こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるダイキン工業(株)【6367】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったダイキン工業の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ダイキン工業は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
ダイキン工業(株)【6367】 の基本情報
・設立年月日 1934年2月14日
・上場年月日 1949年5月
・業種 機械
・特色 エアコン世界首位級。国内は業務用断トツ。M&Aも駆使し各国で存在感。フッ素化学事業も。
・資本金 850億円
・従業員数 (単独)7,618人 (連結)96,337人
・株価 21,030円(2023.12.10)
・単元 100株
・決算 3月末日
「空調」「化学」「フィルタ」を柱とし、人と空間を健康で快適にするために、国や地域ごとに異なる文化・価値観から生まれるニーズに応え、多彩な製品とサービスをグローバル市場で展開しています。
空調事業の売上高は2010年からキヤリア社を抜き世界第1位、またフッ素化学製品でもデュポン社に次いで世界第2位、換気事業やフィルタ事業においても世界第1位のシェアを誇る。海外売上比率は約7割、全従業員の約8割が海外で働いています。
我が家のエアコンもダイキン製です。いつもお世話になっております。
1.「次の欲しい」を先取りし、新たな価値を創造する
2.世界をリードする技術で、社会に貢献する
3.企業価値を高め、新たな夢を実現する
などなど、全部で10項目あります。
ダイキンの成長を支え続ける3つの源泉は「人」「環境」「進取の精神」、特に「進取の精神」は世の中の潮流を読み、次の「欲しい」をいち早く先取りすること。それが新しい価値を創り続ける、ダイキンの原動力とし、コーポレートスローガンに「空気で答えを出す会社」を掲げ、サステナブルな社会の実現のために、環境と空気の新たな価値を追求されています。
ではここからは、ダイキン工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
機械100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6兆1565億円(1位) |
売上高 | 3兆9815億円(2位) |
営業利益 | 3770億3200万円(1位) |
純利益 | 2577億5400万円(1位) |
営業利益率 | 9.5%(37位) |
純利益率 | 6.5%(45位) |
総資産 | 4兆7696億円(3位) |
負債 | 2兆1891億円(3位) |
機械の中で売上高は2位、総資産は3位。利益率は中位で、純利益率は6.5%の45位。エアコンで世界首位級です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2兆4270億円
流動負債:1兆4493億円
固定負債:5752億6600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.67倍で基準未達、
②は、固定負債5752億円 > 純流動資産5427億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 927億8700万円 |
2015年3月 | 1196億7400万円 |
2016年3月 | 1369億8600万円 |
2017年3月 | 1539億3800万円 |
2018年3月 | 1890億5100万円 |
2019年3月 | 1890億4800万円 |
2020年3月 | 1707億3100万円 |
2021年3月 | 1562億4900万円 |
2022年3月 | 2177億900万円 |
2023年3月 | 2577億5400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +80.2%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 318.33円 | |
2015年3月 | 410.19円 | 3年平均:399.3円 |
2016年3月 | 469.22円 | |
2017年3月 | 526.81円 | |
2018年3月 | 646.53円 | |
2019年3月 | 646.38円 | |
2020年3月 | 583.6円 | |
2021年3月 | 533.96円 | |
2022年3月 | 743.88円 | 3年平均:719.5円 |
2023年3月 | 880.58円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りは低めですけど毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 32円/株 | 0.84% |
2011年3月 | 36円/株 | 1.45% |
2012年3月 | 36円/株 | 1.6% |
2013年3月 | 36円/株 | 0.98% |
2014年3月 | 50円/株 | 0.86% |
2015年3月 | 100円/株 | 1.24% |
2016年3月 | 120円/株 | 1.43% |
2017年3月 | 130円/株 | 1.16% |
2018年3月 | 140円/株 | 1.19% |
2019年3月 | 160円/株 | 1.23% |
2020年3月 | 160円/株 | 1.21% |
2021年3月 | 160円/株 | 0.72% |
2022年3月 | 200円/株 | 0.89% |
2023年3月 | 240円/株 | 1.01% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは23.32倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.43倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も56.67で基準未達です。これはちょっと株価が高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高3兆9815億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +80.2% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.01% |
⑥株価収益率 | × | 23.32倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.43倍 |
財務状況と株価収益率、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、
ダイキン工業(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、株価が高すぎますね。仕方なしです。
経営環境の足元の変化と中長期的なトレンドをチャンスと捉え、重点テーマへの取り組みを強化するとともに、「インドの一大拠点化」「高機能・環境材料事業」などを新たなテーマとして加え、経済価値・環境価値・社会価値の創造を加速させる。
多角化で生まれた産業用ロボット事業、医療機器事業、真空ポンプ事業など、本業と関係性が薄い不採算事業は撤退し、空調事業に注力したことと、さらに空調事業についても今後の成長性の観点から海外シフトを決断し、2012年の米国住宅用空調大手グッドマンを買収した以降、空調機のグローバルNo.1メーカーへと躍進しています。
その実績が市場で評価されている表れですね。投資先としては株価が高すぎますが、日本を代表する企業の一社として今後もダイキンの発展に期待したいものです。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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