こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)荏原製作所【6361】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った荏原製作所の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・荏原製作所は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)荏原製作所【6361】 の基本情報
・設立年月日 1920年5月20日
・上場年月日 1949年5月
・業種 機械
・特色 ポンプの総合メーカー。固形廃棄物処理プラントや半導体研磨装置等でも世界首位級の技術力。
・資本金 798億円
・従業員数 (単独)4,825人 (連結)19,296人
・株価 7,916円(2023.12.10)
・単元 100株
・決算 12月末日
創業以来の主力製品であるポンプを主として、送風機、タービン、冷凍機、空調システムなどの風水力を媒体とする機械製造において、世界トップクラスの高い技術力を持ってます。
風水力機械製造において培った技術を生かし、半導体や電子部品の製造に必要な真空ポンプ装置やCMP装置、メッキ装置、さらには原子炉冷却材循環ポンプなどの製造も行っており、現在では、ポンプ事業、コンプレッサ・タービン事業、冷熱事業、環境プラント事業、精密・電子事業の5つの事業で顧客ニーズに応えています。
ポンプの分野では圧倒的な強みを持っており、「標準ポンプ」では国内トップシェアです。
水と空気と環境の分野で、優れた技術と最良のサービスを提供することにより、広く社会に貢献します。
創業の精神である”熱と誠”。
『与えられた仕事をただこなすのではなく、自ら創意工夫する熱意で取組み、誠心誠意これをやり遂げる心をもって仕事をすること。そして、何事も熱意と誠意をもって人に接すれば、相手に通じないことはない。』
この精神をもとに、社会に貢献する技術・製品・サービスを生み出し続けることを目指されています。
ではここからは、(株)荏原製作所に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
機械100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7307億7300万円(10位) |
売上高 | 6808億7000万円(13位) |
営業利益 | 705億7200万円(7位) |
純利益 | 504億8800万円(7位) |
営業利益率 | 10.4%(32位) |
純利益率 | 7.4%(37位) |
総資産 | 8844億100万円(12位) |
負債 | 4797億7400万円(11位) |
機械の中で売上高は13位、総資産は12位。利益率もまずまず高く、純利益率は7.4%の37位。ポンプといえば荏原さん、という国内トップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:5806億9400万円
流動負債:3690億7800万円
固定負債:892億4500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.57倍で基準未達、
②は、固定負債892億円 < 純流動資産2116億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合も高く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 189億7300万円 |
2015年3月 | 235億8000万円 |
2016年3月 | 172億5400万円 |
2017年3月 | 205億8700万円 |
2017年12月 | 95億3100万円 |
2018年12月 | 182億6200万円 |
2019年12月 | 233億4900万円 |
2020年12月 | 242億3600万円 |
2021年12月 | 436億1600万円 |
2022年12月 | 504億8800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +96.7%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 204.31円 | |
2015年3月 | 253.82円 | 3年平均:214.6円 |
2016年3月 | 185.58円 | |
2017年3月 | 213.7円 | |
2017年12月 | 93.84円 | |
2018年12月 | 179.94円 | |
2019年12月 | 241.79円 | |
2020年12月 | 254.35円 | |
2021年12月 | 463.43円 | 3年平均:422.1円 |
2022年12月 | 548.61円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、おっと、いきなり2010年が無配ですね。その後はちゃんと出てるのですが。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 0円/株 | 0% |
2011年3月 | 25円/株 | 1.13% |
2012年3月 | 25円/株 | 1.68% |
2013年3月 | 25円/株 | 1.28% |
2014年3月 | 37.5円/株 | 1.16% |
2015年3月 | 60円/株 | 2.37% |
2016年3月 | 60円/株 | 2.55% |
2017年3月 | 60円/株 | 1.65% |
2017年12月 | 45円/株 | 1.05% |
2018年12月 | 60円/株 | 2.43% |
2019年12月 | 60円/株 | 1.8% |
2020年12月 | 90円/株 | 2.67% |
2021年12月 | 163円/株 | 2.55% |
2022年12月 | 193円/株 | 4.09% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.95倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.86倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も25.95で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高6808億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +96.7% |
⑤配当 | △ | 2010年無配 |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.95倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 1.86倍 |
財務状況と配当、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、
(株)荏原製作所は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債の割合が高く、無配あり、PBRもちょっと高いですね。仕方なしです。
今後10年間、①社会・環境価値と②経済価値を同時に向上させていくことで企業価値を向上させることにより、グローバルエクセレントカンパニーを目指し、2030年における企業価値向上の目安として、時価総額1兆円規模を設定する。
単にモノを売るのではなく、社会や顧客の課題を解決したいという熱を持った従業員がいて、それを解決できる技術があることが荏原の強みであり、回転・熱・制御というコア技術をもとに、事業間のシナジー効果創出を促進し、マーケットインの視点でモノだけではないコト売りで既存事業の成長と新規事業創出に挑戦されるとのこと。今後さらなる成長に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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