こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日本精工(株)【6471】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日本精工の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日本精工は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
日本精工(株)【6471】 の基本情報
・設立年月日 1916年11月8日
・上場年月日 1949年5月
・業種 機械
・特色 ベアリング(軸受)国内最大手。工作機械などの産業機械用と自動車用が柱。EV用開発に注力。
・資本金 672億円
・従業員数 (単独)7,711人 (連結)29,926人
・株価 749.5円(2023.12.10)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本ベアリング業界の最大手で、世界ではスウェーデンのSKF、ドイツのシェフラーグループに次いで3位。主に「自動車事業(自動車軸受、自動車部品)」と「産業機械事業(産業機械軸受、精機製品)」の2つの事業があります。
製品はベアリングだけにとどまらず、世界トップクラスのシェアを持つボールねじ、ステアリングなど多様な製品を開発、製造、販売しています。
トライボロジー(tribology,摩擦学)技術では世界屈指の技術力を持ち、世界初の無段変速機「ハーフトロイダルCVT」を生み出し、実用化に成功しています。
世界のあらゆる産業を支える摩擦コントロール技術と製品力が強みです。
NSKは、MOTION & CONTROLを通じ、円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めます。
「しなやかに、限りなくMOTION & CONTROL」をコーポレートメッセージとし、「しなやかに」に弾力性、円滑性、粘り強さ、柔軟性、技術レベルの高さの5つを、「限りなく」に価値を創造し続けること、成長し続けること、貢献し続けることの3つの姿勢を込めています。
ではここからは、日本精工(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
機械100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3662億2200万円(19位) |
売上高 | 9380億9800万円(8位) |
営業利益 | 329億3600万円(16位) |
純利益 | 184億1200万円(22位) |
営業利益率 | 3.5%(82位) |
純利益率 | 2.0%(84位) |
総資産 | 1兆3119億円(8位) |
負債 | 6567億9500万円(8位) |
機械の中で売上高、総資産とも8位。利益率は低めで、純利益率は2.0%の84位。ベアリング業界で国内首位です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:5876億5600万円
流動負債:3073億4800万円
固定負債:2911億8300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.91倍で基準未達、
②は、固定負債2911億円 > 純流動資産2803億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 311億6700万円 |
2015年3月 | 593億8300万円 |
2016年3月 | 657億1900万円 |
2017年3月 | 455億6000万円 |
2018年3月 | 693億1200万円 |
2019年3月 | 558億900万円 |
2020年3月 | 174億1200万円 |
2021年3月 | 3億5500万円 |
2022年3月 | 165億8700万円 |
2023年3月 | 184億1200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -76.1%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 57.7円 | |
2015年3月 | 109.79円 | 3年平均:96.3円 |
2016年3月 | 121.38円 | |
2017年3月 | 86.08円 | |
2018年3月 | 131.16円 | |
2019年3月 | 107.46円 | |
2020年3月 | 34円 | |
2021年3月 | 0.69円 | |
2022年3月 | 32.35円 | 3年平均:23.0円 |
2023年3月 | 35.89円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りは低めですけど毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 8円/株 | 1.08% |
2011年3月 | 11円/株 | 1.53% |
2012年3月 | 12円/株 | 1.88% |
2013年3月 | 11円/株 | 1.54% |
2014年3月 | 16円/株 | 1.51% |
2015年3月 | 28円/株 | 1.59% |
2016年3月 | 34円/株 | 3.3% |
2017年3月 | 38円/株 | 2.39% |
2018年3月 | 40円/株 | 2.81% |
2019年3月 | 40円/株 | 3.86% |
2020年3月 | 30円/株 | 4.32% |
2021年3月 | 20円/株 | 1.76% |
2022年3月 | 25円/株 | 3.4% |
2023年3月 | 30円/株 | 3.97% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは26.54倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.57倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も15.13で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高9380億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | -76.1% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.97% |
⑥株価収益率 | × | 26.54倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.57倍 |
財務状況と収益成長性、株価収益率の3項目で基準未達となり、
日本精工(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債の割合が高い上、成長性が今一つ、利益に対して株価もちょっと高いですね。仕方なしです。
『変わる 超える』への挑戦を続け、未来志向の高い目標に向かって、前進を続ける活力のある会社を目指し、企業理念に基づいた企業活動とMOTION & CONTROLを通じて、社会的課題の解決と社会の持続的発展への貢献を続ける。
日本精工はベアリングだけでなく、トライボロジーという基礎技術を使って様々な周辺分野にチャレンジしてきています。自動車のEV化が進む中、エンジンからモーター駆動になるとベアリングの数は減ることになりますが、付加価値を高めて部品単価を高めたり、他の市場を開拓するなど、継続して事業構造を変革していくことが必要ですね。
単純なものほど難しい。日本のモノづくりを代表する企業の一社だと思いますので、今後も日本精工の挑戦と発展に期待したいものです。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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