こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである任天堂(株)【7974】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った任天堂の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・任天堂は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
任天堂(株)【7974】 の基本情報
・設立年月日 1947年11月20日
・上場年月日 1962年1月
・業種 その他製品
・特色 ゲーム機ハード、ソフトで総合首位。海外シェア高い。ドル建て資産多く期末為替で経常益変動。
・資本金 100億円
・従業員数 (単独)2,777人 (連結)7,641人
・株価 7,455円(2024.4.21)
・単元 100株
・決算 3月末日
主に玩具やコンピュータゲームの開発・製造・販売を行う企業で、創業以来、多くの種類の玩具を製作しており、特に花札やトランプは創業初期から現在に至るまで製造、販売を続けています。
1970年代後期に家庭用と業務用のコンピュータゲーム機の開発を開始し、1983年発売の据え置き型ゲーム機「ファミリーコンピュータ」のゲームソフトとして1985年に発売した『スーパーマリオブラザーズ』が世界的にヒットしたことで、ゲーム機やゲームソフトを開発する会社として広く認知されるようになりました。
マリオなど、ゲームに登場するキャラクターは世界的に認知されているものが多く、近年はキャラクターIPのゲーム外での活用を進めています。
ホームエンターテインメントの分野で、健全な企業経営を維持しつつ新しい娯楽の創造を目指し、事業の展開においては、世界のユーザーへ、かつて経験したことのない楽しさ、面白さを持った娯楽を提供することを最も重視する。
常に新しい楽しさと面白さを持った商品を提供することを追求し、継続性のある健全な成長と利益の増加による企業価値の向上を目指されています。また、取扱製品が娯楽品であり、その特性から製品開発に不確定要素が多く、さらには競争の激しい業界であることから、柔軟な経営判断を行えるように特定の経営指標を目標として定めていません。
ではここからは、任天堂(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
その他製品108社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 8兆6793億円(1位) |
売上高 | 1兆6016億円(2位) |
純利益 | 4327億6800万円(1位) |
純利益率 | 27.0%(1位) |
総資産 | 3兆737億円(1位) |
その他製品の中で売上高は2位、総資産は1位。利益率は純利益率が27.0%の1位と驚異的な高さ。世界トップのゲーム機メーカーです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2兆3145億円
流動負債:5334億8000万円
固定負債:543億3700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 4.34倍で基準達成、
②は、固定負債543億円 < 純流動資産1兆7810億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、財務状況は非常にきれいですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2014年に赤字がありますね。当時主力製品であった据え置き型ゲーム機「Wii U」の販売が、最大商戦期のクリスマスシーズンで不振だった影響とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | -232億2200万円 |
2015年3月 | 418億4300万円 |
2016年3月 | 165億500万円 |
2017年3月 | 1025億7400万円 |
2018年3月 | 1395億9000万円 |
2019年3月 | 1940億900万円 |
2020年3月 | 2586億4100万円 |
2021年3月 | 4803億7600万円 |
2022年3月 | 4776億9100万円 |
2023年3月 | 4327億6800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +3737.7%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | -18.36円 | |
2015年3月 | 35.35円 | 3年平均:10.2円 |
2016年3月 | 13.74円 | |
2017年3月 | 85.39円 | |
2018年3月 | 116.23円 | |
2019年3月 | 161.55円 | |
2020年3月 | 217.12円 | |
2021年3月 | 403.26円 | |
2022年3月 | 404.67円 | 3年平均:393.1円 |
2023年3月 | 371.41円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 93円/株 | 2.97% |
2011年3月 | 45円/株 | 2% |
2012年3月 | 10円/株 | 0.8% |
2013年3月 | 10円/株 | 0.99% |
2014年3月 | 10円/株 | 0.82% |
2015年3月 | 18円/株 | 1.02% |
2016年3月 | 15円/株 | 0.94% |
2017年3月 | 43円/株 | 1.66% |
2018年3月 | 59円/株 | 1.26% |
2019年3月 | 81円/株 | 2.57% |
2020年3月 | 109円/株 | 2.62% |
2021年3月 | 222円/株 | 3.59% |
2022年3月 | 203円/株 | 3.29% |
2023年3月 | 186円/株 | 3.63% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは19.73倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは3.50倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも69.06で基準未達です。これは株価が高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆6016億円 |
②財務状況 | ◎ | 文句なし |
③収益安定性 | △ | 2014年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +3737.7% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.63% |
⑥株価収益率 | △ | 19.73倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 3.50倍 |
収益安定性と株価収益率、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、
任天堂(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
財務状況は極めて健全で、収益成長性も高く、配当もしっかりしているものの、赤字があることと、PERとPBRが高いことが残念。これはもう株価が上がりすぎてますね。仕方ありません。
「娯楽は他と違うからこそ価値がある」という「独創」の精神を大切にし、時代に合わせて自らを柔軟に変化させながら、自社の強みを活かしたユニークな娯楽を提案することによって持続的成長と企業価値の向上に努めていく。
任天堂では、「娯楽を通じて人々を笑顔にする会社」として、誰もが直感的に楽しめる「任天堂独自の遊び」を提供することを目指しています。
この独自の娯楽体験を実現するために、ハード・ソフト一体型のゲーム専用機ビジネスを経営の中核に置き、どのような娯楽でも「いつかは必ず飽きられてしまう」という考えのもと、世界中のすべての人々に向けて独創的な商品やサービスの提案を続けていくとのこと。日本を代表する一社として、今後の発展に期待したいものです。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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