
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるキヤノン(株)【7751】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったキヤノン(株)【7751】 の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・キヤノン(株)【7751】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


キヤノン(株)【7751】 の基本情報
・設立年月日 1937年8月10日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 カメラ、複合機の最大手。ミラーレスカメラ注力。半導体露光装置、監視カメラ、医療機器も展開。
・資本金 1,747億円
・従業員数 (単独)-人 (連結)181,434人
・株価 3,079円(2022.12.16)
・単元 100株
・決算 12月末日


キヤノンは、カメラ・ビデオをはじめとする映像機器、プリンタ、複写機をはじめとする事務機器、デジタルマルチメディア機器や半導体・ディスプレイ製造装置(露光装置、蒸着装置)などを製造する日本の大手精密機器メーカーです。
主な事業内容として、オフィスビジネスユニット(オフィス向け複合機、レーザープリンターなど)、イメージングシステムビジネスユニット(デジカメ、レンズ、インクジェットプリンターなど)、産業機器その他ビジネスユニット(半導体露光装置、医療画像記録機器など)を展開しています。2016年12月には医療用機器を手がける東芝メディカルシステムズを子会社化し、医療機器市場にも本格参入しています。
米欧などの海外売上高比率がきわめて高いことから、海外での特許出願を重視しており、市場規模も大きい米国での出願に注力、米国特許取得件数における日本企業中のキヤノンのランキングは11年連続1位を獲得しています。
企業理念は「共生」。文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会を目指されています。
ベンチャー企業として始まった進取の気性と技術による差別化を目指す姿勢のもと、「自発・自治・自覚」の「三自の精神」を行動指針の原点として、常に社会に新しい提案をされています。
ではここからは、キヤノン(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3兆2151億円(9位) |
売上高 | 3兆5133億円(6位) |
営業利益 | 2819億1800万円(6位) |
経常利益 | 3027億600万円(7位) |
純利益 | 2147億1800万円(7位) |
営業利益率 | 8.0%(50位) |
純利益率 | 6.1%(53位) |
総資産 | 5兆3011億円(4位) |
負債 | 1兆9469億円(6位) |
電気機器の中で売上高は6位、総資産は4位。利益率もまずまず高く、純利益率は6.1%の53位、オフィス複合機、レンズ交換式カメラ、レーザープリンター、FPD露光装置は世界シェアNo.1、もちろん事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2021年12月期の決算短信によると、
流動資産:5471億9400万円
流動負債:1兆2475億円
固定負債:2040億8200万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.44倍で基準未達、
②も、固定負債2040億8200万円 > 純流動資産-7003億600万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2012年12月 | 2245億6400万円 |
2013年12月 | 2304億8300万円 |
2014年12月 | 2547億9700万円 |
2015年12月 | 2202億900万円 |
2016年12月 | 1503億3400万円 |
2017年12月 | 2420億8100万円 |
2018年12月 | 2524億4100万円 |
2019年12月 | 1249億6400万円 |
2020年12月 | 833億1800万円 |
2021年12月 | 2147億1900万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が199.4円、直近の3年平均が133.8円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -32.9%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2012年12月 | 168.37円 | |
2013年12月 | 200.78円 | 3年平均:199.4円 |
2014年12月 | 229.03円 | |
2015年12月 | 201.65円 | |
2016年12月 | 137.66円 | |
2017年12月 | 223.03円 | |
2018年12月 | 233.8円 | |
2019年12月 | 116.79円 | |
2020年12月 | 79.37円 | 3年平均:133.8円 |
2021年12月 | 205.35円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 110円/株 | 2.81% |
2010年12月 | 120円/株 | 2.85% |
2011年12月 | 120円/株 | 3.52% |
2012年12月 | 130円/株 | 3.89% |
2013年12月 | 130円/株 | 3.9% |
2014年12月 | 150円/株 | 3.91% |
2015年12月 | 150円/株 | 4.08% |
2016年12月 | 150円/株 | 4.55% |
2017年12月 | 160円/株 | 3.81% |
2018年12月 | 160円/株 | 5.33% |
2019年12月 | 160円/株 | 5.36% |
2020年12月 | 80円/株 | 4.04% |
2021年12月 | 100円/株 | 3.57% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは12.75倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.00倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも12.75で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高3兆5133億円 |
②財務状況 | × | 流動/固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 問題なし |
④収益成長性 | × | -32.9% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.57% |
⑥株価収益率 | 〇 | 12.75倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.00倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、「キヤノン(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。赤字もなく配当もしっかり出てるんですが、負債が多いことと、成長性が今一つ、残念ながら仕方なしですね。
キヤノンでは、2021年を初年度とする新5か年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅥ」を進められています。
このフェーズⅥでは、事業本部間・グループ会社間の垣根をなくし、プリンティング、イメージング、メディカル、インダストリアルの4つのグループによる組織としてスタートし、各分野で人材・技術の交流と情報・リソースの共有が促進されているそう。
今後は、グループの技術力と事業領域を再評価して、より競争力のある開発・生産体制を構築することで、市場の多様なニーズに応える新しい製品やソリューションを生み出すことと、更なる生産性と品質の向上を目指し、各グループで年率5~10%の成長を目指すとのこと。これは今後に期待できそうですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
・太陽誘電【6976】
・日東電工【6988】
・ヤマハ発動機【7272】
の10社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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