こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるオリンパス(株)【7733】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったオリンパスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・オリンパスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
オリンパス(株)【7733】 の基本情報
・設立年月日 1919年10月12日
・上場年月日 1949年5月16日
・業種 精密機器
・特色 世界シェア7割の消化器内視鏡など医療分野に集中。デジカメに続き、祖業の顕微鏡も売却へ。
・資本金 1,246億円
・従業員数 (単独)2,693人 (連結)28,712人
・株価 2,191円(2024.3.4)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本の光学機器・電子機器メーカーで、医療事業・科学事業の分野で、内視鏡、顕微鏡などの光学機器、電子機器を製造・販売しています。
カメラメーカーのイメージですけど、カメラ事業は慢性的な赤字であったため、2020年をもって事業撤退し、医療事業に経営資源を集中しています。現在では、内視鏡分野では世界シェアが75%程度を占めるなど、医療用の光学機器や顕微鏡分野では世界最大手となっています。
内視鏡事業で強い企業事業基盤を持ち、内視鏡医師の育成も支援するなど、医師と強いコネクションを築いています。医師の立場からすれば、せっかく使うなら使い慣れた機器を、と思っちゃいますよね。
世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現
「医療の発展に貢献し、すべてのステークホルダーから品質とイノベーションで評価される企業へと成長し続けること」をオリンパスの誇りとし、「何を成すか」だけではなく、「いかにして成すか」にもこだわることを宣言されています。
ではここからは、オリンパス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
精密機器48社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆5929億円(3位) |
売上高 | 8819億2300万円(1位) |
純利益 | 1434億3200万円(2位) |
純利益率 | 16.3%(6位) |
総資産 | 1兆4680億円(2位) |
精密機器の中で売上高は1位、総資産は2位。利益率も高く、純利益率は16.3%の6位、医療用の光学機器や顕微鏡分野では世界最大手です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:7263億5700万円
流動負債:4618億9200万円
固定負債:4055億7500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.57倍で基準未達、
②は、固定負債4055億円 > 純流動資産2644億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2015年に赤字がありますね。米国の医療事業関連活動を巡って約539億円を特別損失を計上したとのこと。基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 136億2700万円 |
2015年3月 | -87億3700万円 |
2016年3月 | 625億9400万円 |
2017年3月 | 427億8300万円 |
2018年3月 | 570億6400万円 |
2019年3月 | 81億4700万円 |
2020年3月 | 516億7000万円 |
2021年3月 | 129億1800万円 |
2022年3月 | 1157億4200万円 |
2023年3月 | 1434億3200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +330.4%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 10.26円 | |
2015年3月 | -6.38円 | 3年平均:16.5円 |
2016年3月 | 45.72円 | |
2017年3月 | 31.25円 | |
2018年3月 | 41.71円 | |
2019年3月 | 5.97円 | |
2020年3月 | 39.37円 | |
2021年3月 | 10.05円 | |
2022年3月 | 90.22円 | 3年平均:71.2円 |
2023年3月 | 113.22円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2012年から2014年の3年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 7.5円/株 | 1% |
2011年3月 | 7.5円/株 | 1.3% |
2012年3月 | 0円/株 | 0% |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 0円/株 | 0% |
2015年3月 | 2.5円/株 | 0.22% |
2016年3月 | 4.25円/株 | 0.39% |
2017年3月 | 7円/株 | 0.65% |
2018年3月 | 7円/株 | 0.69% |
2019年3月 | 7.5円/株 | 0.62% |
2020年3月 | 10円/株 | 0.64% |
2021年3月 | 12円/株 | 0.52% |
2022年3月 | 14円/株 | 0.6% |
2023年3月 | 16円/株 | 0.69% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.67倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは3.46倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も36.92で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高8819億円 |
②財務状況 | × | 流動/固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2015年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +330.4% |
⑤配当 | × | 2012年~2014年無配 |
⑥株価収益率 | 〇 | 10.67倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 3.46倍 |
財務状況と収益安定性、配当、株価純資産倍率の4項目で基準未達となり、
オリンパス(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
負債が多く、赤字あり、複数年で無配あり、PBRが高いということであれば仕方なしですね。
「Shift to Grow」という新たなステージにおいて、成長と収益性の両面に注力することを念頭に、主要セグメントにおける当社の市場ポジションの拡大や、最終的に患者様の体験価値と治療成果の改善を目指す。
「患者様の安全と持続可能性」、「成長のためのイノベーション」、「生産性の向上」の3つを優先すべき事項として掲げ、内視鏡事業と治療機器事業における圧倒的ポジションを強化するとともに、さらなる成長が見込まれるこれら事業に積極的に経営資源を投入していくとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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