こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるソニーグループ(株)【6758】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったソニーグループの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ソニーグループは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
ソニーグループ(株)【6758】 の基本情報
・設立年月日 1946年5月7日
・上場年月日 1958年12月
・業種 電気機器
・特色 AV機器大手。海外でブランド力絶大。イメージセンサー、ゲーム、音楽・映画分野に重点。
・資本金 8,803億円
・従業員数 (単独)2,839人 (連結)108,900人
・株価 13,410円(2024.1.2)
・単元 100株
・決算 3月末日
グループは1500社ほどの連結子会社からなり、エレクトロニクスをはじめ、ゲーム、エンターテインメント(映画・音楽・アニメ)、金融(保険・銀行)など、様々な分野の企業を包括しています。
当社を筆頭に構成されるソニーグループの子会社群を通じ、銀行業、生命保険業、損害保険業、不動産業、放送業、出版業、アニメーション制作事業、芸能マネジメント事業、介護事業、教育事業、電気通信事業、キャラクターのライセンス事業なども手がけています。
バブル期ほどの勢いはないにしても、圧倒的なブランド力と高い技術力は大きな強みですね。
クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす。
「夢と好奇心」「多様性」「高潔さと誠実さ」「持続可能性」の4つをValues(価値観)として定め、「感動」と「人」を軸とした新たな価値の創出に取り組み、長期視点で世界を感動で満たすことw目指されています。
ではここからは、ソニーグループ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 16兆5296億円(1位) |
売上高 | 10兆958億円(2位) |
純利益 | 9371億2600万円(1位) |
純利益率 | 9.3%(23位) |
総資産 | 32兆9687億円(1位) |
電気機器の中で売上高は2位、総資産は1位。利益率も高く、純利益率は9.3%の23位。トランジスタラジオ、ウォークマン、パソコン、ゲーム機と時代の先端を行く製品を次々と生み出してきた世界のソニー、文句なしの規模です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:5兆7225億円
流動負債:9兆3184億円
固定負債:15兆1785億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.61倍で基準未達、
②は、固定負債15兆1785億円 > 純流動資産-3兆5959億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合もかなり高いですね。基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2014年,2015年に赤字が出ています。特に赤字幅の大きかった2014年は撤退するパソコン事業の構造改革費用を追加するとともに、DVDなどディスクメディア製造事業の不振で減損処理費用を計上したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | -1283億6900万円 |
2015年3月 | -1259億8000万円 |
2016年3月 | 1477億9100万円 |
2017年3月 | 732億8900万円 |
2018年3月 | 4907億9400万円 |
2019年3月 | 9162億7100万円 |
2020年3月 | 5821億9100万円 |
2021年3月 | 1兆296億円 |
2022年3月 | 8821億7800万円 |
2023年3月 | 1兆52億円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 は計算上 +∞%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | -124.99円 | |
2015年3月 | -113.04円 | 3年平均:-39.5円 |
2016年3月 | 119.4円 | |
2017年3月 | 58.07円 | |
2018年3月 | 388.32円 | |
2019年3月 | 723.41円 | |
2020年3月 | 471.64円 | |
2021年3月 | 836.75円 | |
2022年3月 | 711.84円 | 3年平均:787.4円 |
2023年3月 | 813.53円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2015年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 25円/株 | 0.7% |
2011年3月 | 25円/株 | 0.94% |
2012年3月 | 25円/株 | 1.47% |
2013年3月 | 25円/株 | 1.52% |
2014年3月 | 25円/株 | 1.27% |
2015年3月 | 0円/株 | 0% |
2016年3月 | 20円/株 | 0.53% |
2017年3月 | 20円/株 | 0.53% |
2018年3月 | 27.5円/株 | 0.75% |
2019年3月 | 35円/株 | 0.7% |
2020年3月 | 45円/株 | 0.47% |
2021年3月 | 55円/株 | 0.47% |
2022年3月 | 65円/株 | 0.51% |
2023年3月 | 75円/株 | 0.63% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは18.80倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.32倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も43.62で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高10兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2014年,2015年赤字 |
④収益成長性 | 〇 | +∞% |
⑤配当 | × | 2015年無配 |
⑥株価収益率 | △ | 18.80倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.32倍 |
財務状況と収益安定性、配当、株価収益率/純資産倍率の5項目で基準未達となり、
ソニーグループ(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、赤字と無配があり、株価も高いですからね、これは厳しいです。
クリエイティビティにコミットし、クリエイターとともに創る「感動」を世界に広げることに貢献する。
現在のソニーにとって、厳しい事業環境にあるのがイメージセンサを中心とする「イメージング&センシング・ソリューション」分野。コロナ禍での需要減退に加え、中国リスクの影響などによってハイエンドスマホ向けのセンサ出荷が減り、事業を直撃しています。
2022年以降はスマホメーカーがセンサの大型化や高画質化に注力する傾向が顕著とのことで、成長を期待しているとのこと。「世界最高峰のイメージセンサ企業」として、差別化を加速したいソニーにとって、今後どのような戦略をとっていくのかに注目です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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