
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである大日本印刷(株)【7912】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った大日本印刷(株)【7912】 の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・大日本印刷(株)【7912】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


大日本印刷(株)【7912】 の基本情報
・設立年月日 1894年1月19日
・上場年月日 1949年5月
・業種 その他製品
・特色 印刷業界2強。印刷技術応用した電子部材や包装材を生産、デジタル販促や情報事業など多角化。
・資本金 1,144億円
・従業員数 (単独)10,112人 (連結)36,848人
・株価 2,658円(2022.12.25)
・単元 100株
・決算 3月末日


大日本印刷は、日本の総合印刷会社で国内印刷業界2強の一角です。
主な事業内容は、書籍・辞典・辞書などの印刷、出版・電子出版、機能性フィルムの製造販売、ディスプレイ用フォトマスクの製造販売、エッチング製品の製造販売など。1876年(明治9年)の創業以来の印刷技術と情報技術を強みとして、1950年代より他分野進出「拡印刷」事業を展開し、建材分野へ進出したのに始まって、情報産業や生活産業のほか、ディスプレイや電子デバイスなどのエレクトロニクス分野にも進出し、世界トップシェアを獲得している製品もあります。最近では、環境、エネルギー、ライフサイエンス分野にも事業を拡大しています。
DNPは常に、持続可能なより良い社会、より快適な暮らしを実現していく「志」を抱き、その思いを「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントに込めています。
独自の「P&I」の強みを掛け合わせ、国内外のパートナーとともに、未来を今よりも良いものにしていく「挑戦」を続けて、人々の身近に“あたりまえ”に存在する欠かせない価値を提供することを目指されています。
ではここからは、大日本印刷(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
その他製品100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7342億900万円(4位) |
売上高 | 1兆3441億円(3位) |
営業利益 | 667億8800万円(4位) |
経常利益 | 812億4900万円(3位) |
純利益 | 971億8200万円(3位) |
営業利益率 | 5.0%(59位) |
純利益率 | 7.2%(29位) |
総資産 | 1兆8152億円(3位) |
負債 | 6776億100万円(2位) |
その他製品の中で売上高、総資産とも3位。利益率もまずまずで、純利益率は7.2%の29位、印刷業界の2強の一角であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信によると、
流動資産:8048億1300万円
流動負債:4961億800万円
固定負債:3221億2500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.62倍で基準未達、
②は、固定負債3221億2500万円 < 純流動資産3087億500万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2019年に赤字があります。過去に製造した壁紙製品の一部に不具合が生じ、補修対策費用として750億円を追加計上したことと、収益性が低下した事業の固定資産について減損損失も計上したためとのこと。基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 192億1700万円 |
2014年3月 | 256億4100万円 |
2015年3月 | 269億2300万円 |
2016年3月 | 335億8700万円 |
2017年3月 | 252億2600万円 |
2018年3月 | 275億100万円 |
2019年3月 | -356億6800万円 |
2020年3月 | 694億9700万円 |
2021年3月 | 250億8800万円 |
2022年3月 | 971億8200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が72.7円、直近の3年平均が226.8円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 211.9%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 54.87円 | |
2014年3月 | 79.64円 | 3年平均:72.7円 |
2015年3月 | 83.63円 | |
2016年3月 | 106.19円 | |
2017年3月 | 81.57円 | |
2018年3月 | 90.77円 | |
2019年3月 | -118.22円 | |
2020年3月 | 235.18円 | |
2021年3月 | 89.32円 | 3年平均:226.8円 |
2022年3月 | 355.84円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 64円/株 | 2.53% |
2011年3月 | 64円/株 | 3.16% |
2012年3月 | 64円/株 | 3.78% |
2013年3月 | 64円/株 | 3.61% |
2014年3月 | 64円/株 | 3.24% |
2015年3月 | 64円/株 | 2.74% |
2016年3月 | 64円/株 | 3.2% |
2017年3月 | 64円/株 | 2.67% |
2018年3月 | 64円/株 | 2.91% |
2019年3月 | 64円/株 | 2.42% |
2020年3月 | 64円/株 | 2.78% |
2021年3月 | 64円/株 | 2.76% |
2022年3月 | 64円/株 | 2.22% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.64倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.66倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも7.02で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆3441億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2019年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +211.9% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.22% |
⑥株価収益率 | 〇 | 10.64倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.66倍 |
財務状況と収益安定性の2項目で基準未達となり、「大日本印刷(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。収益成長性は高く、配当もしっかり、PERとPBRも低いのですが、負債が多いのと赤字がある点がネックですね。仕方ありません。
大日本印刷では、2023年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画において、「P&Iイノベーションによる価値の創造」と「成長を支える経営基盤の強化」の2つを基本方針として、目標の達成に努めています。
特にP&Iイノベーションに対しては、DNPだからこそ創出できる価値を設計し、収益性と市場成長性の軸でそれらの価値を適切に評価して、「IoT・次世代通信」「データ流通」「モビリティ」「環境」という「注力事業」を中心に経営資源を最適に配分することで、バランスの取れた強靭な事業ポートフォリオを構築していくとのこと。今後に期待ですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
・太陽誘電【6976】
・日東電工【6988】
・ヤマハ発動機【7272】
・凸版印刷【7911】
の11社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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