こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるキヤノン(株)【7751】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったキヤノンの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・キヤノンは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
キヤノン(株)【7751】 の基本情報
・設立年月日 1937年8月10日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 カメラ、複合機の最大手。ミラーレスカメラ注力。半導体露光装置、監視カメラ、医療機器も展開。
・資本金 1,747億円
・従業員数 (単独)-人 (連結)169,370人
・株価 4,598円(2024.3.10)
・単元 100株
・決算 12月末日
カメラ・ビデオをはじめとする映像機器、プリンタ、複写機をはじめとする事務機器、デジタルマルチメディア機器や半導体・ディスプレイ製造装置(露光装置、蒸着装置)などを製造する日本の大手精密機器メーカーです。
主な事業内容として、オフィスビジネスユニット(オフィス向け複合機、レーザープリンターなど)、イメージングシステムビジネスユニット(デジカメ、レンズ、インクジェットプリンターなど)、産業機器その他ビジネスユニット(半導体露光装置、医療画像記録機器など)を展開しています。2016年12月には医療用機器を手がける東芝メディカルシステムズを子会社化し、医療機器市場にも本格参入しています。
米欧などの海外売上高比率がきわめて高く、日本企業中の米国特許取得件数ランキングでは11年連続1位を獲得しています。
共生
文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会を目指し、ベンチャー企業として始まった進取の気性と技術による差別化を目指す姿勢のもと、「自発・自治・自覚」の「三自の精神」を行動指針の原点として、常に社会に新しい提案をされています。
ではここからは、キヤノン(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器241社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4兆5418億円(10位) |
売上高 | 4兆1809億円(5位) |
純利益 | 2645億1300万円(7位) |
純利益率 | 6.3%(39位) |
総資産 | 5兆4165億円(5位) |
電気機器の中で売上高、総資産とも5位。利益率もまずまず高く、純利益率は6.3%の39位、オフィス複合機、レンズ交換式カメラ、レーザープリンター、FPD露光装置は世界シェアNo.1です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:6655億5700万円
流動負債:1兆5350億円
固定負債:380億4500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.43倍で基準未達、
②は、固定負債380億円 > 純流動資産-8694億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年12月 | 2547億9700万円 |
2015年12月 | 2202億900万円 |
2016年12月 | 1503億3400万円 |
2017年12月 | 2420億8100万円 |
2018年12月 | 2524億4100万円 |
2019年12月 | 1249億6400万円 |
2020年12月 | 833億1800万円 |
2021年12月 | 2147億1900万円 |
2022年12月 | 2439億6100万円 |
2023年12月 | 2645億1300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +24.3%となり、惜しくも基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年12月 | 229.03円 | |
2015年12月 | 201.65円 | 3年平均:189.5円 |
2016年12月 | 137.66円 | |
2017年12月 | 223.03円 | |
2018年12月 | 233.8円 | |
2019年12月 | 116.79円 | |
2020年12月 | 79.37円 | |
2021年12月 | 205.35円 | |
2022年12月 | 236.71円 | 3年平均:235.4円 |
2023年12月 | 264.2円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 110円/株 | 2.81% |
2010年12月 | 120円/株 | 2.85% |
2011年12月 | 120円/株 | 3.52% |
2012年12月 | 130円/株 | 3.89% |
2013年12月 | 130円/株 | 3.9% |
2014年12月 | 150円/株 | 3.91% |
2015年12月 | 150円/株 | 4.08% |
2016年12月 | 150円/株 | 4.55% |
2017年12月 | 160円/株 | 3.81% |
2018年12月 | 160円/株 | 5.33% |
2019年12月 | 160円/株 | 5.36% |
2020年12月 | 80円/株 | 4.04% |
2021年12月 | 100円/株 | 3.57% |
2022年12月 | 120円/株 | 4.2% |
2023年12月 | 140円/株 | 3.87% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは14.89倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.35倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも20.10で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高4.2兆円 |
②財務状況 | × | 流動/固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +24.3% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.87% |
⑥株価収益率 | 〇 | 14.89倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.35倍 |
財務状況と収益成長性の2項目が基準未達となり、
キヤノン(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
赤字もなく配当もしっかり出てるんですが、負債が多いことと、成長性が今一つ、残念ながら仕方なしですね。
「生産性向上と新事業創出によるポートフォリオの転換を促進する」を基本方針に、テクノロジーとイノベーションによって新たな価値を生み出し、コンシューマーの分野ではより豊かな生活を、オフィスやインダストリーの分野ではより快適なビジネス環境を、そしてソサエティの分野ではより安心・安全な社会づくりを目指す。
キヤノンでは、2021年を初年度とする新5か年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅥ」を進められています。
このフェーズⅥでは、事業本部間・グループ会社間の垣根をなくし、プリンティング、イメージング、メディカル、インダストリアルの4つのグループによる組織としてスタートし、各分野で人材・技術の交流と情報・リソースの共有が促進されているそう。
今後は、グループの技術力と事業領域を再評価して、より競争力のある開発・生産体制を構築することで、市場の多様なニーズに応える新しい製品やソリューションを生み出すことと、更なる生産性と品質の向上を目指し、各グループで年率5~10%の成長を目指すとのこと。これは今後に期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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