
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるヤマハ(株)【7951】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったヤマハ(株)【7951】 の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ヤマハ(株)【7951】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


ヤマハ(株)【7951】 の基本情報
・設立年月日 1897年10月12日
・上場年月日 1949年5月
・業種 その他製品
・特色 ピアノや管楽器など楽器総合。電子ピアノでは世界首位。音響機器を拡大中。M&Aに積極的。
・資本金 285億円
・従業員数 (単独)2,420人 (連結)20,057人
・株価 4,875円(2022.12.27)
・単元 100株
・決算 3月末日


ヤマハは、楽器や半導体、音響機器、スポーツ用品、自動車部品、ネットワーク機器の製造発売を手がける日本のメーカーです。
明治時代に創業して以来の事業であるピアノ製造をはじめとする伝統的な楽器事業で売上トップです。ピアノ生産量で世界シェア1位、楽器は機械的な面での質のよさから、海外においても非常に知名度のあるブランドとなっています。
他にもハーモニカやリコーダー、ピアニカといった学校教材用からエレクトリックギターやドラム、ヴァイオリン、チェロ、トランペット、サクソフォーンなど100種類以上もの楽器を生産する世界最大の総合楽器・音響メーカーです。
1960年代からエレクトーン、電子ピアノなどの電子楽器を開発・製造しており、電子的な音源を開発してMIDIなどの規格で制定企業のひとつとなるなど、高い技術力を持つっています。なお、オートバイや船外機、産業用ロボットなどを製造するヤマハ発動機は、当社の二輪部門が独立したものです。
企業理念は「感動を・ともに・創る」。音・音楽を通じて世界中の人々のこころ豊かなくらしに貢献することを目指されており、ブランドプロミスには、お客様が心震わす瞬間を表現した「Make Waves」を掲げ、人々の心に響く製品・サービスを届けていく決意を示されています。
ではここからは、ヤマハ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
その他製品100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 9166億5300万円(3位) |
売上高 | 4081億9700万円(5位) |
営業利益 | 493億2000万円(5位) |
経常利益 | 530億1000万円(5位) |
純利益 | 372億5500万円(5位) |
営業利益率 | 12.1%(19位) |
純利益率 | 9.1%(20位) |
総資産 | 5939億5000万円(5位) |
負債 | 1451億6500万円(6位) |
その他製品の中で売上高、総資産とも5位。利益率もまずまずで、純利益率は9.1%の20位、世界トップの楽器メーカーであり、事業規模は問題なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信によると、
流動資産:3626億7600万円
流動負債:1261億1400万円
固定負債:388億8400万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.88倍で基準達成、
②は、固定負債388億8400万円 < 純流動資産2365億6200万円 で基準達成となり、
よって、流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、問題ありません。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2012年に赤字がありますが、それ以降はしっかり利益を上げられています。問題ないですね。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 41億2200万円 |
2014年3月 | 228億9800万円 |
2015年3月 | 249億2900万円 |
2016年3月 | 326億3300万円 |
2017年3月 | 467億1900万円 |
2018年3月 | 543億7800万円 |
2019年3月 | 403億3700万円 |
2020年3月 | 346億2100万円 |
2021年3月 | 266億1500万円 |
2022年3月 | 372億5500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が89.3円、直近の3年平均が187.0円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 109.4%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 20.9円 | |
2014年3月 | 118.26円 | 3年平均:89.3円 |
2015年3月 | 128.75円 | |
2016年3月 | 168.9円 | |
2017年3月 | 249.17円 | |
2018年3月 | 291.81円 | |
2019年3月 | 222.12円 | |
2020年3月 | 194.71円 | |
2021年3月 | 151.39円 | 3年平均:187.0円 |
2022年3月 | 214.79円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 27.5円/株 | 2.28% |
2011年3月 | 10円/株 | 1.06% |
2012年3月 | 10円/株 | 1.17% |
2013年3月 | 10円/株 | 1.07% |
2014年3月 | 27円/株 | 2.03% |
2015年3月 | 36円/株 | 1.71% |
2016年3月 | 44円/株 | 1.3% |
2017年3月 | 52円/株 | 1.7% |
2018年3月 | 56円/株 | 1.2% |
2019年3月 | 60円/株 | 1.08% |
2020年3月 | 66円/株 | 1.57% |
2021年3月 | 66円/株 | 1.1% |
2022年3月 | 66円/株 | 1.23% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で、100~999株で1500円分、3年未満保有の1000~1999株で3000円分、3年以上保有の1000~1999株もしくは3年未満保有の2000株以上保有で5000円分、3年以上保有の2000株以上保有なら7000円分の①ヤマハリゾートのオリジナルギフト商品、②ヤマハミュージックリテイリング優待券、③自然保護団体への寄付、のうちから一つがもらえます。


100株保有なら優待利回りは約0.3%になりますね。
さらに、抽選でヤマハ関連CD・Blue-rayのプレゼントなんかもあります(2022年は抽選で120名)。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは20.40倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.87倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも38.15で基準未達です。ちょっと株価が高いですね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4081億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +109.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.23% |
⑥株価収益率 | × | 20.40倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 1.87倍 |
株価収益率と株価純資産倍率の2項目で基準未達となり、「ヤマハ(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。財務状況は問題なく、赤字もなし、収益成長性は高く、配当もしっかりしているものの、PERとPBRが高く、これはもう株価が上がりすぎてますね。仕方ありません。
ヤマハでは、2022年4月に策定した中期経営計画「Make Waves 2.0」にて、経営ビジョンに「なくてはならない、個性輝く企業」になる~ ブランド力を一段高め、高収益な企業へ ~を定め、さらなる企業価値の向上を目指されています。
肝心の株主還元についても、継続的かつ安定的な配当を基本としつつ、将来の成長投資のための適正な内部留保とのバランスを考慮しながら、資本効率の向上を目的とした機動的な株主還元も適宜、実施し、3年累計で総還元性向50%を目標とするとのこと。株価は高いですけど、株主に対して還元する姿勢がすばらしいです。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
・太陽誘電【6976】
・日東電工【6988】
・ヤマハ発動機【7272】
・凸版印刷【7911】
の11社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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