こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)リコー【7752】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったリコーの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・リコーは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)リコー【7752】 の基本情報
・設立年月日 1936年2月6日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 事務機国内首位級。複合機や商用印刷機のほか、ITサービスに注力。大規模な構造改革は一巡。
・資本金 1,353億円
・従業員数 (単独)-人 (連結)81,065人
・株価 1,251.5円(2024.3.12)
・単元 100株
・決算 3月末日
事務機器、光学機器などを製造するメーカーで、主な製品は複写機、ファクシミリ、レーザープリンターやそれらの複合機、カメラ(デジタルカメラなど)です。
複写機用感光紙製造事業から出発し、戦前からカメラを製造していた老舗カメラメーカーですが、1955年に事務機器分野へ進出して以降、カメラなど光学機器分野と複写機など事務機器分野の2本柱を中心に事業を展開しています。
グローバルな販売・サービス網と多彩なエッジデバイスを武器に、人とデジタルの力で、はたらく人やはたらく場をつなぎ、お客様の“はたらく”を変革を加速することを強みとしています。
”はたらく”に歓びを
創業の精神である、「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」という三愛精神のもと、“はたらく”に寄り添い変革を起こしつづけることで、人ならではの創造力の発揮を支え、持続可能な未来の社会をつくることを目指されています。
ではここからは、(株)リコーに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器241社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7622億9500万円(31位) |
売上高 | 2兆1341億円(12位) |
純利益 | 543億6700万円(21位) |
純利益率 | 2.5%(75位) |
総資産 | 2兆2077億円(15位) |
電気機器の中で売上高は12位、総資産は15位。利益率は低めで、純利益率は2.5%の75位。事務機で国内首位級の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆1752億円
流動負債:8291億1400万円
固定負債:3627億6000万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.42倍で基準未達、
②は、固定負債3627億円 > 純流動資産3461億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2018年と2021年に赤字があります。2021年は新型コロナの影響で出社率が低下したことを背景に、オフィス向けの複合機や消耗品の販売が減少したことや、商業用印刷事業で損失を計上したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 728億1800万円 |
2015年3月 | 685億6200万円 |
2016年3月 | 629億7500万円 |
2017年3月 | 34億8900万円 |
2018年3月 | -1353億7200万円 |
2019年3月 | 495億2600万円 |
2020年3月 | 395億4600万円 |
2021年3月 | -327億3000万円 |
2022年3月 | 303億7100万円 |
2023年3月 | 543億6700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -68.7%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 100.44円 | |
2015年3月 | 94.58円 | 3年平均:94.0円 |
2016年3月 | 86.87円 | |
2017年3月 | 4.81円 | |
2018年3月 | -186.75円 | |
2019年3月 | 68.32円 | |
2020年3月 | 54.58円 | |
2021年3月 | -45.2円 | |
2022年3月 | 45.35円 | 3年平均:29.4円 |
2023年3月 | 88.13円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 33円/株 | 2.26% |
2011年3月 | 33円/株 | 3.38% |
2012年3月 | 25円/株 | 3.11% |
2013年3月 | 29円/株 | 2.89% |
2014年3月 | 33円/株 | 2.77% |
2015年3月 | 34円/株 | 2.6% |
2016年3月 | 35円/株 | 3.05% |
2017年3月 | 35円/株 | 3.82% |
2018年3月 | 15円/株 | 1.43% |
2019年3月 | 23円/株 | 1.99% |
2020年3月 | 26円/株 | 3.27% |
2021年3月 | 15円/株 | 1.33% |
2022年3月 | 26円/株 | 2.45% |
2023年3月 | 34円/株 | 3.43% |
なお、株主優待は3月末と9月末の権利確定でカメラ等、自社製品の優待販売があります。また、100株以上保有なら抽選で株主向けオンライン事業見学会に参加することができます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは17.32倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.77倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも13.34で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2.1兆億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2018年と2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -68.7% |
⑤配当 | 〇 | 利回り3.43%+優待あり |
⑥株価収益率 | △ | 17.32倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.77倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、株価収益率の4項目が基準未達となり、
(株)リコーは割安株に該当しません!
という結果となりました。
負債が多く、複数年で赤字あり、成長性もマイナスであれば仕方なしですね。
デジタルサービスを提供するワークプレイスについて、複合機の販売を中心としたオフィス領域から現場・社会へと拡大すると同時に、それぞれのワークプレイス(オフィス・現場・社会)におけるお客様価値を拡げ、デジタルサービスの会社への変革を進める。
特に課題である財務改善に向けて、これまでのオフィスプリンティング事業への依存から脱皮し、グローバルヘッドクォーターによる厳正な事業ポートフォリオ管理のもとで、デジタルサービスの会社への変革を加速するとのこと。現状を打破し、成長に向けた大きな一歩を踏み出そうとされてます。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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