17円 | |
2016年12月 | 170.83円 | |
2017年12月 | 207.61円 | |
2018年12月 | 152.24円 | |
2019年12月 | 234.55円 | |
2020年12月 | 273.16円 | |
2021年12月 | 231.32円 | 3年平均:250.4円 |
2022年12月 | 246.81円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 12.5円/株 | -% |
2011年3月 | 28円/株 | 1.36% |
2012年3月 | 45円/株 | 1.84% |
2013年3月 | 58円/株 | 1.76% |
2014年3月 | 65円/株 | 2.11% |
2014年12月 | 75円/株 | 2.07% |
2015年12月 | 100円/株 | 2.32% |
2016年12月 | 100円/株 | 1.96% |
2017年12月 | 100円/株 | 2.02% |
2018年12月 | 100円/株 | 2.23% |
2019年12月 | 100円/株 | 2.05% |
2020年12月 | 100円/株 | 2.26% |
2021年12月 | 100円/株 | 2.4% |
2022年12月 | 100円/株 | 2.32% |
なお、株主優待は12月末の権利確定で100株以上で3000円相当のグループ商品がもらえます。 100株だと優待でプラス 0.6%程度の配当があることになりますね。なかなか豪華です。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは16.01倍であり、惜しくも基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.24倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は19.85で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆7379億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +2.8% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.32%+優待あり |
⑥株価収益率 | △ | 16.01倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.28倍 |
収益成長性と株価収益率の2項目が基準未達となり、
大塚ホールディングス(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
財務状況は問題なく、利益や配当もしっかりなのですが、成長性が物足りないのと、現時点では株価がちょっと高いですね。
日々の健康の維持・増進、疾病の診断から治療までを担うトータルヘルスケア企業として、顕在化しているが満たされないニーズと消費者が気付いていないニーズに対し、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の独創的な製品を提供することにより、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指す。
年間6500億円を売り上げた抗精神病薬「エビリファイ」の特許切れが2015年にあってから、一旦利益が落ち込んだものの、現在は「グローバル4製品」と位置付ける抗精神病薬「エビリファイメンテナ」、「レキサルティ」、利尿薬「サムスカ/ジンアーク」、抗がん剤「ロンサーフ」の4新薬が売上、利益の要となっています。今後このグローバル4製品をどこまで成長させることができるかに注目ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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