
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるシャープ(株)【6753】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったシャープ(株)【6753】 の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・シャープ(株)【6753】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしていただければ幸いです。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


シャープ(株)【6753】 の基本情報
・設立年月日 1935年5月2日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 電機大手。テレビ、液晶パネル、白物家電など展開。2016年8月、台湾・鴻海精密工業の子会社に。
・資本金 50億円
・従業員数 (単独)5,508人 (連結)49,285人
・株価 817円(2022.10.15)
・単元 100株
・決算 3月末日


シャープ株式会社は、大阪府堺市に本社を置く日本の電機メーカーで、現在は台湾の鴻海精密工業(フォックスコングループ)の子会社です。1915年に金属製繰出鉛筆(早川式繰出鉛筆)を発明し、販売開始後に商品名をエバー・レディ・シャープ・ペンシルに変えてアメリカで爆発的にヒット、現在の社名はこれに由来します。
シャープの事業は、家電製品や情報機器などの「エレクトロニクス機器」と電気製品の基幹部品を提供する「電子部品」などから成り立っています。独自技術に基づいたキーデバイスの開発とその応用商品を手がけることにより、世の中にない商品・デバイス・サービスを創出し、顧客に感動を与え、新たな市場を創造すべく積極的な事業活動を展開しています。
経営理念は「いたずらに規模のみを追わず、誠意と独自の技術をもって広く世界の文化と福祉の向上に貢献する。会社に働く人々の能力開発と生活福祉の向上に努め、会社の発展と一人一人の幸せとの一致をはかる。株主、取引先をはじめ、全ての協力者との相互繁栄を期す。」
経営信条として、「二意専心 誠意と創意 この二意に溢れる仕事こそ、人々に心からの満足と喜びをもたらし真に社会への貢献となる。誠意は人の道なり、すべての仕事にまごころを 和は力なり、共に信じて結束を 礼儀は美なり、互いに感謝と尊敬を
創意は進歩なり、常に工夫と改善を 勇気は生き甲斐の源なり、進んで取り組め困難に」
創業者の言葉である「誠意と創意」を原点として、コーポレート宣言“Be Original.“を示し、シャープらしいオリジナリティあふれる価値を創造するブランドであり続けることを世界中の顧客に約束されています。
ではここからは、シャープ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器247社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 5577億2700万円(33位) |
売上高 | 2兆4955億円(9位) |
営業利益 | 847億1600万円(21位) |
経常利益 | 1149億6400万円(18位) |
純利益 | 739億9100万円(19位) |
営業利益率 | 3.4%(192位) |
純利益率 | 3.0%(189位) |
総資産 | 2兆1616億円(15位) |
負債 | 1兆6228億円(9位) |
電気機器の中で売上高は9位、総資産は15位。利益率は低めで、純利益率は3.0%の189位。色々ありましたがやっぱり液晶のシャープ。事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆1949億7100万円
流動負債:8760億500万円
固定負債:7468億5800万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.36倍で基準未達、
②も、固定負債7468億5800万円 > 純流動資産3189億6600万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2013年,2015年,2016年,2017年に赤字が出ています。特に赤字幅の大きかった2013年は液晶パネルの在庫評価損など構造改革費用を計上したことと、業績悪化に伴い繰り延べ税金資産を取り崩したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | -5453億4700万円 |
2014年3月 | 115億5900万円 |
2015年3月 | -2223億4700万円 |
2016年3月 | -2559億7200万円 |
2017年3月 | -248億7700万円 |
2018年3月 | 702億2500万円 |
2019年3月 | 640億1200万円 |
2020年3月 | 137億2600万円 |
2021年3月 | 532億6300万円 |
2022年3月 | 739億9100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が-1956.4円、直近の3年平均が81.7円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 は計算上∞%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | -4634.85円 | |
2014年3月 | 80.89円 | 3年平均:-1956.4円 |
2015年3月 | -1315.08円 | |
2016年3月 | -1514円 | |
2017年3月 | -67.05円 | |
2018年3月 | 141.23円 | |
2019年3月 | 122.9円 | |
2020年3月 | 25.83円 | |
2021年3月 | 97.99円 | 3年平均:81.7円 |
2022年3月 | 121.14円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2013年から2017年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 170円/株 | 1.45% |
2011年3月 | 170円/株 | 2.06% |
2012年3月 | 100円/株 | 1.66% |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 0円/株 | 0% |
2015年3月 | 0円/株 | 0% |
2016年3月 | 0円/株 | 0% |
2017年3月 | 0円/株 | 0% |
2018年3月 | 10円/株 | 0.31% |
2019年3月 | 20円/株 | 1.64% |
2020年3月 | 18円/株 | 1.59% |
2021年3月 | 30円/株 | 1.57% |
2022年3月 | 40円/株 | 3.48% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.14倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.01倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も10.24も基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2兆4955億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2013年,2015~2017年赤字 |
④収益成長性 | 〇 | +∞% |
⑤配当 | × | 2013~2017年無配 |
⑥株価収益率 | 〇 | 10.14倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.01倍 |
財務状況と収益安定性、配当の3項目で基準未達となり、「シャープ(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、10年中4年が赤字、13年中5年が無配ですから、仕方なしです。
シャープはこれまで、「ブランド事業を主軸とした事業構造の構築」、「事業ビジョンの具現化」、「財務基盤の強化、社債市場への復帰」の3つに重点的に取り組み、安定的に利益を創出できる基盤を構築してきています。今後は、こうした取り組みをベースとしつつ、“ESGに重点を置いた経営”、具体的には、「健康関連事業のさらなる強化」、「カーボンニュートラルへの貢献」、「人(HITO)を活かす経営」、「真のグローバル企業へ」の4つに重点的に取り組むことで、当社グループの社会的価値の向上、ブランド力の向上を図り、持続的成長を実現していくとのこと。
さらに2022年6月には、大型液晶パネルを生産する堺ディスプレイプロダクトを完全子会社化し、テレビ事業及び業務用ディスプレイ事業における高品位パネルの安定調達や、ディスプレイデバイス事業のアプリケーションの拡大、生産能力の向上、将来の競争力強化を狙うとのこと。今後に期待ですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
の7社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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