こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである大日本印刷(株)【7912】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った大日本印刷の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・大日本印刷は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
大日本印刷(株)【7912】 の基本情報
・設立年月日 1894年1月19日
・上場年月日 1949年5月
・業種 その他製品
・特色 印刷業界2強。印刷技術応用した電子部材や包装材を生産、デジタル販促や情報事業など多角化。
・資本金 1,144億円
・従業員数 (単独)9,632人 (連結)37,070人
・株価 4,671円(2024.3.31)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本の総合印刷会社で、主な事業内容は、書籍・辞典・辞書などの印刷、出版・電子出版、機能性フィルムの製造販売、ディスプレイ用フォトマスクの製造販売、エッチング製品の製造販売など。
1876年(明治9年)の創業以来の印刷技術と情報技術を強みとして、1950年代より他分野進出「拡印刷」事業を展開し、建材分野へ進出したのに始まって、情報産業や生活産業のほか、ディスプレイや電子デバイスなどのエレクトロニクス分野にも進出し、世界トップシェアを獲得している製品もあります。最近では、環境、エネルギー、ライフサイエンス分野にも事業を拡大しています。
TOPPANホールディングスと双璧をなす、国内印刷業界の2強の一角であり、印刷と情報の様々な技術を掛け合わせることを強みとしています。
人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。
持続可能なより良い社会、より快適な暮らしを実現していく「志」を抱き、その思いを「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントに込めています。
独自の「P&I」の強みを掛け合わせ、国内外のパートナーとともに、未来を今よりも良いものにしていく「挑戦」を続けて、人々の身近に“あたりまえ”に存在する欠かせない価値を提供することを目指されています。
ではここからは、大日本印刷(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
その他製品107社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆1421億円(5位) |
売上高 | 1兆3732億円(3位) |
純利益 | 856億9200万円(3位) |
純利益率 | 6.2%(30位) |
総資産 | 1兆8879億円(3位) |
その他製品の中で売上高、総資産とも3位。利益率もまずまず高く、純利益率は6.2%の30位、印刷業界の2強の一角です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:8029億9500万円
流動負債:3985億7100万円
固定負債:2835億6700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.01倍で基準達成、
②は、固定負債2835億円 < 純流動資産4044億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、財務状況はきれいですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2019年に赤字があります。過去に製造した壁紙製品の一部に不具合が生じ、補修対策費用として750億円を追加計上したことと、収益性が低下した事業の固定資産について減損損失も計上したためとのこと。基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 256億4100万円 |
2015年3月 | 269億2300万円 |
2016年3月 | 335億8700万円 |
2017年3月 | 252億2600万円 |
2018年3月 | 275億100万円 |
2019年3月 | -356億6800万円 |
2020年3月 | 694億9700万円 |
2021年3月 | 250億8800万円 |
2022年3月 | 971億8200万円 |
2023年3月 | 856億9200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +184.4%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 79.64円 | |
2015年3月 | 83.63円 | 3年平均:89.8円 |
2016年3月 | 106.19円 | |
2017年3月 | 81.57円 | |
2018年3月 | 90.77円 | |
2019年3月 | -118.22円 | |
2020年3月 | 235.18円 | |
2021年3月 | 89.32円 | |
2022年3月 | 355.84円 | 3年平均:255.5円 |
2023年3月 | 321.31円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 64円/株 | 2.53% |
2011年3月 | 64円/株 | 3.16% |
2012年3月 | 64円/株 | 3.78% |
2013年3月 | 64円/株 | 3.61% |
2014年3月 | 64円/株 | 3.24% |
2015年3月 | 64円/株 | 2.74% |
2016年3月 | 64円/株 | 3.2% |
2017年3月 | 64円/株 | 2.67% |
2018年3月 | 64円/株 | 2.91% |
2019年3月 | 64円/株 | 2.42% |
2020年3月 | 64円/株 | 2.78% |
2021年3月 | 64円/株 | 2.76% |
2022年3月 | 64円/株 | 2.22% |
2023年3月 | 64円/株 | 1.73% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.44倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.03倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも13.84で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.4兆円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | △ | 2019年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +184.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.73% |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.44倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.03倍 |
収益安定性のみが基準未達となり、
大日本印刷(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
財務状況がきれいで収益成長性も高く、配当もしっかり、株価も低いのですが、2019年の赤字だけが残念ですね。惜しいところでした。
「事業戦略」を中心に持続的な価値創出の具体策を実行するとともに、それを支える経営資本の強化に向けて「財務戦略」と「非財務戦略」を推進し、事業価値・株主価値を高めていく。
特に「事業戦略」では、コンテンツ・XRコミュニケーション関連、メディカル・ヘルスケア関連を「注力事業領域」と位置付け、集中的にリソース(経営資源)を投入し、利益の創出を一層加速・拡大させていくとのこと。
コンテンツ・XRコミュニケーション関連では、リアルとバーチャルの空間をシームレスかつセキュアに行き来できる世界を実現し、人々の体験価値を拡大していくそう。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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