こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)キーエンス【6861】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったキーエンスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・キーエンスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)キーエンス【6861】 の基本情報
・設立年月日 1974年5月27日
・上場年月日 1987年10月29日
・業種 電気機器
・特色 FAセンサなど検出・計測制御機器大手。生産は国内工場軸に外注。持分にジャストシステム。
・資本金 306億円
・従業員数 (単独)2,788人 (連結)10,580人
・株価 60,130円(2024.1.7)
・単元 100株
・決算 3月20日
ファクトリー・オートメーション(FA)の総合メーカーで、自動車や半導体、電子・電気機器、通信、機械、科学、薬品、食品など業界に捉われることなく事業を展開し、現在の取引先は全世界で30万社以上。「ものづくり」に携わるすべての企業に向け、生産性や品質の向上につながるソリューションをご提案しています。
1974年の会社設立以来、付加価値の創造こそが企業の存在意義であり、付加価値の創造によって社会に貢献するという考えのもと、今まで世の中になかった商品の提供を通じて、お客様の課題を解決すること、新しい価値を生み出し続けることにこだわり続けています。
私も仕事でよくお世話になってます。ニーズの発掘力とソリューション提供力といった営業・技術力は本当にすごいと思います。
最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる
付加価値の創造こそが企業の存在意義であり、また、そのことによって社会へ貢献するという考えのもと、「付加価値の高い商品を創造し続けること」と「海外での販売比率を高めること」を優先度の高い経営課題と位置づけ、ビジネスモデルであるダイレクトセールス体制を世界で展開し、さらなるニーズの発掘と売り上げ拡大を目指されています。
ではここからは、(株)キーエンスに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 14兆5830億円(2位) |
売上高 | 9224億2200万円(22位) |
純利益 | 3629億6300万円(4位) |
純利益率 | 39.3%(1位) |
総資産 | 2兆8013億円(12位) |
電気機器の中で売上高は22位、総資産は12位。利益率は驚異の高さで、純利益率は39.3%で1位。世界のグローバル企業の中でも有数の優良企業として高く評価されている一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆3360億円
流動負債:1492億6100万円
固定負債:95億3300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 8.95倍で基準達成、
②は、固定負債95億円 < 純流動資産1兆1867億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も極めて低く、問題ありません。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、全く問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 859億400万円 |
2015年3月 | 1210億6300万円 |
2016年3月 | 1371億6600万円 |
2017年3月 | 1531億5500万円 |
2018年3月 | 2105億9500万円 |
2019年3月 | 2261億4700万円 |
2020年3月 | 1981億2400万円 |
2021年3月 | 1972億8900万円 |
2022年3月 | 3033億6000万円 |
2023年3月 | 3629億6300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +176.3%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 354.14円 | |
2015年3月 | 499.1円 | 3年平均:429.6円 |
2016年3月 | 435.55円 | |
2017年3月 | 497.55円 | |
2018年3月 | 868.33円 | |
2019年3月 | 932.45円 | |
2020年3月 | 816.91円 | |
2021年3月 | 813.47円 | |
2022年3月 | 1250.83円 | 3年平均:1187.0円 |
2023年3月 | 1496.59円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 13.64円/株 | 0.28% |
2011年3月 | 13.64円/株 | 0.29% |
2012年3月 | 15円/株 | 0.31% |
2013年3月 | 15円/株 | 0.24% |
2014年3月 | 15円/株 | 0.16% |
2015年3月 | 50円/株 | 0.29% |
2016年3月 | 50円/株 | 0.33% |
2017年3月 | 50円/株 | 0.24% |
2018年3月 | 50円/株 | 0.16% |
2019年3月 | 100円/株 | 0.29% |
2020年3月 | 150円/株 | 0.48% |
2021年3月 | 200円/株 | 0.38% |
2022年3月 | 200円/株 | 0.36% |
2023年3月 | 300円/株 | 0.5% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは40.18倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは5.51倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も221.39で基準未達です。これは株価が高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高9224億円 |
②財務状況 | ◎ | 文句なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +176.3% |
⑤配当 | 〇 | 利回り0.5% |
⑥株価収益率 | × | 40.18倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 5.51倍 |
株価収益率と株価純資産倍率の2項目で基準未達となり、
(株)キーエンスは割安株に該当しません!
という結果となりました。
財務状況はすばらしくきれいで成長もしっかり、さすが世界の優良企業です。ただその分株価は上がりきってますからね。仕方なしです。
「会社を永続させる」、「最小の資本と人で最大の付加価値を上げる」という考えのもと、「付加価値の創造」と「事業効率」を追求し、社会における役割を的確に把握し、世の中の役に立つ付加価値の高い商品を生み出すことことにより、持続的な成長と高い収益性の実現を常に目指していく。
キーエンスが得意とするファクトリーオートメーションの市場は、中長期的にはさまざまな技術革新に加え、自動化、品質の向上、研究開発投資などの需要拡大が期待されます。これらの変化や需要を的確に捉え、持続的な成長を続けるためには、人材の育成に加え「企画開発力の強化」「海外事業の拡大」が不可欠だと認識されており、今後M&Aも含めて新たな付加価値の創出とグローバル連携体制の構築に取り組まれるとのこと。まだまだ成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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