
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるシチズン時計(株)【7762】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったシチズン時計(株)【7762】 の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・シチズン時計(株)【7762】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


シチズン時計(株)【7762】 の基本情報
・設立年月日 1930年5月28日
・上場年月日 1949年5月
・業種 精密機器
・特色 腕時計大手で電波時計に強い。16年に高価格「フレデリックコンスタント」買収。産業機械も。
・資本金 326億円
・従業員数 (単独)798人 (連結)12,509人
・株価 586円(2022.12.19)
・単元 100株
・決算 3月末日


シチズン時計は、日本の精密・電子機器の製造会社であり、シチズングループの中核を成す企業です。
「シチズン」ブランドの時計で知られるほか、工作機械の分野でもスイス式自動旋盤を中心とする「シンコム」ブランドで有名です。かつては腕時計のムーブメントの生産量世界第1位を誇った国内最大手で、世界シェアの3割以上を持っています。
現在のシチズングループの時計製品はクオーツ式が主流で、主にチタン外装や表面硬化技術(デュラテクト)、太陽光発電(エコ・ドライブ)・電波修正などの最新の技術を駆使した機能を備える実用的な製品を開発、販売しています。
企業理念は「市民に愛され市民に貢献する」。
「市民に愛され親しまれるものづくり」を通じて、世界の人々の暮らしに広く貢献することを目指されています。
ではここからは、シチズン時計(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
精密機器48社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1695億7500万円(12位) |
売上高 | 2814億1700万円(7位) |
営業利益 | 222億7300万円(7位) |
経常利益 | 273億4200万円(8位) |
純利益 | 221億4000万円(6位) |
営業利益率 | 7.9%(23位) |
純利益率 | 7.9%(20位) |
総資産 | 4157億8800万円(7位) |
負債 | 1544億8300万円(9位) |
精密機器の中で売上高、総資産とも7位。利益率もまずまずで、純利益率は7.9%の20位、時計のムーブメントでは国内首位かつ世界3位、事業規模は十分です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信によると、
流動資産:2701億3900万円
流動負債:693億3800万円
固定負債:869億5100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 3.90倍で基準達成、
②は、固定負債869億5100万円 < 純流動資産2008億100万円 で基準達成となり、
よって、流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、問題ありません。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2013年と2020年、2021年に赤字があります。直近の2021年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で主力の時計販売が落ち込んだほか、連結子会社の希望退職に伴う費用も重荷になったとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | -88億5500万円 |
2014年3月 | 174億3400万円 |
2015年3月 | 175億7200万円 |
2016年3月 | 132億100万円 |
2017年3月 | 165億7300万円 |
2018年3月 | 193億300万円 |
2019年3月 | 133億6900万円 |
2020年3月 | -166億6700万円 |
2021年3月 | -251億7300万円 |
2022年3月 | 221億4000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が27.1円、直近の3年平均が-20.7円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -176.6%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | -26.8円 | |
2014年3月 | 53.81円 | 3年平均:27.1円 |
2015年3月 | 54.24円 | |
2016年3月 | 41.32円 | |
2017年3月 | 52.07円 | |
2018年3月 | 60.65円 | |
2019年3月 | 42円 | |
2020年3月 | -53.07円 | |
2021年3月 | -80.52円 | 3年平均:-20.7円 |
2022年3月 | 71.38円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 7円/株 | 1.1% |
2011年3月 | 7円/株 | 1.46% |
2012年3月 | 8円/株 | 1.53% |
2013年3月 | 8円/株 | 1.62% |
2014年3月 | 13円/株 | 1.67% |
2015年3月 | 16円/株 | 1.74% |
2016年3月 | 17円/株 | 2.66% |
2017年3月 | 17円/株 | 2.38% |
2018年3月 | 22円/株 | 2.88% |
2019年3月 | 20円/株 | 3.24% |
2020年3月 | 12円/株 | 3.13% |
2021年3月 | 5円/株 | 1.32% |
2022年3月 | 18円/株 | 3.45% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.59倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.68倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも5.84で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高2814億円 |
②財務状況 | ◎ | 問題なし |
③収益安定性 | × | 2013年と2020年、2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -176.6% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.45% |
⑥株価収益率 | ◎ | 8.59倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.68倍 |
収益安定性/成長性の2項目で基準未達となり、「シチズン時計(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。複数年で赤字あり、成長性もマイナスであれば仕方なしですね。
シチズン時計では、時計事業と工作機械事業を、グループ成長を牽引するコア事業と位置付け、経営資源を戦略的に投資していくことで更なる成長を目指すとのこと。
特に、安定的な需要が見込まれる機械式時計市場において、シチズン機械式時計の成長に向け、機械式ムーブメントを搭載した最上位ブランド「The CITIZEN」と、モダンでスポーティなデザインが特徴のブランド「Series 8」の取り組みを強化するそう。ムーブメント事業についても、更なる製造の自動化、合理化の推進と付加価値化を進めながら収益性の強化を図るとのこと。今後に期待したいものです。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
・太陽誘電【6976】
・日東電工【6988】
・ヤマハ発動機【7272】
の10社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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